第一話~オマワリサンコッチデス~
男子A「じゃあなタカ。」
男子B「また明日な~」
タカ「おう。また明日。」
学校も終わりあわただしくなる教室に終礼の終わりを知らせるチャイムがかぶせるように鳴り響く。
この学校へ転入してきて早一ヶ月。
クラスにはそこそこ慣れてきたためにクラスメイトとの挨拶もスムーズにできるようになった。
だんだん楽しくなってきた学校生活。
しかしその終わりは自分にとって地獄の時間の始まりなのであった。
女子A「タカ君、この後数人でカラオケに行くんだけど一緒に来る?」
本当ならすべての用事を投げ出していきたいところではあるが涙をのんで丁重にお断りをする。
タカ「あーごめん…この後バイトがあってさ…」
女子A「そっかー…バイト頑張ってね。」
タカ「うん、ごめんね。」
「じゃーねー」と手を振りながら教室を出る数人の男女を見ながら俺は無性にサボりたい衝動に駆られる。
しかし俺が行かないとあの店…俺が働いている喫茶店のまともな店員たちの負担が俺の分だけ増えることになる。
それだけは避けなくてはならないためにも自身の頬をたたきカバンを抱えて教室を出る。
校庭に出ると日差しはもうすぐ夏が訪れることを示すかのようにきつくなっていて、じっとしていると日に照らされた部分から少しずつ汗が流れていく。
タカ「急いで行ってクーラーで涼むか。」
なにはともあれ走ることを決める俺だった。
喫茶店『異覚混沌』の扉の前に着いた俺は深く深呼吸をし、勢いよくドアを開ける。
目の前に現れたのは美しく整った顔をした女性のような『男性』。
男性は入ってきたのが俺だとわかるや否や何かを語り始めた。
男性「ようこそ世界中の勇者と聖女が集まる伝説の酒場『異覚混沌』へ。」
タカ「仕事しろよてめぇ。」
この男性は真坂。
この喫茶店のオーナーで責任者である人…なのだが
普段からサボり癖が強くいつも仕事を抜け出してはフロアチーフに絞られている。
どうやら伯父とは学生からの付き合いらしいが…
何かを隠している感じがする。
真坂「まずは君の職業系統と属性系統を教えてほしい。」
真坂「ちなみに俺のタイプは賢者。」
真坂「たぐいまれなる魔力と聖魔法の合わせ技は30年D★Tでいた俺にしか扱えない最高の職業だ。」
D★Tとか聖魔法とか年齢制限とかモラルとかその他もろもろに引っ掛からないのだろうか。
真坂「さて、まずはクエストを受けてみよう。」
そういいながらオーナーは紙を一枚懐から…
タカ「なんちゅうところから紙出してんだ!」
この人今ズボンの中から出したぞ。
いいのか?年齢制限とかモラルとか(((
真坂「君は冒険者見習いだね?このクエストがいいだろう。」
そうしてオーナーは紙の字を読み上げていく。
真坂「仕事に熱を出す存在が不詳の革命機、その声は敵を燃やす尽くすかもしれないといわれる絶望へのいざない。声の魔術師イケボ仮面インフ●ニテ●ス●イルの討伐だ。」
タカ「伏せてもばればれだ!」
このやろういくら活動報告では怒られなかったからっていっても投稿したら違うんだぞ!
しかもちょっとだけ活動報告よりかっこよく脚色してるし!
すると後ろから一人の男性がオーナーの肩を微笑みながらつかみ声を出した。
仮面「はーい♪仮面でーす♪必殺技はイヤホンから大音量のシャウトを流すバーンシャウトでーす!」
オーナーはビクリと固まり、後ろを見ずに冷や汗をだらだらと流す。
この人物は仮面。
フロアチーフを勤めている年齢不詳、素性不詳の男性。
見た目は大学生か新社会人なんだけど…
よくわからない人だ。
仮面「オーナーァァ?何サボってんですかコンチクショウバカチンがぁ?」
真坂「えとですね、あのですね、まずは耳の横にある手をどけて弁解をさせてほしいなぁって…」
仮面「却下に決まってんだろ。それ!」
ギュイィィィィン!とイヤホンから離れているこちらにまで届くような爆音が響きオーナーは悶絶をする。
真坂「ぎゃあああああ!!!耳がぁぁぁぁぁ!!!!耳がぁぁぁぁぁ!!!!」
仮面「タカ君、今すぐ着替えて。これからディナーの予約が入ってるから。」
タカ「ええと…そこで転げまわってるオーナーはどうします?」
仮面さんはオーナーを一瞥した後に目を細めてオーナーを助けるのかと思ったのだが…
仮面「ほおっておいていいよ。起きたら仕事してくれるだろうし。」
ここの店員は全員オーナーに冷たい。
まぁサボってるから当然か。
タカ「では着替えてきます。」
真坂「タカ君…!」
タカ「なんですか?」
オーナーはもう一枚紙を出してこう言った。
真坂「さっきのクエストが不満なら、妹に恋をしすぎて妹がないことが考えられない青春を性春にした青少年なすびの討伐クエストは…」
タカ「さようなら。」
つきあっていると俺まで仮面さんにお仕置きされそうなのでスルーすることにした。
あと性春いうな。この小説消されたらどうするんだまったく。
さて、忙しくなりそうだな、気を引き締めよう。




