2話:グッバイ現実
家を飛び出すとそこにはいつもの日常が広がっている。
はずだった。
そこに広がっていたのは、血まみれの人と手に血をつけた人だ。
「お前が犯人だ!じゃ、あとはお前がなんとかしろや」
手に血がついた人は陽向に向けこう言い残し走り去って言った。
「大丈夫ですか!?意識ありますか!?」
僕はそう血だらけの人に問いかけるのと同時に不覚にもその血だらけの体に触ってしまったのだ。それから1分もしないうちにパトカーが続々と来た。パトカーから警察官がおりてきて
「君には少し話を聞かせてもらうよ」
と言い陽向をパトカーに乗せようとしたその時だった。時が止まったのである。
動けるのは自分だけそんな世界が広がっていて他の人たちはなにも動かない。
と思っていた時である。全身黒色で深く帽子を被った人が近寄って来てグイっと陽向を引っ張り、半径1mくらいのグニャグニャしたところに押し込んだのである。陽向は少なからず動揺はしたとは思うのだがその感情を遥かに上回るものを見た。そこに広がっていたのは素晴らしく綺麗な丘だった。そこには家が一軒立っており、全身黒色で深く帽子を被った人はおらず陽向ただ1人だったのである。