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(48)揶揄わないで(☆)

短いです。


※別サイトと一部内容に変更があります。

平日だと言うのに疲れている七海が寝落ちするくらいまでしつこく迫った黛は、翌朝更にデリカシーの無い台詞で七海を恥ずかしがらせ―――真っ赤になった七海は堪えきれずに黛をベッドへ突き飛ばし、寝室を逃げ出した。


その恥ずかしがる七海が可愛らしくて、どうしてももう一度見たくなってしまった黛は、その朝逃げられたばかりだと言うのに夜にも再度しつこく絡んで七海を揶揄って―――とうとう彼女を怒らせてしまった。


結果として久々に石頭のクリーンヒットを受ける事になる。

頭を抱えて痛みに耐えきれず蹲っていると―――そんな黛を放ったまま七海がせっせとベッドの中心に細長く丸めたタオルケットを設置し始めた。


「……何やってんだ?」


痛む頭を抑えつつ尋ねると、


「ここから入って来ないでね。ではお休みなさ~い!」

「えー!」


とうとう寝場所を分けられてしまった。


しかし諦めの悪い黛は境界線を匍匐前進よろしくその堰を乗り越えて、七海の体に抱き着いた。

背中にピッタリと張り付いたデリカシー無し()に振り向きもせず、七海は抑揚の無い声で言った。


「放してちょうだい」

「なあ、悪かった。ゴメン!」

「……悪いと思って無いくせに……私の事揶揄って、そんなに面白い?」


「……」


返事は無かった。


「面白いんだ」


『この正直者め』―――と内心、七海は溜息を吐いた。

しかし温かい大きな体に包まれた背中から、ポカポカと眠気のモトが全身の血管を伝わって広がって行くと―――それ以上言葉を継ぐ事もかなわずに、ほどなく沼に足を獲られるように眠りの世界にはまり込んでしまった。


囲い込んだ温かい体から規則的な寝息が聞こえて来て「七海?おーい」と何度か声を掛けたが寝惚けた七海に押し退けられてしまう。

黛はショボンと肩を落としつつタオルケットの堰を端に寄せて、またゴソゴソと七海に近付き体を寄せると……今度こそ諦めて目を閉じたのだった。



翌朝はケロリとしている二人です。

小競り合いは高校の頃から慣れているので。


お読みいただき有難うございました。

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