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第32話 本物の闘い

さて皆さん問題です。


QA


身長2メートル以上の筋肉男が時速60キロで走ってきます。この時の中尾 耀の気持ちを5文字で的確に答えなさい。





答え


かえりたい




軽く現実逃避をしながら物凄いスピードで走ってくるウラドに対応する為に構える…


「遅ぉぉぉい‼」


胸ぐらを掴まれそのまま野球の投擲のようなアーチを描いて俺を地面に叩きつける。


ドォォォン‼



「これが実戦であれば今っ! お主は死んでおった‼」


地面に身体がめり込んでいて動くことができない!ウラドは本気だ。本気で俺を殺しにきているっ!



「そして‼」


ウラドが地面を抉りながら俺の顔面を蹴り上げる。


「ガッ!」


数メートル先まで水面をはじく石のように飛びはねる。


「お前は自分の防御力に頼りぎておる‼ 本当の戦闘において一撃を貰うことは死ぬことと同じだ!」


ヤバイっ! 体勢をたて直さなければ…


「常に相手の動きを見ろ!」


手をかざし俺に向かって無詠唱で水魔法をあてる


「ガボボボボッ!?」


水の大玉が顔の回りにまとわりつく。


ヤバイっ!息が……


「相手の攻撃にどう対応するのか考えるのだ‼ さあっ! 早くせぬと溺れ死ぬぞ!」


「グボォォォォ!」


水に手をいれ風魔法ではじきとばす。


「それじゃ‼ お主には発想の転換がある! 常識にとらわれんその発想は天性のものじゃ‼」


「ゲホッゲホッ! オエッ!」

飲み込んでいた水を吐き出す。 危なかった…このクソ爺!…やり過ぎだろ!

このままじゃ旅立つ前に殺されちまう。


「さぁ! お主の全てを出し尽くしてみよ!」


せめて一泡ふかせてやりたい。俺はウラドにまだ見せていないとっておきの攻撃を選択する。


「出し惜しみなんてできねぇからな…」


両手をあわせ爆発魔法の準備をする。威力は充分ある。あとはどう当てるかだ。


「ふむ! なにか面白そうな事をしておるな?」


油断はしてくれない…いつものウラド先生の状態なら当てることは出来るだろうが、今俺の目の前にいるのはウラド・ツウェペシュ男爵だ。その目には優しさなどなく本気で俺を殺そうとしている者の目だ。


考えろ! ウラドは次に何をする?


相手の思考を読め………




ウラドが右手を上にかざす。


「させんわ‼」


俺に考えさせる暇をあたえず、ウラドが火魔法で攻撃をしてくる。俺を囲むようにして浮かぶ火の球がウラドが手を握る動作をすると同じに回りを火の海にかえる。


前に飛び込むみ受身をとるようにして立ちあがる。


『くそっ!折角手に込めた魔力が散ってしまった…』



近づけば、あの出鱈目な力でぶっ飛ばされる。離れれば魔法地獄が待っている。


だが俺が攻撃をあてる確率が一番高いのは…


「ウォォォォ‼」


「ほう…肉弾戦をえらんだか‼ 良いぞ捻り潰してくれる‼」


溜めがある爆発魔法は当たらない…奴の隙をつくる為にどうするか…。


「ガハハハハ‼ 小さいのぉ?」


ゴォォォ!


まるでラスボスのようなセリフをいいながらバカデカイ拳をうち下ろす。

それを紙一重でかわし股下に潜りこみ床に手をつき次の攻撃に備える。


『俺の魔法を当てる方法はこれしかないっ!』


ウラドの後ろにまわり水魔法を放つ。


「お前の威力のない魔法なぞきかんわっ‼」


片手で水を弾き、やり返すかのように水魔法を打ち返す


「これくらいやってみんか‼」


ボン‼


水が爆発をおこしテルの身体をとばす。


「やっぱりこれくらいじゃ隙になられぇか!」


すぐに立ち上がりウラドのもとへ走る。そしてスライディングをするように股をくぐろうとするが…


「ガハハハハ‼そんなに近くにいて大丈夫か!?」


ウラドはそれを知っていたかのように満面の笑みをうかべテルに向かって強烈なアッパーをかます。



「安心しろ…狙い通りだ‼」


ここにきてはじめてテルが笑った。

アッパーがきた瞬間ウラドの目の前で何かが弾ける。


パァン



辺りが水蒸気に包まれて何も見えなくなりウラドのアッパーが空振りする。



「なんじゃこの魔法わ!?」


初めて見る魔法にウラドが一瞬動揺し、テルを見失った。



「ようやく隙ができたな…」


数秒の隙でよかった。


テルが使ったのは混合魔法であるが組合せがいつもとちがい水と火そして風の三種類の魔法を使っていた。水を火で蒸発させそれを風魔法でちらす。



「残りの魔力もっていけぇぇぇえっ‼」


バァァァン‼



がら空きになったウラドに渾身の爆発魔法を放つ。



「うぉぉぉぉ‼」


巨大な爆発によって両者、弾けとぶ。



手応えはあった!これ以上ないタイミングだ。前回使った時よりも更に威力が上がっていた。これをくらえば立ち上がれる者などいない!



「俺の勝ちだぁぁぁぁ!」


魔力切れをおこし意識朦朧のなかテルが叫ぶ。 しかし…



「誰に勝った?」


後ろにはウラドが立っていた。


「敵を倒したか確認すること!これは戦闘において基本中の基本じゃ‼」


無邪気な笑顔をしながら魔法を放つ。


「極大水魔法<水龍門>」


巨大な龍のデザインをした門が出てくる。まるでダムが崩壊したかのような量の水が押し寄せてくる。水の威力が強すぎて上下が分からない。



『最初から詰んでたのかよ…敵わねぇな…』


濁流にのまれながら俺は意識を失った。





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