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(ここはもう一つ深く考えてみるとするか)
今までの僕の思考は、”こういう場合はこうなるであろう”という、ごく一般寄りの推論に基づいたものだった。
それゆえに失念気味だったことがある。
僕が相手にしているのは一般人などでなく、”ゆうな” という純粋無垢である上に、何をしでかすのか全く予想がつかない存在である、ということだ。
そして、もう一つ言えば――彼女は僕が知る限り嘘を吐けない。
正確に言えば、彼女の吐いた嘘は直ぐに分かるのだ。
”人狼はヨシオだよ”
そう言った彼女に嘘を吐いている様子は無かった。
――ゆうなはどうして、ヨシオのカードをわざわざ隠そうとしたのか
――仮にヨシオのカードが狼だったとしたら、ゆうなはヨシオのカードを隠すだろうか
……
あぁ、分かった。
そういうことか。
僕が今考えついたことは、とても道理が通っているように思える。
ゆうなは僕の目の前で、僕の答えを黙って待っている。
僕は、答えを告げることにした。