二、カフェインレス生活(☆)
七海と唯の女子トークです。
※妊娠関連の明け透けな話題が出てきますので、苦手な方は回避するようお願いします。
※別サイトとは一部内容が異なります。
夫達が仕事で不在の土曜日、本田夫妻のマンションの居間で七海と唯は二人きりでたんぽぽコーヒーの試飲会を行っていた。
「うーん、何だろ?苦いって言うか……漢方のお茶?」
「ほろ甘い様な気も……少なくとも珈琲ではないねぇ」
妊娠中はカフェインを控えた方が良いとの事で、妊娠が発覚してから七海は珈琲や緑茶を飲まないようにしている。ネットで調べた所一日一~二杯程度なら問題ないらしいが、特に珈琲好きと言う訳では無い七海はほとんど口にしなくてもそれほど困ると言う事は無い。
最近の七海のお茶メニューは麦茶、ルイボスティーが定番で、それに時たまローズヒップティーが混じる、と言ったラインナップだ。しかしそろそろそのローテーション以外の飲み物も試してみたいと、珈琲の代替としてよく飲まれていると言う『タンポポコーヒー』を購入する事を思い立ったのだ。
「タンポポの……根だっけ……?」
「うん、根を焙煎してるんだって。うーん、珈琲って言うか別の飲み物だなぁ。そう言えば牛乳か豆乳を入れたら飲み易いって、モニターの意見欄に書いてあったなぁ」
「牛乳あるよ?」
「え、ホント?ちょっと入れてみて良い?」
「うん、今持ってくる」
と言う訳で。唯がキッチンから牛乳のパックを持って来たので、入れてみた。
「あ、ちょっとだけ珈琲に近付いたかも。カフェオレみたいな……?」
「うん、こっちの方が飲み易いね。ところでタンポポコーヒーって不妊にも効くって聞いた事あるけど、本当かな?」
唯にそう尋ねられて、七海は記憶を探ってみる。
「どうだろねえ?私が通販で利用したサイトでは、タンポポコーヒーは体を温める効果があってリラックスするのが不妊解消に作用するのかも、って言う曖昧な事しか書いていなかったなぁ。単に『効く』って書いちゃうと法律に引っ掛かるからぼかしているのかもしれないけど」
「私も飲んでみようかな?」
「もしかして『妊活』?まだ結婚したばかりでしょ」
「うん、でも早く欲しいなって思って。パイロットはできにくくなるらしいって聞いたから。でもねぇ……」
タンポポコーヒーをコクリと一口飲み、唯が溜息を吐いた。
「ポンちゃん、これから忙しくなるからなぁ。タイミングが難しいかも。いっそ、出張先に突撃しようかな……?」
と思案気に腕組みをする唯を見て七海は思わずつぶやいた。
「唯って、結構『肉食系』だよね……?」
「えー?ナニそれ?」
「積極的って意味だよ」
「うーん、そう言われればそうかも?と言うか早くフクフクの赤ちゃん構いたいっ……!ポンちゃんの子供だったら絶対ぽよぽよのフクフクになる筈なんだもん!」
そんな主張を握りこぶしを固めてしている彼女を見て『唯って本当に変な人だなぁ』と七海は思いつつ、笑ってしまったのだった。
お読みいただき、有難うございました。




