第1話 まさかの役立たず
「ここどこ!?」
そんな俺の悲しい叫びを全力無視で豪華な服を着た王様っぽいおっさんは俺に1枚の紙を渡してきた。
「何回も説明とか面倒じゃわ。詳しいことはその紙にかいてあるぞい。それじゃあとはよろしく」
投げっぱなしジャーマンのように無責任な発言をした後、王様っぽい格好をしたおっさんは歳に似合わぬ軽やかなスキップをしながらこの場を立ち去る。
ふざけんな!お前にとっては100回目かもしれないけど、俺は初見なんだよ!
そんなことを思っている内にいつの間にか鎧を着たガチムチ兵士に無駄にでかい建物からしめだされる。
勇者とか言っといて扱いが雑じゃないか?
とにかく慌ててはだめだ。自分を落ち着かせるためにとりあえず深く深呼吸するとこから始めてみることにした。
「ヒッヒッフーヒッヒッフー…………なんか違う気がする……」
やり方は間違っているかもしれないが、とりあえず落ち着くことはできた。
まずは自分の状況確認の為に城を出た時に渡された1枚の紙に目を通すことにした。
-----------------------------
勇者マニュアル
おめでとうございます
あなたは100人目の勇者に選ばれました。
元の世界に帰るためにはある手順をふまなければいけません。
その1 この世界を支配しようと企む魔王を倒すこと。
その2 異世界への帰還には魔王のもつ強大な魔力を秘めた闇のオーブが必要となる。
この2つの条件が揃えば貴方は無事、元の世界に帰ることができます。
魔王討伐にあたり、あなたには特別なスキルが与えられていると思います。まずは【ステータスオープン】と唱えてみましょう。
そこにはあなたの秘められた力についてかいてあるでしょう。
それではよい旅を
王様より
-----------------------------
よい旅をじゃねぇよ、ぶち殺すぞあのじじい‼なんだよステータスってゲームじゃあるまいし!
てかゲームなんてもう何年もやってないし!本当バカじゃねぇのあいつ。
とにかく今出来ることをしよう。紙にかいてある通りの言葉を言ってみる
「ステータスオープン‼」
すると目の前に液晶のような半透明なプレートが浮かび上がる。
ナカオ テル 二十歳 出身地 日本国
LEVEL 1
体力100
魔力50
力100
防御20
すばやさ50
きよう300
運300
スキル 鑑定3級 ステータス操作【100ポイント】
どうしよう…基準がわからん。
とりあえずまずは鑑定3級からだ。3級ってなんだよ。英検みたいなもんか?
ちなみに俺は英検3級なんて余裕で落ちたぜ‼
まぁそんな話しはどうでもいい。ものは試しだ目の前にいる子供に鑑定を使ってみよう。
「鑑定」
------------
ミルコ 8才 出身地 ガスパニア王国
LEVEL 5
体力100
魔力100
力30
防御50
すばやさ100
器用30
運50
目の前の子供のステータスと自分のステータスを見比べる。比べると言っても、もはや一目瞭然であった。
まじかよ…俺弱くね?
ステータスが町の子供といい勝負とか…やばい泣きたくなってきた。成人男性とは思えぬ弱さ、まさに役立たずである!