不穏な気配
初めての小説を書きます。文章は下手ですが、少しずつ、書いていきたいと思います。
もしも、少しでもいいなぁって思ってくれたらうれしいです!
バトルシーンや心情をもっとリアルに、且つ増やして、キャラの描写ももっと自信に反映しながら頑張ります。
「暖冬への夢想」楽しんでください!
スーーーーー...
聞こえてくるのは風と止むことなく、シェルターを叩く吹雪の轟音が聞こえてくるのみであった。それはまるで、そこに住む人々の悲しみを表したかのような、ひどく空虚な音だった。
ここは厳寒の街。クオンテル。しかし、街と呼ぶにはあまりにも簡素なものだった。
野畑は荒れ果て、外には凶悪化した魔獣やかつて人だった者たちが徘徊している。
「アリスー!!起きて!点呼の時間が来ちゃうよ!」
「んー、まだぁ寝てたいよぉ。。」
いつもの光景がそこにはあった。兄のグレイが妹のアリスを起こすことは、日常的なものだった。
「早く起きて支度して!警邏にご飯もらえなくなるよ。」
「ごめん、お兄ちゃん!すぐに支度するね!」
この時間になると複数の人の歩く足音とそれらを受け入れるために並ぶ人々の急ぎ足の音で多少は空虚な街の存在を忘れることができる瞬間が来る。
齢13歳にしてはしっかりしすぎてしまったグレイ。このシェルターの生活に順応するには致し方ないことなのかもしれない。
ここのシェルターにはおよそ30人ほど暮らしている。今、アリスとグレイが過ごしている場所が『C棟』。
ほかに6つのシェルターが隣接しており、それらの中央に位置するのが王家や貴族が住む中心街となっている。しかし、中心街といってもそこはシェルターの中であり、空を拝める場所はこのシェルター内にどこにもない。
しばらくしすると、警邏隊がやってきた。すこしでっぷりとした髭の生やした男が先頭を歩き、廊下に一列に並んだアリス達の前にやってきた。
「諸君。配給の時間だ。今日からこのC棟の管轄となったガレスだ。貴様らが生けていられるのは王の配慮によるものである。私が管轄になった記念として今日は全員にコメを配給することにした。ありがたくいただけよ。」
周囲にどよめきが走る。
「コメだって?今じゃ王家のものしか食べられないじゃないか!」
「夢みたい!!」 「こんな贅沢ができるなんて...。」
さらにガレスが続ける。
「我らが王、ダレム様からいただいた貴重なコメだ。今じゃこの極寒のクオンテルにはコメが育つ環境はおろか、手に入れることすら厳しい。それを理解して食べることだ。」
その喜びの渦の中、一人困惑を隠せない少女がいた。
「ねぇ、コメってなんなの?」
「あぁ、コメっていうのはここよりもずっと暖かいところにしか育たない穀物のことだよ。俺も実物を見るのは初めてだ。」
その兄と妹は、この厳しい環境の中でなくしていった『子供』のような顔で目の前の白く輝く粒状物を眺めるのであった。
そこにあったのは、ここで配給されるくずパンや干し肉のスープでは絶対に見られないような見事な輝きを放っている。また、幼き二人の目には遠い昔に読んだ昔話に出てくる秘宝「クレセル」を彷彿させるのであった。
兄グレイにはそのことが非常に気にかかった。
あんな貴重な食材をどうしてこの平民街に配るのか。
浮かれた皆はそのことに疑問を抱く者はいなかった。
その頃、中心街では。
「例のコメは今どうなった。」
「は。ご報告いたします。例のものは...」
陰で何かが動いていた。
アリスとグレイは小さいころこのシェルターにやってきた。故郷はクオンテルだが、昔は花と湖の都と謳われる程の絶景と壮大な自然が広がっていた。地方を治める領主も温厚な者で、皆に愛されていた。
父と母はそれはそれは愛情いっぱいに2人を育てた。彼らは農家であったため、裕福な生活はできなかったが、幸せいっぱいの日々を送っていた。
しかし、ある時、領主が病で倒れ、本国「ランぺル」から別の者が送られてきた。それが現クオンテル国王ダレスその人である。
彼は、偉大な魔法使いとしても名を馳せていた。このまちに来た当初は、住民一人一人に声をかけ、助けに応じ、政治面でも他の町から羨望のまなざしを受けるほど一気に町の活性化に取り組む優秀な男であった。
しかし、彼が実験的に、秘密裏に行っていた魔法実験が原因でその町では暖かい太陽を浴びることができなくなってしまった。
住民たちは飢えや凍傷が原因で人数を減らしていき、今は300名まで減ってしまった。その大飢饉の際に、今のシェルターは住民らによって作られた。「次の世代を残すための防壁として」
しかし、そのシェルターはダレスによって実質的な支配を許してしまった。
その出来事から5年がたっていた。日々の簡素な食事にも慣れ、着るものもろくなものがないなかでも兄と妹は名局過ごしていた。
アリスとグレイには毎日の日課として、シェルター内で飼育している羽ブタとイモの管理を行っている。
日光がないため、食物の育ちは悪いが寒さをエネルギーに変える魔法のおかげで光エネルギーに変換し、生育を促している。
それの対価として配給制の食事が与えられている。食料が一定しか取れないため、性別や年齢ごとに食事量が決まっており、彼らの一日の食事では13歳と10歳の子供が十二分に育つためのエネルギーは摂取できないのであった。
そんな中でコメを手にしたアリスはグレイにいかにも大切なものを手に入れたかのようなキラキラして目でその「コメ」の行方を気にしている。
「そのコメはまだとっておこう。ここの人たちの反応からみれば、今食べてしまうのは少しだけ惜しい。」
えぇぇー!と叫ぶアリスを宥めながら、コメを取っておくことにした。
c棟に住む住人は50人であり、1つの部屋(簡素なベッドと水道、仕切りがあるだけのトイレと各部屋に魔法陣がある。この魔方陣に寝る前に手を触れる必要があり、なんでも、触れないで寝てしまったものは3日間食事が与えられない。基本に2人1組で部屋替わり与えられている。
コメを食べずにとっておき、配給で渡されたくずパン3切れとスープを食べた。
グレイは分けるときに、最近痩せ気味になってきたアリスを気遣い、築かれないように、大目に分け与えた。
昼から持ち場のイモの畑にいき、耕作をしようと持ち場の納屋に向かった。その途中で皆がコメを食べており、歓喜の声や一頻りコメを食べ終えた者の中には涙を流しながら喜ぶ者もいた。
農具である鍬をもって畑仕事に勤しんだ。妹のアリスはこの年で風の魔法を習得しており、仕事のサポートに風の魔法を使うことで体力の消耗を抑えながら仕事ができるのである。
兄のグレイはというと、炎の魔法が使えるがこのクオンテルでは炎系統の魔法は禁止されている。
宝の持ち腐れである。
「ふぅ...。アリス~、今日はこの辺にするか!」
「はい!了解です!」
仕事に出てから、6時間ほどの時間が経過していた。このシェルター内はひどく静寂ではあるが、今日は一段と静かであった。
「なぁ、アリス。今日は一段と静かすぎやしないか?いつもなら、隣のスミスさんは僕らが仕事している間は大体仕事しているのに」
「それもそうですね。お昼の『コメ』が腐っていたのではないですか?」
「ん~。ダレム様がくれたものが最初からだめってことはあるのかな?」
「それもそうだね!早く帰ろ!お兄ちゃん!」
あとは家に帰って体をふくタオルをもらいに行き、夕食を食べたら一日が終わる。このような生活をもう何年も続けてきた。
ーー異変はすぐに気が付いた。
夕食時は皆が配給がくるため、忙しない感じが犇々とつたわってくるのだが、きょうは全くその気がしない。
家の近くまで来ると、人が横たわっている。
それも1人、2人なんて数でなく、尋常じゃない人の倒れた異常な光景が広がっていた。
いかがだったでしょうか。
次回の更新は明後日以降です。
最初から更新頻度低くてすみません。
がんばりますので、応援よろしくお願いします。