新婚さんのお隣さん
(100)話の裏側、短いおまけ話です。黛と七海がメインではありません。
※完結後もブックマーク、ご訪問いただいている方へ感謝を込めて。
「―――それで美味しい物食べよう!」
「はは、そーだな。羊羹尽くしにするか!」
「え!羊羹は美味しいけど、流石に羊羹尽くしは嫌だ~」
他愛無い事を言い合いながら笑い合う新婚夫婦。その新婚夫婦の隣に座る元バスケ部員、田宮はガックリと項垂れ、頭を抱えた。
「どうした?田宮。具合悪いのか……?」
その更に隣に座る同じく元バスケ部員の亀井が、突然悶え始めた田宮の顔を覗き込んだ。
「この席辛い……!俺の隣に何であんな奴等配置するんだぁっ!」
「隣……?」
新婚夫婦の会話が聞こえる位置にいない亀井は首を傾げた。
「……喧嘩でもしてんの?」
未だに高校時代のイメージが抜けない亀井にとって、黛と七海は仲が悪いとまでは言わないものの常に言い合いをしている印象しかない。
「違う!黛があんなヒドイ奴だなんて思わなかった……!」
「まあ、昔から変わった奴だよな」
親しいと言うほどの付き合いは無かったが本田と一緒に行動していた為、黛と関わる機会が多かった亀井は首を傾げた。変わっていはいるが直接喋らない限り害がある程では無いと思うが……と。
「俺振られたばっかりなのに……っ!イチャイチャイチャイチャうっとうしいんだよっ!!くそー!!!甘ったるい雰囲気巻き散らかしやがってっっ!!くう~~っ!」
と言って低い声で叫び、チラリと黛夫妻に目を向けてまた叫んだ。
「あ!あれぜってー手ぇ繋いでるっっ!もう本当にやめてくれ~本田と言い、黛と言い……うう~~っ」
「……」
よくよく聞くと、田宮は結婚式に参加のハガキを返信した後、お祝いムードに乗っかって良い雰囲気だった(と田宮だけが思っていた)後輩に告白して振られてしまったらしい……。
「ま……二次会で頑張ったら?」
苦し紛れにそう言って肩を叩いた亀井は、田宮に抱き着かれた。
「亀井~お互い頑張ろうな!」
「……おお……」
実は美人で性格の良い彼女がいるのだ……と、言い出せなくなってしまった亀井だった。
気の毒な田宮に気を使って、二次会でも言い出せませんでした。
お読みいただき、有難うございました。