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白崎にとっての異世界  作者: 南京西瓜
1章 都市連合
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奴隷はかなりの有名人

 街灯等の人為的な光源が無い道をジープが走る。時間帯は深夜になったばかり。そんな環境下で、サエは軍用モデルが故の走破性に物を言わせ、舗装がされていない道を走っていた。どうやら柚姫の死体を投げ捨てる為、人の往来がる経路から外れていたらしい。柚姫の体感で約二時間。エルがこくりこくりと船を漕ぎ始めた頃、サエは車を止めた。


 「一応は副経路と呼んで差し支えない場所まで戻りました。一度休憩にして、ついでに今後の方針を決めましょう」


 休憩ならば外に出たい。柚姫がそう頼むとサエは快く承諾し、車外に出る介助をしてくれる。あのクソみたいな奴隷と比べるとと天と地程の違いがある。そう思っているとサエの手元からカチンと金属を弾く音の後、大きき息を吐き出すのが聞こえた。


 「煙草?」


 「そうです。苦手でしたか?」


 「いや、大丈夫。むしろ、貰っていいかな?」


 「外見からすると意外ですね」

 

 煙草を一本取り出し、柚姫に握らせ、彼が咥えてからそれに火を着ける。柚姫はあくまで見た目が人畜無害なだけで、酒は飲む、煙草は吸う、女は抱くと外見からは想像はつかないが、成人男性が法的に許可されていることはどれも嗜んでいる。まぁ、煙草は日常的に吸ってはいないがイライラしたりすると無性に欲しくなる。


 「それで、殴りたい奴隷とは誰ですか。生憎、私はあなたがあの場所に連れてきた人物を見ていません。なので名前ぐらいは知っておかないと動きようがありません」


 「それもそうだね。本名かどうかは知れないけど、レティアと名乗ってたよ。赤髪の元傭兵かつ元娼婦。確定なのはこれだけ」


 情報としては少なすぎる。


 「レティア、ですか。十分過ぎますよ。有名人ですよ、彼女」


 だが、サエは十分だと、名前だけで経歴が分かる有名人だと告げた。確かに、レティアは主人を半殺しにすることで奴隷商人の間では有名だったが、他国の諜報員が把握しているほど有名だったのか?


 「なんでも勇者に歯向かった元勇者のパーティメンバーなのですから」


 「勇者……。確か前回は四人だったよね」


 「えぇ、ですが歴史では前回の勇者召喚は無かったことになっています。理由としては召喚された勇者がクズだったからです。レティアはその内の一人の勇者付きのパーティに選抜されたのですが……」

  

 サエは一度大きくゆっくりと煙草を吸い、煙を吐き出してから、


 「まぁ、その勇者が下半身ばかりが元気な勇者でして。パーティは全て女性で固め、剣を振る時間より腰を振る時間がの方が長くて……。私は直接見ていませんが、レティアは随分と大きくて細いスタイルなのでしょう、当然勇者からお誘いがあったのですが……」


 「断ったんだろうね。あいつ、自分を傭兵というものさし以外で測られるの嫌うからな」


 「ご名答です。拳で断ったそうです。けどその勇者は俺様の誘いを断るとは何事だと、彼女を奴隷に落として自分のものにしたのです。そこから娼婦になった理由は知りませんが、勇者は恨みを持ったメイドに殺されました。そのメイドは一応は、普通のメイドとなっていますがね」


 あの近衛メイドだろう、サエが言いたいことは分かる。


 「それと同じくして他の勇者も色々と問題がありすぎましたので、事故で殺されました。何が言いたいかといいますと、レティアと言う名前の奴隷は名前を聞くだけで、私のように勇者に関わる者には人相まで特定できる有名人だということです。ちなみにレティアは傭兵としての名前で、本名は謎なんですよ。別に興味ありませんが」


 分からないなぁと、柚姫は髪をくしゃくしゃと乱暴にかき上げる。レティアの経歴は分かった。分かったが、この世界の勇者にとっての立ち位置が分からなくなった。高待遇で自身の元に置こうとすれば、クズだからと事故死と見せかけて抹殺。この世界を危機に陥れる魔王と戦う存在では無いのか?


 「サエさん。あなたは勇者について何か知っていますか?」


 「知りませんよ。勇者のこの世界での日常は知っていますが、不思議と勇者と魔王との戦闘に関しての情報はほとんど把握していません。さて、今はそれで悩む時ではないでしょう。もし、詳しく調べたいというのであれば、レティアの件が片付いてからにしましょう。契約さえ更新すれば、ですが」


 それから二人は残った煙草を吸ってしまってからジープに戻る。後部座席はエルが上半身を倒し寝てしまっていたため、サエは柚姫を助手席に座らせた。


 「そういえば参考になればでいんだけど」


 サエがエンジンを回し、サイドブレーキを外したとき、柚姫はあることを思い出す。それはシャルティアとの談笑終盤でレティアが言った言葉。


 「レティアはノブハに行きたいと僕にねだって来たよ。心当たりはある?」


 「ありますよ。ノブハは彼女の生まれた都市です。一先ずミッドラルは向かうつもりでしたが、そちらを先に当たってみましょうか」


 ギアを入れて、ジープは走り出し、先ほどまでの獣道とは違い多数の車が行きかうことで転圧され固くなった道をノブハに向かう。

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