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(78)撮影のあと

(77)話の後の、おまけみたいな話です。短いです。



掃き出し窓の前で二人の写真を撮った後、龍一と玲子も一緒に並んで家族四人の記念写真も撮影した。玲子が日本を離れる前に龍一と龍之介の予定を合わせる事が難しかったため、江島家の家族とはこれから日程を再調整して別途スタジオで撮影する予定になっている。


その後は場所を変え、吹き抜けとなっている階段や二階にある真っ白な部屋の明るい窓の前で指輪を交換する写真を撮影した。龍一も暫く付き合ったが、どうしても外せない用事があるらしく途中でその場を抜けて帰って行った。黛も病院から呼び出しが掛かり抜け出さなければならないかもしれない……と少しハラハラしていたので、何とか最後の写真を撮り終えた時思わず七海の口からホーッと溜息が漏れた。

妻の腰に手を当てたまま、黛は胸を抑える彼女の顔を覗き込んだ。


「どうした?緊張したか?」

「ううん、最後まで撮影できるか心配で。呼び出し無くてよかったね」

「ああ、そっか。まあ今日は大丈夫だと思ってたけど」

「うん、黛君はそう言ってたけどね。せっかく綺麗にして貰ったし、黛君がそう言う格好するの珍しいから最後まで撮影したかったの」

「……」


見上げると、黛がニンマリ笑って七海を見下ろしていた。

あっと思う間に、額にチュッと口付けられた。


「なっ……何するの」


焦った七海は吸い付かれた額に咄嗟に手を伸ばした。


「いやー可愛い事言うから、つい」

「人前では止めてって言ってるでしょ……!」


頬を染めてやや涙目になり、七海はグイグイ黛の体を押して離れようとした。それなのに黛はニヤニヤしたまま腰にまわした腕の力を弱めようとしない。


そこで救世主が現れて、パチンと我儘息子の頭を叩いてくれた。


「はい、時間無いから撤収よ!イチャつき終了!」

「そうだ、時間!黛君、ほら場所あけて着替えないと!」

「……」


黛が渋々と言った様子で腕を緩めたので、七海はパッと体を素早く反転し「じゃあ後で!」と言って介添えスタッフの導く方向へ向かったのだった。



お読みいただき、有難うございました。

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