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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
29/77

ザルと恩恵

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・マスター / 古本屋店主

 ・戸々谷茂 / 古本屋の客 & 今回の依頼人かもしれない人

”戸々谷茂 ”


本人に書いてもらったメモには、こう書かれていた。

ん??なんて読むんだ。

トトタニ?トタニ?

と、考えながらモニターを見つめる。


どんな時も、依頼人に会う前に、一応、身辺調査をしてはいる。

店内に仕掛けられた、カメラの映像。

本人が記入した本の送り先情報。

それらから、お外にある情報がたくさん詰まった場所に、チョメチョメして情報を貰う。

それで、納得がいけば依頼人との待ち合わせを決めている。

本を送ることで、記載された住所に実際に住んでいることも確認している。

こちらも、馬鹿みたいにホイホイ引き受けたりしないし、会いにもいかない。

ただ、これまで依頼人が浅はかなのか何なのか、この段階で話が終わる場合も多い。

そうなると、こちらは本を売っただけ、まあ、それが本業なんだけど。

こんな僕の苦労、彼知ってるのかな・・。


「へ~これで、ココタニっていうのか。

 初めて見た。

 名前や住所に、嘘はない・・じゃあ、何で・・。

 お、最近引っ越ししてるのか。

 IT会社社長・・へ~・・。

 会社、個人ともに特にお金に困っている様子もないと・・。

 お~!!おっ金持ち。」


一軒家から、高級マンションへ引っ越しか。

どんな依頼かわかんないけど、お金はもらえそうだな。

でもな~きな臭いし、依頼料吹っかけて、断らせるのもいいな。


それにしても、こういうことやっていると、時々感じることがある・・。

一昔前・・紙という媒体に記録するのが主だった時代に比べて、今の情報セキュリティはザルだなと。

今は、大抵データベース化されているし、ネット上に情報があふれている。

複製も簡単だし、拡散も簡単だ。

確かに情報を得るには技術が必要だが、それがあれば情報を得るのは容易い。

利便性は、イレギュラーな利用をする人間にも平等に恩恵がある。

紙なら保管されている場所へ行き、探し、写し、拡散するには更に手間を要する。

今は、一瞬だ・・拡散だけならモノがあれば、素人でも簡単。

同様にその恩恵を受けているとはいえ、恐ろしい世の中だ。

と、天井を見上げる。

あ~ここの方が、天井汚いな。


色々考えるところもあるけど、

とりあえず話を聞くだけ聞いてみよう。

ひょっとすると、連絡つながらないかもしれない。

どうしても、このまま終わらせることに抵抗がある。

スマホを取り上げ、連絡を入れる。


「失礼いたします。

 トトタニさんのお電話で間違いないでしょうか?」

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