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(39)誕生日プレゼント

黛の誕生日のプレゼントについての小話です。


「来週、黛君の誕生日だよね」


実は婚姻届を書いて初めて黛の誕生日を知った七海である。


「何か欲しい物とかある?」


ダイニングテーブルに向かい合って夕食を食べている時七海にこう切り出されたが、黛には特に思い当たるモノが無かった。


強いて言えば欲しい物として思い浮かぶのは『七海』なのだが―――もうそれは元旦に自分の物になって貰ったので……特に他には何も思い浮かばない。


「別に無いな」

「そう?じゃあ、ネクタイとか―――使わないか」

「使わないな」

「服とか靴とか」

「余ってる」

「そっかあ……じゃあ、ヨモギ餅」


黛が必ず喜ぶモノと言ったら、それぐらいしか思い出せない七海であった。


「食べたい」

「でもヨモギ餅じゃプレゼントって感じじゃないなぁ……」


う~んと悩んで考えこみ、七海はご飯を食べ終わった後も「う~ん」と唸りながらキッチンで洗い物をしていた。


アイツ悩み過ぎて禿げないかな……と余計な心配をした黛の頭に、天啓が舞い降りた。


「欲しいもん、思い付いた!」

「え?なになに??」


七海が手を拭いて、キッチンから飛び出して来た。


「服買ってやる」

「へ?」

「それ着てくれ」

「ええ、何それ!私のプレゼントじゃなくて、黛君のプレゼントを買うって話でしょう?!」


ニコニコ満面の笑みを見せる黛に、七海が目を丸くして反論した。


「決まりな!」

「???」

「俺が選ぶから」

「え~?」


七海は理由わけが分からなかったが、黛がもの凄く楽しそうに言うので最後には不承不承頷いたのだった。







** ** **







誕生日の当日、どんな変わった服を着せられるかと思い戦々恐々としていた七海だが、黛が選んだのは少し値の張るブランドのものではあるが普通のグレーのスーツだったので、首をかしげながらも有難く頂戴する事にした。それはフォーマルな場所にも、仕事にも着て行けそうなシンプルなデザインのものだった。そしてその日はそのままそのスーツを着てホテルのレストランで食事をする事になったのだった。


黛が選んだスーツを幾つか試着させられ、更に入念なチェックを受けて選びぬいた一品は本当に彼女にピッタリで―――少しだけ自分が美人に見えるような気がして、七海の気持ちもほんわり浮上した。


黛はその日終始ご機嫌でニコニコしていたので、七海も『まあ、本人が喜んでいるならいっか……』とその時は深く考えず笑顔を返したのだった。




数日前黛は、同僚の遠野に好みのナース服について質問を受けた。

「何でも良い」と答えた黛に遠野が「せっかく結婚したんだから嫁にコスプレさせたら良いのに」と言われ「また馬鹿な事言っているな」と呆れたのだが―――七海に誕生日プレゼントについて聞かれて、ピン!と思い付いたのだった。


七海は会社では長目のフレアスカートか、パンツスタイル。平日もジーンズと―――足を晒す服を着ることがほとんど無い。七海の同僚の立川が陰で言っていたように、彼女はスラリとした良い形の脚を持っていた。黛が仕事の為にタイトスカートを穿いている七海をを目にしたのは一度切り―――どうせなら、誕生日プレゼントにタイトスカート姿の七海を見てみたいと思い付いたのだった。




素敵なスーツを貰った七海が、ある日ウキウキとそのスーツを会社に着て行こうとして―――何故か黛からストップを掛けられ再び首をかしげる事になるのは……まだ少し後の話である。



おバカなエピソードでスイマセン。(いつも?)


お読みいただき、有難うございました。

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