第9話 勇気の鈴がリンリンリン♪
間違えて書いていた話を消してしまいました。
思わず叫びました。
寝床で横になりながら今日の出来事を思い出す。あの時ああすれば、この時こうすれば、などと過ぎたことをいつまでも後悔している。
あの浅黒い肌の男事を考える。あの目は他の奴隷とは違う異質なものであった。回りは生き残るために必死で闘っている。だがやつの目には必死さが微塵も感じることが出来なかった。
あれは闘いを楽しんでいる目だ。他の奴等とは人種が違うのだ。
この闘技大会では殺傷は禁止されているが果たしてあの浅黒い男はそのルールを守ってくれるだろうか。
ダメだ。考えればよけいに泥沼にはまっていくような気がする。
そうだ!異世界に来て楽しかったことを思い出そう……………何もなかった。
暗い気持ちのまま明日の対戦表を見に行く。
掲示板前に行くと多くの人で溢れかえっていた。近づくと回りの男達が俺のことをガン見している。
ふぇぇ~恐いよ~
「おい!」
1人の男に声をかけられる。
「ヴァイ‼」
いきなり話しかけられ思った以上に変な声がでてしまう。回りも引いてる。
しばらくの沈黙のあと再び声をかけられる。
「お前のことみなおしたよ。ただのヘタレだと思ってたけど本選まで生き残るなんて凄いじゃないか‼」
その男に続き回りの男達も俺に声をかけてくる。
「俺感動したよ」「今まで雑な扱いして悪かったな」「あんだけボコボコにされても諦めねぇとはたいしたもんだ‼」
何?俺褒められてんの?
普段あまり褒められることがないので戸惑ってしまう。そんなこともお構い無しに男達は俺のことを揉みくちゃにする。
てか確実に1人俺の尻をモミモミしている。やめてくれ。
応援の言葉を貰うと勇気が湧いてくる。
ウォォ!俺はやれるぞー
男の波をかきわけ前に進む。対戦表には俺の名前の隣にある男の名前が書かれていた。
テル対ノエイン
ノエインって誰だろ?
1人の男に聞いてみる。
「あぁーノエインかぁー」
回りの男達も同じリアクションをとる。
何?まずいの?
「どけよ」
1人の男が歩いてくる。
浅黒い肌の男だ。
「俺の相手のテルって奴は誰だ。」
ノエインって君なのね…
「ぁぃ」
物凄く小さな声で返事をする。
「お前か」
素人の俺でもわかる殺気をだしてオモチャを与えられた子供のように嬉しそうな顔をする。
「明日が楽しみだぁ」
そんな捨て台詞を言いながら浅黒い肌の男、ノエインはこの刃から去っていく。
ノエインの背中をみながら俺は鑑定3級を使う。
ノエイン 15才
LEVEL37
体力 400
魔力 450
力 300
防御 285
すばやさ 600
器用 150
運 12
強い…エルザード並だ
特にすばやさが異常だ。あの時何をされたか分からなかったのはノエインが速すぎたからだろう。
先ほどまでの威勢が嘘のように消えていく。
回りは何かを察したかのように離れていく。
「まぁ…その…強く生きろよ…」
肩を叩かれ哀れまれる。
やめてそんな目でみないでくれ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その頃
浅黒い肌の男ノエインは自室で今日の試合を思いだし笑みをうかべていた。
「俺の一撃を手加減したとはいえ耐えるとはな」
「へっ!楽しくなってきたじゃねぇーかよ」
ノエインは笑う。あの男は自分を楽しませてくれると。




