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ようこそ『異世界』へ

目の前の地面には大きな渦が見える。

ジャイアントデザートワームは、砂漠に大きな渦を作り蟻地獄のように餌を引き込む生態を持っているのだ。


「じゃあ行くぜ、破壊をせんと星は踊る、いでよ破滅のごとく振りし流星、我の願いをききてこの地を燃やせ『流星メテオ』!」


天堂君がそう唱えると、詠唱時に展開されていた上空にある巨大な魔法陣から、魔力の塊が出現し渦の中心に向かって落下し始める。

破壊魔術は、魔力を対象にぶつけて、爆発させたりする魔術であり、単純な破壊力はかなり高いものであるのだ。

渦の中心に落ちた魔力の塊は、爆発音と共に砂を捲き上げる。


「キェェェェェー!」


「いつも思うけどワームらしかぬ鳴き方だよねー。」


爆発によるダメージで吠えたワームの声を聞き、時雨さんがそんな感想を漏らす。

ワームは吠えたあと、渦から顔を出すと息と共に砂を吸い込む。


「ブレスが来るね。みんな僕の後ろに隠れて!空間を固定し不動の物にせんと『空間防御スペイシャルガード』!」


ワームのブレスは威力が高く、石をやすやすと砕く威力がある。なので、きたさんは空間を固定して防御する魔術を使ったのだ。そのまま数秒ブレスが続いたがやりきる。


「みんな大丈夫かい?」


きたさんがそう聞くと皆は無言で頷く。


「それじゃあ、攻撃を再開しようか。」


と言う言葉を合図に天堂君は、ブレスを防いでいる時に用意したのであろう槍型の魔術をワームに飛ばす。槍はワームに当たると大きく爆発し、ワームの体力を削る。しかしそこでワームは、反撃に出る。その巨体で、突進してきたのだ。自分は本を取り出すと、とあるページを開く。


「その魔法、具現化せよ『氷壁アイスウォール』!」


突進してきたワームを巨大な氷の壁で迎撃する。ワームはその巨体と速度ゆえに止まれず氷の壁にぶつかると、大きな音を立てて止まる。そこにきたさんの空間魔術の檻ができる。


「いまだ、天堂君!」


きたさんがそう叫ぶと天堂君は、詠唱を始める。


「破壊をせんと星達は踊る、いでよ破滅の雨のごとく振りしいくつもの流れる流星、我の願いをききてこの地を燃やし尽くせ『流星群メテオレイン』!」


身動きの取れないワームが集中砲火を受ける。


「キェェェェェ・・・ェェ・・。」


あれだけの攻撃を受けたのだから当然だろ。ジャイアントデザートワームはその巨体を地につけ生き絶えたのだ。そしてその死体は光に包まれるとアイテムを残して消えるのだった。このアイテムはいわゆるドロップアイテムである。


「ふぅー、終わった。さてさて落ちてるアイテムは?」


「天堂君、抜け駆けは良くないよ?」


アイテムを一人で見に行こうとした天堂君をきたさんが追いかける。それを見ていると、後ろから近付く気配に気付きとっさに横に跳ぶ。


「時雨さん!?」


「あーあ、せっかくチャンスだと思ったのにな〜。だいたいなんでレン君は魔術師なのにそんなに動きがいいのよ。」


どうやら時雨さんは後ろから自分に抱きつこうとしたらしい。


「やめてくださいよ、不意打ちみたいな真似をするのは。」


「あれ不意打ちじゃなきゃいいの?」


ここぞとばかりにそう答える時雨さんの顔が明るく見える。


「ダメですよ!」


「ケチだな〜。」


明らかに不機嫌になる時雨さん。


「とりあえずアイテム見に行きましょ?」


「そうだね。」


と会話し他の二人のところに向かうと、


「このアイテムは俺が預かりますぜ!」


「いや、運ぶの面倒そうじゃないか。なら僕が運ぶよ。」


「いや、俺なら大丈夫ですから。」


「いやいや、僕の方が問題ないよ。」


と二人が言い争っている。そこの間に時雨さんが入ると、怖い笑顔で言い放つ。


「二人とも?争うのは止めようか。」


「「すいませんでした!」」


どうやら二人とも時雨さんの笑顔に負けたようだ。その後、そのアイテムは時雨さんが持つことになったのは、お察しのとおりである。



自分含めた四人は、クランの借りている建物に入ると、持ってきたジャイアントデザートワームのいらない素材を換金すると建物についている酒場に向かった。

そこにはクランのマスターの九十九さんがいた。


「おいー、きたさんよ〜なんで俺を誘わなかったー!」


「ま、マスター・・・いるとは思いませんでした。」


どうやらマスターは、きたさんがワームの討伐に誘わなかったのを恨んでいるようだ。

マスターは、αランカーの中でも最上位の刀使いである。ちなみに紅色の髪の一本の角がひたいにある鬼族男性アバターだ。


「まぁ、いいや」


そこまで言うとマスターは、いきなり席を立ち、


「今日は、きたさんの奢りだ!どんどん飲め!」


と、酒場にいた他のクランメンバーに言い放つ。きたさんは慌てていたが自業自得である。

実はこのゲームの酒は、色々効果は付く上に、酔えるのだ。

そこからは、何故か他のクランのプレイヤーも参加したどんちゃん騒ぎになったのだった。



参加した人たちが、机に突っ伏している景色が周りに見える。どうやらみんな、かなり飲んだらしい。

きたさん大丈夫であろうかと心配していると、


「おいレン、今回は運が良かったな。」


「それね。本当に運が良かったよ。」


天堂君が話しかけて来る。どうやらドロップアイテムの話らしい。


「そういえば、今何時だ?」


「え?今五時だけど・・・あ!」


アップデートのことを思い出す。そしてその事を口に出そうとした瞬間、 目の前が暗くなり意識が遠のいていく。その時にチラリと見えたログには、


「アップデートします。ようこそ『異世界』へ!」


と書いてあった。

ちょっと無理やり感があったかもですσ(^_^;)

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