表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黛家の新婚さん  作者: ねがえり太郎
おまけ 黛家の妊婦さん
94/157

九、四人でランチ

黛夫妻、本田夫妻でランチに行きます。



珍しく四人の都合が合った休日、二子玉川駅の近くにある百貨店の屋上にオープンしたカレー屋でランチを食べる事になった。少し混んではいたものの、メール登録で順番が来れば呼び出して貰えるらしく、本屋を冷やかしたり屋上庭園をブラブラして四人は時間を潰した。


席に着き注文すると程なくカレーが給仕された。

七海と本田は半熟卵の乗ったキーマカレー、黛と唯はエスニックそぼろカリーを選択した。

唯と黛の皿を見て、七海が感嘆の声を上げる。


「おおー『そぼろカリー』って見た瞬間はカレーに見えないね。サラダみたい」

「緑の量が多いね!これはパクチーかな?」


唯の疑問に本田がメニュー表を確認する。


「パクチー、大葉、ねぎ、三つ葉だってさ」

「体に良さそうだな」


黛が本田の手にあるメニュー表を覗き込んでそう言った。


「じゃあ、いただきますか?」


唯の声を合図に他の三人が声を揃えた。


「「「いただきまーす」」」


キーマカレーには半熟卵が乗っている。七海はスプーンをサクッと入れて一口、口にした。


「ん~……半熟卵ってズルいよね。確実に美味しそうに見える」

「俺も、半熟卵に弱いなぁ」


美味しさにジタバタする七海に、同じメニューを頼んだ本田も同意した。


「俺も食べたい、くれ」


黛がそう言うと、七海はスッと皿を差し出した。躊躇なく黛はスプーンで一口キーマカレーを救って食べる。それから「こっちも食う?」と言って自分の皿を七海に差し出した。七海がエスニックカレーを味見しようとスプーンを伸ばすと―――視線を感じて顔を上げた。

すると唯と本田がニヤニヤしながら二人の様子を眺めている。


「な、なに?」


思わず怯んだ七海に対して、唯と本田が視線を交わして面白そうに目を細めた。


「いやー、夫婦っぽいなって思って」

「ね、高校の頃ケンケン遣り取りしていたのが嘘みたいだよね」

「な……」


真っ赤になって口籠る七海の代わりに、黛が何故か得意げに返事をした。


「まあな!夫婦だから仲良くするのは当り前だろ?」


胸を張る黛を見て、唯と本田が噴き出した。


「随分嬉しそうに言うよね!」

「江島が呆れてるぞ、黛」

「もー!二人とも揶揄わないでよ、温かい内に早く食べようよ……!」

「「はーい」」


通常運転の黛と、恥ずかしがる七海。


大人しく返事をしたものの、その対比を楽しみながら視線で会話しつつ唯と本田は食事に再び専念する事としたのだった。



本田と唯はそれぞれのカレーを半分ほど食べた後、お互いの皿を交換。

「自分達だって……!」

とそれを見咎めた七海に指摘されますが、長年の習慣なので「ん?なにが?」と指摘されている事に気が付かない二人。

ちなみに黛にとっては中学校あたりから見慣れている光景なので、こちらもコメントなし。

ちょっとだけ何だか悔しい気分になった七海なのでした。



お読みいただき、有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ