エピローグ2
あれから五年の月日が流れた。
魔王討伐の知らせはどうやら三姉妹のお姉さんには届いていたらしく、
「お姉さんには何でもお見通しなのです。てへぺろ☆」
などとふざけたことを言うお姉さんを三人の勇者で顔面パンチした。
人を死地に送り出しておいて感謝の辞も無しか。
――などと勇者三人とお姉さんによる修羅場や、お見合いが終了したsadako
とグラサンの新居を決めるのに大忙しだったあの時から、
もう五年も経ったのだ。
◇
俺はルリと新しい生活を営んでいる。
可愛らしいお嫁さんは二次元では無く、生身の身体であり――毎晩結構頑張っちゃうタイプのお方でした。
今では慣れたけど……高校生の肉体でほぼ毎日ってのは疲れたなぁ……
まあ、これも良い思い出なんだけど。
「おい、ちょっと見てくれよ!」
最初に転生させられた草原を駆け抜けてくるのはモモナとアリーヴェデルだった。
俺は別にどうでも良いのだが、この世界の女性はかなりアレらしく――モモ
ナはルリと比べてもかなり夜にお強い方だとアリーヴェデルに話された。
――もっともアリーヴェデルもそれを毎晩のように楽しんでいたらしいから、俺はとくに何も言わなかったが。
流石の俺でも人様の家庭内事情に口を挟むほどKYじゃ無いんでね。
「見てくれ……」
アリーヴェデルが手を伸ばすと、突然指先からプラズマ電磁砲が放たれ、前方の草々が一気に根こそぎ吹き飛ばされた。
「私の旦那様が『魔術的な何か』を使えるようになってしまったらしいのです……」
「やっぱ毎晩続けてたのがたたったのか……」
おノロけ話はとりあえず華麗に流し、
俺は突然の魔術開花に戸惑う二人とルリをおいて三姉妹の家へと向かう。
ちょっとした用事があったのだ。
「どーも、お姉さん」
「あらメロンさん。どうしたんですか?」
「いえ……みんなの調子を見に来たんですよ」
“みんな”とはマコミオムーンの他に妖精化させられていたルリ用の妹と、魔王が抱え込んでいた女性の中に紛れていた、元勇者の『記憶を司る能力』の持ち主だった妹さんだ。
「ところでお姉さん」
「はい。何でしょうか」
ニコリと微笑むお姉さんフェイスに俺はちょっとした疑問を投げつける。
「お姉さんは成長しないんですか?」
「いったい何のことでしょう?」
何故かお姉さんは成長しない。
だから。今でもお姉さんと呼んではいるが、見た感じ俺より三つほど年下である。
事実俺はこの人に若作りの方法を聞きたいのだが――
「メロン!」
「おわっと……! マコか」
見た感じ十歳くらいに成長したマコに抱きつかれ、俺はバランスを崩して倒れこむ。
「お兄さん大丈夫ですか?」
「ほんっと奴隷は変わらないわね」
同じくらい成長したミオとムーンに見下ろされ、俺はなんとなく懐かしく感じる。
――ここ最近来てなかったからなぁ。
「ところでメロンさん」
顔を赤らめたお姉さんに顔を近づけられる。
ダメですよ。
俺には妻がいるんですから、それもとびきり可愛いのが。
お姉さんは俺の耳元でそっと、
「最近お元気が無いようですけど、やはり疲れちゃいますか?」
「はへ……?」
言っている意味が分からない。
三姉妹も不思議そうな顔をしているし、今の俺がやつれているようでは無いようである。
「あの……言っている意味が」
「言いにくいようでしたら、私からルリさんに直接言ってあげても――」
待て。
「おいあんたまさか!」
「お姉さんは何でもお見通しなのです。てへぺろ☆」
俺はすぐさま立ち上がり家へと駆け出す。
「待ってよ~!」
「お兄さんどうしたんですか?」
「うちのお姉ちゃん何したの?」
三姉妹に追いかけられながら、俺は一つのことしか考えていなかった。
――あんにゃろう! 毎晩覗きしてるな。
俺は部屋中に目張りをすることだけを考え、必死に家まで走った。
はぁ……何でこう俺はいつでも厄災に見舞われるんだろうか。
俺は走りながら深く深呼吸をして、使い古された魔法の言葉を呟いた。
「やれやれ」
ここで完結です。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。




