第7話 異世界最強(防御だけ)
歓声がきこえる…相変わらず物騒なことばかり言っている。
いくら背中が頑丈であろうとも5人の大人に数分間も踏まれ続ければ限界がくる。
意識が朦朧としてきた……。
ダメだ‼
今、気絶したらここで俺の人生は終了してしまうだろう。
最後の力を振り絞るかのように俺はスキルポイントを防御にありったけ注ぎこむ。
その瞬間身体から痛みが消えていく。
あれ?痛くない‼
ステータスを確認してみる。
<ステータスオープン>
ナカオ テル 20歳 日本国
LEVEL 3
体力 110
魔力 55
力 105
防御 1000000000000
すばやさ 55
器用 330
運 250
スキル 鑑定3級 ステータス操作【3】
ん?
あれ?
バクってる?
いちじゅうひゃくせんまん…
1兆…
1兆!?
どうなってん?
踏まれながらも考えることが出来るほど余裕が出来ていた。
てかもう全然痛くねぇな
『ここからは俺のターンだ!』ってパターンきたんじゃね?
やっと勇者らしくなってきたじゃねーか‼
ここから勇者テルの伝説が始まるってか?(笑)
俺を蹴り続けている5人も流石におかしいと思いはじめる。
「おいおいどうなってんだ?」 「頑丈すぎたろ」
「こいつ笑ってやがるぞ?」 「何かする気だぞ!」
「気をつけてろ!」
奴隷5人組が距離をとりはじめる。
バカめ‼
今更おそいわ!
俺は自信満々の顔であのセリフを言う
「ここからは俺のターンだ!」
今の俺、最高にカッコイイよ‼
くらえ!今までの異世界生活の悲しみをのせた俺の必殺ブロー
グオォォォンと音を立てて俺の拳が5人組の1人に直撃する。
きまったーーーーーー!
今の俺は異世界にきて最高に輝いているだろう。
だか拳の感触に違和感を感じる。あれ?倒れない……あ!?
その時俺は気づいてしまった。
上がったのは防御だけと言うことに。
生まれてこのかた喧嘩とは無縁の緑ゆたかな田舎で育った俺に正しいパンチの打ち方など分かるはずもない。
てか力が105の俺がいくら殴ろうとも所詮は105。
いくら防御が高くても俺は凡人なのだ。
俺が殴った男は鼻血をながしていたが、ただ鼻血がでただけだ。
そして俺はまた浦島太郎の助けを待つ亀になるのであった。
今の俺、最高にカッコ悪いよ…
あれ?
身体は痛くないのに何故か涙がでるよ…教えて母さんこの痛みはなに?