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ゆうなは頭を悩ませている。
……頭から煙が出そうな勢いだ。
ヨシオはその間、カードの裏面をぺろぺろと夢中で舐めていた。
(ヨシオは可愛いな……あと、プラスチックカードで良かったよ。涎でべとべとだもん)
僕が微笑ましくヨシオを見ているところに、ゆうなが険しい顔で割り込んできた。
「わっ!びっくりした……どうしたの、ゆうな?」
「こういうのは表情に出るんだよ……だから、たーくんの顔をじっと見てみようと思うの」
「そ、そっか」
ゆうなの着ているピンクのTシャツは胸元が大きく開いており、そこからゆうなの小さな胸部が見えそうになっている。
僕は、慌ててカードを顔の前に持っていき、顔を隠した。
「も、もういいだろ……」
「怪しい、怪しいよ、たーくん。どうして顔を隠す必要があるの?さては、やましいことがあるんだね」
「……まあ、ないことはないけど……これは人狼とは別だよ」
ゆうなは角度を何度も変えて、僕の表情を見ようとしていたようだが、やがて諦めた。
そして、次はヨシオの方へと向かって同じことをし始めた。
「きゃ、駄目だよ、ヨシオ。舐めちゃだめ!め!」
ヨシオはゆうなの顔をぺろぺろと舐め回している。
僕はそのうちに時計を確認した。
(残り2分か……)
(さて、そろそろこの辺りで、僕も仕掛けていくとするかな)
ゲームとは言え、負けるのは癪だ。ゆうな相手なら、負けてあげることもあるが、僕らの相手はヨシオだ。
犬に負けるなんてのは、ちょっと僕のプライドが許さない。
僕はコホンコホンと空咳をして、注目を集めた。




