第3話 奴隷になりました
ふと気が付くと俺は檻の中に閉じ込められていた。
「ここどこ?」
1日に2度もこんなセリフを使うことになるなんて思いもしなかったな。
俺は今どこにいるのだろう?
状況把握の為、回りを確認しようとするが、人が1人分入る鉄格子にボロ布が被せられている事しか分からなかった。
『‥‥‥!』
耳をすませてみると奥からかすかに声が聞こえてくる。
『おい!何であんな使えなさそうなやつなんだよもっと他にいなかったのか?』
『俺だって最初は拐うつもりなんざぁこれっぽっちもなかったけどよぉ。珍しい格好してるし、金でも持ってるかと思ったけど身分証すらもってねぇときた。今月のノルマもあと1人だったしさぁ。』
会話の内容からすると、どうやら俺はあの荒くれ者に拉致されたらしい。‥‥‥‥やばい脳が考えることを放棄しようとしてる。冷静になるんだ。まだ慌てるときじゃない。
『まぁ買いそうな物好きもいなさそうだし。コロシアムにでもまわして一稼ぎしてもらうか』
『そういつはいいな!処分費もかからんし最高じゃねーか。』
やばい‼これはやばいぞ。コロシアムとか言ってたし、間違いなくまともな場所ではないだろう。
どうにかしてここから逃げ出さなければ。
『よし‼それじゃ売りに行くかぁ‼』
マジ?そんなに早く決断しちゃっていいの?布をめくって状況確認をしてみると目の前にあの大男が立っていた。
「あ‥‥‥」
マズイ目が合ってしまった。
「こんにちは」
テンパりすぎて何故か挨拶をしてしまった。
「なに見てんだゴロァ‼」
また大男からの拳がとんでくる。
「バカめ!」
2度も同じ手をくらうかと大男の拳を避けると。
『なに避けんだゴロァ‼‼』
30センチはあろう大男の足が俺の腹に目掛けとんでくる。
あっこれ無理だ。
そう思った時にはもうすでに大男の足は俺の腹にめり込んでいた。
何も入っていない胃から何かがこみ上げてくる
「オエェ‼」
胃液を吐き散らしながら俺の意識がまた闇の中に落ちていくのが分かった。
再び目を覚ますと、また知らない場所にいた。
今度は俺だけではない。回りにはボロ布をきた男達が数人いた。
てかいつの間にか俺の服もボロ布に変わっていた。
コツンコツンとリズムの良い音が近づいて来る。
奥からボンテージを着たSM女王のような女がこちらに歩いて来る。
「さぁ!豚どもこれから、たっぷり稼いでもらうよ‼」
俺の異世界ライフはどこで間違えてしまったのだろうか。