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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
28/77

呪文炸裂

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・猫 / 古本屋のペット

 ・コーヒーショップの店員

 ・チャラい兄ちゃん

「やっぱり、”今日のコーヒー ” だよな。」


外が見える席に座って、コーヒーを飲む。

例の呪文を言う自信がなくて、今日のコーヒーにしているわけでは断じてない。

それにしても、自分で入れるより、人が入れてくれたコーヒーの方が、格別に美味いのは何故だろう。


人通りを眺めながら、今頃マスターは、どうなっていることかとスマホをチラ見する。

とりあえず、連絡はない。

ということは、問題はないのだろう。

こちらとしては、別に問題が何か起きていてもいいし、起きなくてもいい。

どうであろうとも、何もかも一つの結果にたどり着く過程でしかない。

自分には、訪れないであろう結果。


「トールソイオールミルクアドリストレットショットチョコレートソースアドホイップフルリーフ・・・・」


不意に大きな声で、すごい呪文が耳に飛び込んできた。

なんだ、陰陽師が何かを祓ってるのか?

式神を召還しているのか?

終始、何を言っているのか、さっぱりわからない。

笑顔で復唱し、注文を受ける店員。

見れば、注文したのは、かなりチャラい格好をした兄ちゃんだ・・。

人は見かけによらないのか、俺が駄目なのか・・何とも恐ろしい。


笑顔で、注文した商品を受け取り、こちらに向かってくると隣の席に座ってきた。

座るなりスマホを眺め、忙しなく指を動かす。

これが、現代のあるべき姿か。

そして、あの恐るべき呪文で出てきたのが、コレか・・。

彼の手元を見ずにはおられず、じっと見ていたら、


「なんだよ、おっさん。」


ああぁ!?おっさん??俺のことか??

ふざけんじゃ・・・って・・・。

ああ・・うん・・おっさんだよね。

呪文唱えられないし・・・・。


「ああ、申し訳ない。

 君の見事な注文で、

 どんなものが出てきたのか気になってさ。

 何を注文したのかさっぱり、わからなくて。」


キョトンとした兄ちゃんは、手元を見て嫌味なく笑うと、


「あ??これのこと??

 んな、難しいこと言ってるわけじゃないんだけどな。

 慣れだよ慣れ。

 最初は面倒だけど、何度も注文してたら

 普通に唱えられるようになるさ。」


やっぱ ”唱える ” のね。

つられて笑ってしまった。

兄ちゃんは、俺の席の前に座ると、


「おっさん、高そうなスーツ着てるね。

 しかも、イケメンだし。

 少し歳くってっけど・・ひょっとして、同業者?」


「ん?同業者??」


「そう、ホスト。」


あ~なるほど・・チャラい格好に物怖じしない性格、その他色々含めて納得。

ただの人たらしか、根は良いやつ奴なのか・・

初対面で人にネガティブな印象は持たれないだろうなと分析しながら、


「いや、違うよ。」


と、一言答える。


「そうか~、違うならどうよ。

 一緒にホストやんない?

 人気出ると思うよ~、マジで。

 呪文も教えてあげるしさ。」


「お誘いありがとう。

 でも、申し訳ないけど、

 酒も飲めないし、柄じゃないからね。

 それに、”今日のコーヒー ”が

 好きだから呪文は必要ないよ。」


「え~もったいね~な。

 じゃあさ、気が向いたら、ここ連絡してよ。」


と、笑顔で名刺を差し出す。


”聖翔 ”


と、とても・・素敵なお名前ですね。

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