第48話 残酷な笑顔
久しぶりにコメントとか貰えたらモチベーションとかあがるかなー…………なんて………批判でもいいんでコメントほしい
「はぁっ…………はぁっ……」
街を出てから1時間ほど、スピカは目的のアジトへと到着した。距離にすると約五十キロ。普通なら1日間ほどかけて進む距離をものの数時間ではしりきっていた。それも魔物がひしめくこの大草原の中をだ。
乱れだ髪や服を直す余裕などなく息をするだけで精一杯であった。息を整えながら歩いていると身体中から玉のような汗が噴き出してくる。
アジトの入り口付近に近づけば近づくほど今、自分が何をするべきかと言う目標が見えてくる。
1歩また1歩とアジトへと近づいていくと見張りの男がスピカに気づいた。ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらスピカに話しかける。
「随分と着飾って今回はどんな奴を騙したんだ?」
頭のてっぺんからつま先までまるでなめ回すかのように私の全身を見てくる。この男から感じられる視線には不快感しか感じない。
「お~い?スピカちゃ~んなにシカトぶっこいてんですか~?」
「…………」
独特の嫌な空気。次に男が喋る時、確実に何かが始まる。
「おい……何があったか知らねぇけどよ……調子にのんなよ?」
男が懐から獣調教用の鞭を取り出す。調教用と言えども獣に使うことを前提としている鞭なので人に当たれば肉が裂けるほどの威力がある。
目の前の男は『叩きつけて立場を分からせれば何時ものようにすがりついて謝ってくる』っと考えているだろう。
だが今、男の目の前にいるスピカはいつものスピカではない。
パンッと乾いたような音が響く。男は笑う。恐怖や痛みに顔を歪め怯えるスピカの姿を想像して。
しかしそこには恐怖や痛みに顔を歪めるスピカの姿はなく凛と立たずまう姿の少女がいた。
ほんの一瞬だが今の状況を忘れ目の前にいる少女にみとれてしまっていた。頭のスイッチを切り替えて状況判断にうつる。
鞭の先を見ると先端が鋭利な刃物で切られたような跡がある。
「ドレスの裾で分かりにくかったが仕込み武器か……どうとち狂ったかわからねぇが俺達に反抗しようってことか!……いいねぇ……そそるよお前……存分に楽しもうじゃねぇか!」
男が戦闘態勢に入ったとき身体に違和感を感じる。なにかを失った喪失感に近い。
それに気づいたとき鞭が右手から落ちる。いや………正確には右手の手首ごと落ちていた。
「は?」
床に落ちた右手を見る。
「何で俺の右手が?………ぁぁああああっ!」
次の瞬間右手に強烈な痛みが襲いかかる。男が痛みを声に出そうとした瞬間視界が傾く。
今度は自分の身体が見えた。右手首と首がない自分の身体が…………
「叫ばれると面倒ですからね…」
スピカは容赦なく男の首をはねた。何年も一緒に生活し共に悪行をこなした男を………
元仲間を殺めた罪悪感などはまったくなくむしろ彼女は…………
「ふふっ…………なぁ~んだ………こんなに簡単なことだったんだ……」
笑った。




