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ハナ子のはなし  作者: スキ子
いち
8/8

ただひたすらに泣いた日



進路の話が増えました。

まだ17歳の私たちには よくわからないことばかり。

全学年が集まって 進路の話を聞くのですが、

右も左もまだわかりません。

将来より今しか見えません。

将来より 上手くいかなかった前髪が気になりますし、

リップが取れていないかを心配してしまう まだまだ責任を持てない子どもなのです。



大人ぶっていても 私たちはまだひとりではなにもできません。




「ハナ子には気を使わなくていいから楽だよね」


信頼を寄せてくれているのでしょう。

それは理解しているのですが、

ハナ子はこの言葉が嫌いでした。

お互い気を使わないで成立する関係なんて、成り立たないと思っていますから

あなたが 私に気を使わなくても 私が気を使っているのだと

不満を 汚い不満を どろり、どろりと溢れさせてしまうのです



「あなたは 愛されたことがないから

人を愛することができないんだね

だから 友だちにも踏み込めないんだね」


ハナ子は 泣いてしまいました。

ボロボロと涙を零してしまいました。

そうです、そうなんです、もう嫌なんです、

先生の言葉に 私は理解された気になって

泣いてしまいました。



きっと 愛されていました。ハナ子は色んな人から愛情をもらっていました。しかし ハナ子は辛いことばかり取り上げて

その温かさに気づけなかったのです。

愚か者ですね。



他人に踏み込んで 嫌われるのが怖いんです。

醜い私を受け入れられるはずもないですし

誰もそんなハナ子を求めていない。

キラキラとした私のイメージを言われる度に、

褒められる度に 私はこういう子であるべきだと自分を潰してしまいそうになるんです。




シーブリーズの匂いが 体育後の教室に溢れかえって

パタパタとタオルで仰いで

リップを塗り直して

暑い と不満をこぼして

今日もあと一限で 終わります






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