古本屋
お初にお目にかかります。
当方の駄文にお気づきいただきありがとうございます。
いろいろ突っ込みどころやお気に障る部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
なんとなく構想はできてますので、コンスタントに話をアップできたらと思っています。
よろしくお願いいたします。
今を説明するのは難しい・・・
雨が降る夜・・・人気のない路地・・・
一人が、銃口を向け・・・もう一人が、向けられる・・・。
補足すると、銃口を向けられた男の手は、懐にある自分の銃に手は届いているものの動けない。
「一発で終わらせてくださいよ・・
痛いのは苦手なんです。」
せっかく笑顔で話しかけているのに、一向に和む気配がない。
ここしばらく、笑顔に自信があったんだが・・
受けがいいのは女性にだけか・・ん?・・それは前の話か。
「何か理由をいただけませんかね。
だいた・・・。」
大きな溜息とともに、パスッという気の抜けた音・・
銃声より人が倒れる音の方が周りに響く。
再び大きなため息をつくと、銃をしまう男。
ゆっくりとしゃがみ込み、倒れた男の懐から銃を摘みあげてポケットに入れる。
それからスマホを取り上げ、壊れていないことを確認。
ここまでがルーティーン・・・。
で、今回の追加事項は、倒れた男の手に自分の銃を握らせること。
「高いスーツが、びしょ濡れだ。」
雨が酷い、頭を押さえながら少しふらつく足元で、静かにその場を去る。
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「あ~・・と、とりあえず、そこに置いといて・・・。」
”そこってどこよ・・”と、言いたげに顔をしかめる運送屋の兄ちゃん。
確かに、段ボールの山で埋め尽くされた部屋に ”そこ ” は、見当たらない。
一列並ぶか四つ繋がるかで、パッと消えてくれないものだろうか。
限界を超えつつある段ボールタワーの上に、何とか積み上げスペースを確保。
その空いたスペースに、運送屋の兄ちゃんは荷物を置いて速攻いなくなった。
別に手伝わせる気もないが、そんなに速攻で退散しなくても・・せっかくだし手伝ってくれりゃいいのに。
おっと、とりあえず、釘を刺さねばならない。
「マスター!!!バックヤードもう無理!!!
新規発注停止!!!」
カウンター隅の方から
「なんとかするのも、仕事ね。」
と、気だるげな返事。
これは、話にならない・・と、溜息をつきながら周りを見る。
店頭にスペースがないかと見に行くも、商品が売れてないのにあるわけがない。
というか、店頭にも段ボールが積んである。
売れてないのに、商品入れんなよって言いたくなる。
町の本屋さん・・といえば、聞こえはいいが、そんないいものではない。
裏路地の小さな店舗に、乱雑に積まれた本の山。
しかも古本。
媒体が紙からデジタルに変わって、紙の本を買う人はめっきり減った。
それが古本ならなおさら。
自分は、紙の方が好きだが・・・時代の流れと割り切っている。
「売れてないのに、わけわかんない仕入れすんのやめろや!!!」
と、きつめに言っても、
「いい出物があったのからね。」
と、返される。
たまに、レア物・珍品を仕入れているらしく高値で売れるから始末が悪い・・・
何故そんな高値で売れるのかは正直、俺にはわからん。
「暇だね・・。」
と、カウンターに座りながら猫を撫でるマスターに、
「暇ではないね。今来た商品を確認して、
在庫管理して、たまに来る客の相手して・・・。
って、本の値付けしろや、店長権限なんだろ。
店頭に出せねぇだろ!!」
イラッと答えるが、あまり響かない。
「何度も言ってるけど値段なんて、
在ってないようなものだからね。
気にせず並べたらいいよ。
客が持って来たら、カウンターで決めるからさ。」
クゥ~・・駄目だこりゃ。
汚い店舗に、やる気のない店主、店主を怒鳴る店員・・・客の寄り付く隙がねえ。
マスターは、無駄にイケメンなんだから、少し身だしなみを整えれば女性客も来ると思うのだが、コミュ障らしく、人とはできるだけ関わりたくない。
ただ、猫とのコミュニケーションだけは、好きらしく欠かさない。
不意に猫が入り口に顔を向ける・・。
女性、年齢はいっても30代前半、身なりは綺麗、
古本屋には似つかわしくない雰囲気、
古本なんてもってのほか、買うなら新品というタイプ。
作業をしながらチラ見・上目使いで軽く人間ウオッチングをしていると、女性客は本を探すそぶりもなく一直線に自分へ向かって来た。