人生とは選択の連続である
「ブレイブクエスト」にはジョブが設けられておりレベル5になると選択できるようになる。
現在あるジョブは以下のとおりである
騎士 防御力と体力が高い。
戦士 体力と攻撃力が高い。
魔法使い MPが多く、攻撃、補助魔法を覚える。
僧侶 MPが多く、回復、弱体・妨害魔法を覚える。
盗賊 素早さが高く、宝箱や罠の解除が可能。
キングが早速虹のオーブを使おうとするので、慌てて止める。
「待つんだ!もっと慎重にどのジョブになるか考えないと本当におしまいだぞ!」
僕の声が王の間に反響する。
……やはり何かおかしい。キングが叫んだ時も違和感はあったのだが。
僕は王の間にある玉座を横に押してみる。
……ピクリとも動かなかった。
キングが訝しげに僕を見ている。
流石にドラ○エと同じシステムではないようだ。
しかし、声の反響は王の間の奥の方から聞こえたのは間違いない。
僕は奥の壁をとんとんとんと叩いてまわった。
すると、壁の真ん中あたりのところで手が壁の中にずっと入り込んでいった。いや、正確に言うならば、そこに壁はなかった。
僕がその壁にゆっくりと近づくと、壁の中に入ることができた。そこにはちょっとした空間と、地下に続く階段があった。声はここで反響していたのであろう。
なるほど、ドラ○エではなくハリー○ッター方式だったか。VRの技術を上手く使った隠し部屋である。
「おお!この壁の中に入ることができるのか!」とキングが後ろからついてきた。
「この城の宝物は先に来た冒険者たちがあらかた持って行ってしまってのう。リスボーンするにはもう少し時間がかかる。ここは恐らく奴らも見つけてはいないだろうな。」とキングは言った。
確かに、階段は蜘蛛の巣や埃だらけで、人が入ったような形跡はない。
……こんな無駄なものまでVRで再現しなくてもいいのに。
地下へ続く階段を下ると、武器庫であろうか、剣やナイフ、斧、盾、兜、鎧など様々な武器と防具があった。
すると、奥の方から男が出てきた。
心臓が飛び出るかと思った。
「よくここを見つけることができましたな。」と男は言った。武器庫の中が暗くて、顔の判別はできない。
「ここは、ゴウセツ地方が魔王に支配され、ただの村となってしまうまえに、私が隠した武器でごさいます。」と男は言った。
男はゴウセツ地方の領主に仕えていた執事ということであった。
「魔王を倒すというのであれば、ここにある武器と防具からそれぞれ一式ずつなら持って行ってよいですよ。」と執事は言った。
「ケチンボ」
「はい?」
「魔王を倒す勇者になら、全部渡したっていいじゃないか」
「魔王を倒すのに、どうして一式より多く必要なのでしょうか?私には、必要分以外は転売される未来しか見えないのですが」
執事の言葉に少しギクリとしてしまった。
もし、どうしてもと言うのなら……
という声が聞こえると、男が目の前に現れた。
よく見ると足がない。
この私めが相手をしますが……
僕とキングは王の間へと逃げ帰った。
おそらくイベントで、全部持ち帰ろうとすると、執事の幽霊とのバトルになると思われるのだが、勝てる気がしない。
僕らがレベル1だということもあるが、たとえレベルが高い状態だとしても勝てる気がしない。
風来のシ○ンで言うところの店主みたいなものだ。下手なボスよりは強いであろう。
キングは息を切らしながら
「つまり儂たちはいろいろと選ばないといけないということじゃな」と言った。