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第29話 あれから…そしてこれから…

あの誘拐事件から3ヶ月がたった。



あれ以来ラピスとラズリに対する苦手意識もすっかりなくなり、この屋敷の生活にも大分馴れてきた。使用人としての仕事を完璧にこなせるようになったので教育係として俺に仕事を教えてくれていたノエル先輩から免許皆伝をいただくほどに成長した。


仕事が終わればラピスとラズリの世話をし、ウラド先生と特訓をして泥のように眠る。


そんな充実した毎日を送っていた。ただそんな生活の中でも変化はある。まずは俺のステータスだ。


ナカオ テル 20歳 日本国


LEVEL17


体力 230

魔力 250

力 235

防御 1000000000000

すばやさ 170

器用 650

運 560


スキル 鑑定2級 ステータス操作【17】 水魔法 LEVEL1

風魔法 LEVEL1 火魔法 LEVEL1 混合魔法 LEVEL1


見ての通りレベルが上がりました‼ やったねてるくん!


ステータスも最初のゴミみたいなのと比べると大分ましになったと思う。強さで言うと中堅の冒険者ほどのステータスはあるらしい。1度ウラド先生にステータスを教えると「成長速度は一般人と対して変わらんがここまでワシの訓練についてこれる奴はなかなかおらん‼」らしい。

俺の防御力については「人類が到達できる限界を何倍も超えているぞ!?」と流石に驚いていたが。



皆さんお気づきでしょうか…鑑定が2級になっていることに‼

最初は自分の目を疑ったがこれはLEVELが二桁になると同時上がっていたのだ。


とりあえずタス子に聞いてみると…


################################


《鑑定2級に昇格しました。マスターおめでとうございます。》


久しぶりに出てきておいてこいつは何を訳のわからないこといってるんだ?


《分からないのですか? コレダカラ ドウテイハ(ボソ》


おい!聞こえてんぞ!


《スキルについてですが 級、 LEVEL 、なのどランクがついているスキルに限りLEVELがある程度上がることによって能力も向上します。ランクによって名前も異なり 3級~特級 魔法LEVELは鍛えれば鍛えるほど上がり上限は今のところ確認されておりません。質問は以上でよろしいでしょうか?》


よろしいですか? じゃねぇんだよ! お前なんでそんなに大事なこといつも話してくれないの? お前のせいで俺がどれだけ苦労したか…


《聞かれなかったので! それではまた暇な時に!》


ちょっ おまっ ! 待てよ! くそ!ステータス操作! ステータス操作!


それから何度呼びかけても スキル欄をタッチしてもタス子は出てこなかった。


###############################


なんて自由なスキルなんだろう…スキルが意思を持つとか普通に考えてありえないたろう…




とりあえず鑑定2級でなにが変わったか説明しよう。


俺は近くの雑草にむかって鑑定2級を使う。




ニビル草 採取地 地大陸 魔大陸 獣大陸


基本的にどこにでもはえている雑草。あまりの生命力の強さ、数の多さに人類が滅んでもニビル草は残るだろうと研究者の間で言われている。


買い取り金額 0


調合レシピ


ニビル草+????=????




このようにステータス以外にも鑑定を出来るようになった。


そしてスキルに魔法が増えていた。まだまだ威力は低く、使いどころも特にない。だが1つ面白いスキルが増えていた。その名も混合魔法‼ 現在の俺の切り札である。あの誘拐犯達に使った技なのだが実戦で使うことにより習得することができた。火 風の魔法以外にも組合せることができそうなので今後も様々な組合せを試してみよう。


以上が俺についての変化の話である。


そして一番デカイ変化が………






「「テルーー!」」


あの双子になつかれた。



二人が俺に抱きついてくる。



「ねぇねぇ今日は何して遊ぶの?」


「ねぇねぇまたアッパルケーキをつくってちょうだい!」


今までと態度が変わりすぎてもはや別人のようだ。まぁ決定的な出来事があの誘拐事件後のことである。俺は二人にあることを提案した。



『なぁお前ら、俺と話をしよう』


それから俺とラピス、ラズリの三人でじっくり話をした。イタズラをする理由、二人の好きなこと、嫌いなこと、将来やりたいこと、この話をしたとき二人そろって「「お嫁さん!」」と言ったときはまだまだ可愛い子供だなっと思った。


二人の話ではなく俺の話もした。

奴隷になった理由、俺の故郷のこと、好きなこと、嫌いなこと、実は二人の見分けがつくこと、これを言ったとき二人は「「嘘だー!」」と言っていたが実際に当ててみせると驚いた表情をしていた。



それからは二人のイタズラも減り、大人しくなりつつある。イタズラも前より可愛くなったものだ。寝ている俺のベットに忍びこんだり、風呂に突入してきたり、ウラド先生との特訓中にやたらと俺を応援したり……


あれ? 前より悪くなってね? こないだもノエル先輩に「ロリコンなのですね…」と残念な人を見る目でみられた。フラグがクラッシュした瞬間であった。これでノエル先輩ルートは永遠に来ないだろう。


誰かセーブポイントを教えてくれ…



「ラピス今日は俺の故郷につたわる伝統的なダルマさんが転んだと言う遊びをしてやろう。」


「ラズリ、昨日食べたばかりだろう?甘いものばかり食べてちゃ立派なレディになれないぞ!」


「「はーい♪」」


このようにとても素直だ。


ウラド先生からだけでなく最近は屋敷全体の使用人からの視線も痛い。まぁアパッルケーキを出せば大抵は機嫌がなおるのだが……



ラピスとラズリ、ウラド先生、使用人数人とダルマさんが転んだを夕方まで遊んだ。



毎日が充実している。もう魔王討伐などどうでもいいかもしれない。きっと他の勇者がやってくれる筈だ。



「今日も楽しかった…明日は何を教えてやろうか…そうだな氷鬼とかあいつら喜びそうだ」


すると先ほどまでラピス、ラズリと遊んでいたウラドが俺の元へと歩いてくる。


「テルよ…夜に私の書斎に来てくれ…」


「分かりました」


なんだろう…

一般教養の続きかな?もうほとんど教えてもらったと思っていたんだが…


――――――――――――


夜になりあの書斎へと訪れる。

重厚な扉の感触が腕につたわる。来たばかりの頃はびくともしなかったが今は違う。


「ふぅんんんん‼」


力をこめると扉がゆっくりと動き出す。最初に閉じ込められてここで一日を過ごした事を思い出し自然と笑顔になる。


いつかはウラド先生のように片手で軽く開けてやる。そう決意しながら中に入るとウラド先生が書斎で本を読んでいた。テーブルにはブランデー入りの紅茶、葉巻がおいてある。


…ウラド先生が酒を飲んでいるところを始めてみたな…


「ウラド先生。 お待たせしました。それで話とはなんでしょうか?」



「うむ そこに座るがよい! 」


さて何の話かな…雰囲気的に一般教養ではなさそうだ。孫バカお爺さんのことだ。ラピスとラズリにくっつきすぎだとか言われるのかな?



だがウラドの口にする言葉は俺の一番聞きたくない言葉であった。


「テルよ…お主そろそろここから出て旅にでぬか?」


「え…」


しばらく静寂が続く…


「や… やだなぁ~ウラド先生! 冗談キツいっすよ。 あれですか? 最近ラピスとラズリが俺にくついているもんだからちょっと意地悪しようとか思ってんでしょ? 本当にやめてくださいよ~ははは はは は…」


ウラド先生の目は嘘をついている人間の目ではなかった。


「俺…何かやらかしましたか?…」


「違う。」


「じゃあどうして!?」


「お主は自分が勇者であることを自覚しておるか?…」


聞きたくない!


「俺なんて勇者じゃないですよ!全然強くないし魔物なんて倒したこともないですし、多分間違えて召喚されただけですよ魔王だって今頃他の勇者が倒してくれてるかもしれないですし…」


聞きたくない!


「先ほどワシの元に王国から手紙がきた。」


聞きたくない!


「勇者の残り人数が10人程になったらしい…」


「…」


…どういうことだ?


「召喚された勇者はほとんど魔王の部下に殺された。」


「なら! 俺が行ってもかわるわけないだろ! 俺は弱い…強くないんだ…」


俺よりも何倍も強い筈の勇者がほとんど殺されてるんだ。俺なんかが行っても状況が変わるわけないだろ…


「お主はこのままで良いのか?それではいつか絶対に後悔することになるぞ…無理して出ていけとは言わん…ただこれだけは覚えておくがいい。お前が勇者であることを…」



そう言い残してウラドが部屋から出て行く。



「俺にどうしろって言うんだよ… これからなんてわかんねぇよ」






読みなおしてみたらヤバイ文章がありました。


誰も気づかないことを祈り修正しました…

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