コンビニとコーヒー
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 / 古本屋店員
・マスター / 古本屋店主
・猫 / 古本屋のペット
・不審なおっさん
「ジャンル分けだけでもしろって・・
言わんとすることはわかるんだけどね。
これじゃ~ね~。
最初から詰んでるでしょ。
ムリゲーってやつだね。
そう思うでしょ。
ちなみに今、積むと詰むを掛けたんだよ。」
店内を見渡し、溜息をつきながら
フッと、足元の猫に視線を落として賛同を伺う。
猫は、背筋を伸ばし大きく欠伸をした後、
「にゃ!!」
と、一言残して、スゥっと何処かへ姿を消した。
”じゃ!! ”
ってか??
ま、いても戦力にはならないし、別にいいや。
乱れに乱れた店内を見ながら、
「やりますか・・・。」
と、自分に言い聞かせるための呟きを声に出してみる。
とりあえず、店内の段ボールを寄せて、スペース確保からしますかね。
寄せる場所もないけど・・・。
我を忘れて一心不乱だったと思う・・あっという間に午後になった。
自分なりにテキパキと頑張った甲斐あって、半日かけ、少し・・幾分・・なんとなく、スペースができた気がする。
先は長い。
まだ、5日間もある。
スタートダッシュをやりすぎると、後半に響くのは確実だ。
今日はこれくらいにして休憩しよう、コーヒーを飲もう、そうしよう。
冷蔵庫にアイスコーヒーがあったはず。
いそいそと、バックヤードに向かい、
さてさてと、冷蔵庫を開くとアイスコーヒーがない。
・・・・・この絶望感よ。
飲むなとは言ってないし、飲んでも良いけど、補充しとけよ。
と、許す広い心で怒りを自制し、コンビニに向かうことを決意する。
仕方なしに訪れたコンビニ。
普段の買い出しは、彼に任せきりだから、たまの買い物は面倒くさくもあり楽しみでもある。
陳列棚に並ぶコーヒーは、あまりに数が多く目移りする。
どれにする・・この新商品か・・いや、冒険はやめて定番か・・。
た・・炭酸珈琲だとっ!!
なんだ、紅茶なのかコーヒーなのかお茶なのか意味不明なものもあるぞ・・。
棚の前で、長時間ブツブツ悩む自分の姿は、余程のコーヒー通に見えたことだろう。
コンビニでこれだ・・今度大型スーパーなんてどうだ!!
非常に新鮮でアリだね。
気が向いたら、たまに買い出しを引き受けるのも良いかもしれない。
選びに選び抜いたコーヒーを提げて戻ると、書店の入り口に人が立っている。
「あの~すいません。
申し訳ないんですが、
しばらくお店やってないんですよ。」
急に話しかけられギョッとしつつ、こちらに振り向いた男は、少し困ったような顔を見せ、
「あ・・そうなんですか・・・。」
と、沈黙する。
一瞬、諦めて帰りかけた男が、再び振り返って、
「あの、すいません、無理を承知で・・・。
何としても探している本があって、
このリストなんですけど。
お願いします。」
と、こちらに無理やりリストを渡してくる。
コミュ障としては、押しが強い人は苦手だ。
どうも断れない。
コーヒー飲みたいのにな。
突き返して、店内に逃げればよかったのだが・・。
もう一度、男の顔を見て、手の中のリストを見て、再び男の顔を見て店内に招き入れた。
男は、40歳少し上・・太ってはいない、身長は180cmぐらいか・・。
と、勝手なリサーチを終え、手元のリストをもう一度確認する。
まだ、片付いてないし、探すの面倒だなーと積まれた本から目的の本を探す。
男は、本を見ているのかいないのか、本棚の前に立ち尽くしている。




