第二話~リョウセイルイナアイツ~
空から夏を告げるかのような日差しが降り注ぐ。
実際はまだ五月だけれどもやけに暑い。
それだけ夏を心待ちにしていたのだろうか。
そんな中俺は店の中でとある人物に出くわした。
タカ「…だれ?」
茶髪のロングヘアーのフリフリのゴスロリを着た肌が白めな女性らしき人。
だがこの人はどこかであった気がする。
こんな美人なったことがないといわれても似た人に会ったことがある気がするのだ。
ほら、目元とかうちのスタッフにいるような…
真坂「裏山くーんどうだい?その感じでいけそうかい!?」
訂正。本人でした。
裏山「オーナー、いくらなんでも女装しての接客はやめたほうが…」
真坂「何言っているんだ!うちは女性スタッフがいないんだぞ!そもそもこの茶番始めた作者が女性の知り合いで出せそうな人がいなかったんだから仕方がないだろ!」
タカ「あんたはどさくさまぎれになにとんでもない裏事情語ってんだぁぁ!!」
オーナーにドロップキックをかますと砲弾のごとく飛んで行く。
その先にはチーフがいて飛んできたオーナーを右手だけでつかみアイアンクローをかましながら引きずって行った。
裏山「はぁ…女装なんてめんどくさいしナンパされるしいいことないからしたくないんだよねぇ…」
じゃあなんでやってるんだよ。
裏山「オーナーがスパッツはいてやってくれるなら今日の給料は二倍にするって言ってくれたからさ。」
タカ「心を読むなよ!?てかそれ買収されてるじゃん!」
説明が遅れたがこの人物は裏山。
俺が来る前から働いていて意外とベテラン。
顔立ちが整ったイケメンなのだが目元が某ギャグ漫画の●さんみたいに死んだ魚のような目をしていて彼自身の性格を表している。
女装をしているのは趣味ではなくたびたび買収という形でオーナーや店長から強いられているということ。
そして…愉快犯だ。
裏山「いまなんか失礼なこと言わなかった?」
言ってません。
タカ「そういやその服で接客するのはいいんですけど店長が許すんですか?」
この店の制服は必ず鎖骨が見えるようにできている。
鎖骨の見えない服での接客は禁止だということらしい。
おそらく女性スタッフの話が出てこないのはこの設定が大きな要因かもしれない。
まぁこの規則があるために今の裏山さんの服装では接客はできない可能性が高い。
裏山「オーナーもそのことは「あいつに任せる!」とか言ってたしねぇ…」
あいつとは店長のことだ。
店長、真野。
オーナーの元学友で伯父の友達でもあったらしい。
鎖骨が大好きで鎖骨が好きすぎて鎖骨がすごく見える制服を作ってそれの着用を義務付けたほどだ。
鎖骨を見るための努力…要するに店舗経営に全力を出すあたりがオーナーとの格差だろうか。
おもうんだがこの設定書いててこの作者大丈夫か?
いくら※この話はフィクションです。ってつけてたってこれは怒られる可能性高いぞ。
裏山「まぁ店長のことだからたぶん別の制服用意すると思うけど…」
タカ「あの人どれだけ制服作ってるんだよ…!」
店長は熱意がすごすぎて何種類もの制服を『自前で』創ってしまう。
これまで作ったので7種類あったとか…
裏山「さて、とりあえず話しに行こうかな。」
裏山さんが立ち上がるとどこからか声が聞こえてくる。
???「フハハハハハハハ!!!!その必要はない!話はすべて聴かせてもらった!」
どこからか男性が飛び出してきて俺たち二人の目の前に着地する。
男性は店長だった。
真野「裏山君!僕に黙ってなぜ女装したんだい!」
裏山「オーナーのほうがメイク上手だからです。」
バッサリと切られた店長はガックシと膝をつくが瞬時に立ちあがって裏山君に迫る。
真野「君!女装したなら最高の制服がある!着せてあげるからこっちに来なさい!」
裏山「今日の給料三倍増しでいいですか?」
真野「ぐっ…!」
店長はしばし考え…
真野「いいだろう。その条件飲んだ!」
タカ「少しは悩めよ店長!?」
考えるそぶりすらなく即決だった。
真野「僕は鎖骨を見るための努力は惜しまないんだ。わかるはずだよ君にも!」
タカ「いやわかりたくねぇし!その努力が給料三倍とかおかしいでしょ!」
そんなまともなはずの俺の突っ込みを受け流すように店長は裏山さんを連れていった。
その後女装制服の裏山さんを見て女性にしか見えず少しだけときめいたのは内緒だ。