第30話 私達の勇者
オラのこと愛してくれるなら誤字、脱字を教えてくれぇ~
自室のベットに寝ながらウラドの言葉を思い出す。
『これだけは覚えておくがいい、お前が勇者であることを』
…何が勇者だ…魔王に殺されたならまだ分かるよ、でも皆、魔王の部下に殺されてんだ。チート能力をもっているであろう勇者達がだぞ? きっと俺が行ってもすぐに殺される。
好きて勇者やってるわけじゃねぇんだ。俺なんかよりウラドの方がよっぽど勇者らしいじゃないか!弱い俺なんかより…全然…
勇ましくない奴なんて、勇者じゃねぇだろ!
異世界に来て奴隷にされてそんな状況じゃ強くなる暇なんてねぇよ。 もうスタート地点から他と違うんだよ…
なんだか怒りが込み上げてくる。
いきなり異世界に放りこまれてはい魔王を倒しに行きます!って言える奴は異常だよ。
「ここに残ろう… その方が絶対良いにきまってるよ…」
「「何が良いの?」」
「うぉ!」
いきなり話しかけられて驚いた声をあげる。ベットの下を見るとラピスとラズリが潜んでいた。いつものイタズラか…
昔のイタズラと比べて可愛くなったもんだ。
「お前等な…はぁ…まぁいいや」
「「どうしたの?元気がないわよ?」」
まるで打ち合わせでもしたかのように正確に声をそろえて喋る。そうだ!この話を二人にしてしまおう。そうすればこの二人もウラドの言うことに反対してくれる筈だ。
「なぁお前ら俺がここからいなくなったら寂しいか?」
「「寂しいわ‼」」
「俺、魔王討伐に行かされそうなんだよ…なぁラピス、ラズリ俺がそんな危険なところに行くのは嫌だろ?」
俺はここに居たい一心で卑怯な手を使おうとしている。だが本当にそれでいいのか?純粋な子供達を使って俺は何をしようとしているんだ?
「「知ってるわ」」
「え?… なんでだ?」
「お爺様の部屋においてあった手紙を読んだの!」「前にテルが勇者だなんて嘘だと思っていたけど…」
知っているなら話は早い。
「それなら分かるだろ?俺は勇者なんて器じゃないし、ここで使用人をしてた方が良いに決まってる!そうだろ?」
「「そうね…」」
「だろ?」
よかったこの二人は俺達の味方のようだ…
「私達はテルに行ってほしくない」「けどテルは行くべきだと思うわ」
なんでだよ…
「なんで! 俺なんて誰も救えない! あの誘拐事件だってそうだ! 結局はウラドが来てくれなきゃ助けることが出来なかった!俺は弱いんだよ…魔王に勝てっこないんだ…」
「「そうね…テルは弱いわ…「いつも情けなくって 」… 「かっこいいとこなんてなくって」 でもね…テルが勇者じゃないって言ったとしても」」
「「私達にとってテルは勇者よ」」
どうして… お前達はそんなに眩しいんだ…
「俺…レベルなんて高くないよ…」
「知ってるわ。けどレベルなんて関係ないテルには別の強さがあるじゃない」
ラピスが言う
「カッコイイとこなんて1つもないし…」
「私を守ってくれた時のテルはとってもカッコよかったわ」
ラズリが言う
「「テルのダメな所なんていっぱい知ってる、でも私達はテルの良い所をいっぱい知ってるのよ?」」
こんな小さな子供に勇気づけられている。この二人には学ばされてばかりだな…
「俺…さっきまで…お前達の事…利用しようとしてたんだぞ?」
自分が情けなくって目の前が霞んでくる。
「人間は弱いわ」「あやまちくらいおかすわよ!」
物凄く悟りを開いたかのような発言をする。
「お前達…本当に10才か?」
「「ふふっ立派なレディよ!」」
「はははっ!」
「「やっと笑ったわね」」
「やっぱりテルは笑顔が一番よねラズリ」 「そうねラピス」
「俺は…俺…ごめんな…お前達の気持ち分かってやれなくて…」
涙がでる…
「俺は…俺は…」
何がレベルが高くないだ。 他の勇者より弱いだ。俺は言い訳ばかりじゃないか…
いいぜ…やってやるよ! どうせ言い訳するなら上げるとこまで上げてからしてやる。 他の勇者に会ったことすらないのに俺は一体誰と比べてたんだ? 自分の気持ちにさえ矛盾があるじゃないか…そんなことにすら気づかないほど俺はバカになってたのか…
俺にも救える命があるかもしれない。この子達を失望させてはいけない…なぜなら…
「俺はお前達の勇者だからな!」
「「当たり前のことを言わないでほしいわ!」」
二人は笑う
「俺っ‼ウラドの所に行ってくる。」
ウラドの自室に走る。勇気ならあいつ等に貰った。俺は勇ましくない、今まで楽をしてきたんだ勇者のしかくなんてないだろう。
それなら俺は他の勇者より救ってみせる。サボってきた分頑張ろう。
そう決意してウラドの自室に入る。
「ウラド! 俺 行くよ‼ やってみる」
いきなり部屋に入ってきて旅立つことを言う俺に対してウラドは嬉しそうに俺を見る。
「そうか!それで?いつ主発する?」
「もう決まってるよ…今からだ!」
あの子達の理想の勇者であるために俺は旅立つことを決意した。




