面倒事の予感
「小説をしばらく出さないと約束(?)したな。」
「そうだ大佐(?)・・・助けて(?)・・・。」
「あれは嘘だ。」
「うわああああああ!」
実は今、かなり問題が起きている。今までは、夜寝る必要も無かったし、眠くなればログアウトするだけであった。だが、今の環境では、寝なければならない。一応クラン突入前の時間で仮眠は取ったが、さすがに皆疲れたのか、眠くなったのである。もちろんあくまで仮眠だったので、会議室とかで寝た感じだったのだが今回はそうはいくまい。一応クランの建物には従業員用のベッドルームがあるらしいが、さすがにそこをとるのダメだろう。
では、お金は持っているので宿屋で泊まろうという話になったが、結局無理だった。どうやら他のプレイヤー達も同じ状況になっているらしく、こぞって宿屋に入ったようで、空き部屋が一つもなかったのだ。
因みに自分達が潰したクランは、昼に寝ていて、夜に活動していたようだ。
「で、どうするよ。俺は別に会議室でいいんだが・・・。」
マスターがそう言ってからみんなを見渡す。
「自分も別に大丈夫ですよ?というかもう眠いのでどこでもいいから寝かせてください。」
もうさすがに限界である。今、会議室で話しているのだが、ここにいないクランメンバーは酒場の方で寝てしまっている状態だ。また、ここにいるメンバーでも会議するために集まったのに、数人寝てしまっている。やはり会議どころでは無いようだ。
「まぁレン、もうちょっと我慢してくれ。」
マスターが、そう声を自分にかける。
「そういえば、ここ無駄に広い建物なのに空き部屋ないんですか?」
「あるといえばあるんだが・・・、かなり少ない。ここにいる人数の三分の一入ればいい方だ。」
きたさんの疑問にマスターが答える。やはりかなり少ないようだ。自分はもう眠いので、部屋の端にあるソファーに横になると、目をつぶった。
目を覚ますと声が聞こえる。
「お兄ちゃん、起きて!もう昼だよ。」
どうやら自分は昼まで寝ていて、ユウに起こされたようだ。
「ありがとう、ユウ。それで、みんなは?」
「うーん、多分下の酒場にいると思うよ?」
そう、ユウは答える。おそらく、この後の行動の会議でもしているのだろう。ユウと二人で下に降りると、案の定天堂君以外の今いる主要なメンバーのみんながいた。
「おはようございます。」
「おはよう、レン君。」
「おはよー」
「おぅ、天堂のやつなら上でまだ寝てるぞ。」
挨拶をすると、みんなから口々に返事が来る。
「まぁ、天堂君の事は置いといて、結局「夕闇」の人達はどうなったんですか?」
「彼らは、この国の法律で裁かれたみたいだよ?確か、「従属の魔道具を使った者には死刑、もしくは永久に投獄」そうでしたよね、マスター?」
「ああ、そうだ。まぁ今回は投獄って落ち着いたがな。」
「そうなんですか。」
どうやら、彼らはもう日の目を見る事は出来ないようだ。
「それで、今日はどうするんですか?」
とりあえず本題を聞いてみる。
「さっきまでに話して決まった事は、まず、日用品の買い出しだな。特に消耗品だ。あと、できれば家が欲しいところだ。先日の国からの依頼でかなりの金はもらえたからな。」
「それで、みんなで手分けしよーって話になったんだよね。」
マスターと時雨さんがそう答える。それもそうであろう。みんなが共有して使う消耗品は、クランメンバー全員が使うのだから当然量が多くなる。1人じゃ絶対に無理なのだ。そして、家は言わずもがな生活するための場所だろう。ただし、これもそこそこなサイズが必要である。
「とりあえず、この中で料理ができるのは・・・。」
「一応、私は作れるよー。簡単なのだけど・・・。」
「私も作れます。ついでにお兄ちゃんも。」
マスターの言葉に、時雨さんとユウが答える。そこまでは良かったが、ユウが余計なことまで言う。
「意外だね。レン君が料理を作れるなんて。まぁ、でもレン君かなり器用そうだもんね。」
「料理は、簡単なものしか出来ませんし、全然、器用ではないですよ?」
きたさんの言葉に自分はそう返すと、横から視線が刺さる。どうしたのかと見てみると、ユウがこちらを嘘つきとでも言いたげな顔で見ていた。どういうことだろうと思っているとマスターが、
「まぁ、いいや。とりあえずその三人で料理に使えそうな食材を買ってきてくれ。きたさんは俺と物件探しだ。その他の消耗品は他のメンバーに買わせに行かせるとしよう。よし、じゃあ解散だ。」
と締めくくったのだった。
その後、自分とユウと時雨さんで市場に向かう。市場とは、色々な装備や素材が買える店が集まった場所で、ゲームの時は序盤で装備にお世話になった記憶がある場所であった。
たわいもない話話をしながら、市場に着くと、元プレイヤー以外の人たちや馬車などの乗り物もかなりの数が行き交っていた。
「こういうのを見ると、本当にゲームじゃないと感じるよねー。」
時雨さん言葉に自分とユウが頷いていると、突然後ろで大きな音がした。驚いて振り向くと豪勢な馬車が倒れていた。おそらく貴族の馬車だろうと思い、馬車についているその貴族などを示す紋章を見ると、国の紋章であった。どうやら面倒ごとの予感である。
今回は、あまり物語が進行しませんでしたね(ー ー;)。
あと、本当にしばらく書くつもりがなかったんですけどね・・・。
次回もいつになるかわかりません。気長に待ってくれると嬉しいです。