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後編

 はい、話を再開します。


 ソ連は日本に宣戦布告はしませんでした。


 中国共産党の中華人民共和国も日本に宣戦布告はしていません。


 満州は中華人民共和国の領土なので、そこに中国軍が移動するのに宣戦布告はする必要がないという理屈です。


 中国共産党は自身の軍隊を「中国人民解放軍」と名乗り、ソ連がそれを支援していると主張しました。


 もちろん、それは建前にすぎません。


 人民解放軍が「百」とすれば、ソ連軍は「一万」の軍隊を動員していました。


 主役はソ連軍で、人民解放軍は大義名分のための看板にすぎませんでした。


 満州に駐留する日本軍は奮戦しました。


 日本陸軍の戦車は、ソ連のT34戦車に対抗し、日本海軍航空隊は対地攻撃に活躍しました。


 満州に駐留する日本陸軍の戦車はすべてが、ドイツから輸入かライセンス生産した三号戦車・四号戦車でした。


 ドイツ帝国は外貨獲得のために武器輸出に熱心でした。(日本とは満州産の石油と農作物とのバーター貿易でした)


 日本陸軍内部では、国産戦車にこだわる向きもあったのですが、短期間でソ連戦車に対抗するためにドイツ戦車を導入しました。


 日本海軍航空隊が対地攻撃に活躍したのには、理由があります。


 日本海軍は存在意義が曖昧になっていました。


 1929年のアメリカ恐慌(もし、恐慌が世界に波及していたら世界恐慌と呼ばれていたでしょう)からアメリカの景気はなかなか回復せず。「失われた10年」となりました。


 アメリカ海軍は戦艦の数はワシントン条約の上限一杯の数を維持していますが、それで精一杯で、後方支援施設の拡張は予算不足で不可能でした。


 ハワイにある真珠湾基地を拡張して、太平洋艦隊の根拠地とする計画もありましたが、予算不足で却下されていました。


 遠征に必要な補給船のための予算も確保できませんでした。


 アメリカ海軍は日本への遠征能力を失っていました。


 アメリカ海軍を仮想敵としている日本海軍としては、大艦隊を維持している意味が希薄になりました。


 好調な経済を背景として、基準排水量六万トンの新型戦艦の建造を計画しましたが、「艦隊決戦にしか使えない戦艦を建造する意味がない」と議会にも世論からも反対され、あっさりと計画は取り止めになりました。


 日本海軍は自身の存在意義のために海軍航空隊の拡張に邁進しました。


 航空隊は内陸部で活動できるため、「満州防衛」のために予算があっさりと認められたのです。


 日本海軍では大艦巨砲主義者がいまだに多数派でしたが、「将来の新型戦艦の建造のための予算・人員の確保」のために航空隊の拡張に賛成しました。


 少数派だった航空主兵主義者は、自分たちの主張が通る絶好の機会だったので、もちろん賛成しました。


 開戦当初は、ソ連潜水艦が日本周辺で活動し、多数の商船が沈められましたが、日本海軍空母機動部隊によるウラジオストック空襲で、本拠地ごと壊滅しました。


 日本陸海軍は苦戦しながらも満州の防衛に成功しました。


 虫のいいことに、ソ連政府は、中国共産党指導部を日本に引き渡すことで、自分たちは責任を取らずに戦争を終わらせようとしていました。


 しかし、欧州で新たな戦争の火種が燃えました。


 ポーランドで「ポーランド人民共和国軍」を名乗る組織が蜂起し、一時的に首都ワルシャワを占拠したのでした。


 ポーランド正規軍により、短期間で鎮圧されましたが、裏にソ連がいるのは明らかでした。


 ソ連は「我々は無関係だ」と主張しましたが、当たり前ですが、それを信じる者はいませんでした。


 イギリスは「極東での侵略戦争に失敗したソ連が、新たに欧州で侵略戦争を起こそうしている」と宣伝しました。


 イギリス主導で欧州連合軍を結成し、欧州連合軍はポーランドに駐留しました。


 欧州から先にソ連に手を出すつもりはないので、防衛的な措置でした。 


 それに対してソ連は表向き気弱な態度でした。


 一転して、日本に対して戦争責任を認め、賠償金の支払いまで認めようとしていました。


 日本との戦争は、一時休戦しているだけなので、このままでは東西からソ連は挟み撃ちになってしまうからです。


 もちろん、日本政府はソ連に騙されることは、ありませんでした。


 日本はイギリスと協力して、ソ連に対して要求を突き付けました。


 日本は「北樺太・沿海州の日本への割譲」、イギリスは「ウクライナの独立、独立の保証のためのウクライナへの欧州連合軍の駐留」でした。


 ソ連は反発しました。


 特に「ウクライナの独立は認められない」と主張しました。


 ウクライナは穀倉地帯で、ソ連とっては絶対に手放せない領土でした。


 交渉は難航し、膠着状態になりました。


 交渉中に、ワルシャワにある欧州連合軍司令部で爆弾テロが起きました。


 建物は爆破されましたが、幸い死者は出ませんでした。


 ソ連は否定しましたが、ソ連の仕業であることは明らかでした。


 本当に、ソ連の仕業でないとしたら誰の仕業なのでしょう?


 例えば、イギリスがソ連との開戦理由とするために、自作自演したとでも言うのでしょうか?


 そんなことは、もちろん、ありえません。


 イギリスをリーダーとする欧州連合は、ソ連に宣戦を布告、「満州戦争」は「第二次世界大戦」に拡大しました。


 ソ連の西から欧州連合軍、東から日本軍が攻め込みました。


 東西から攻められたソ連は、ウラル山脈地下に要塞を建設し、ソ連指導部はそこに立て籠り、ソ連人民には徹底抗戦を唱えました。


 イギリスが密かに製造していた原子爆弾により、ウラル要塞は破壊され、ソ連指導部は全員が死亡、第二次世界大戦は終結しました。


 ちなみに、アメリカは戦争には欧州連合寄り中立でした。


 アメリカ国民は参戦に強く反対していたので、戦争に直接関われないため、アメリカ上層部は軍需物資の欧州連合への輸出で多大な利益を得ようとしていました。


 しかし、欧州連合はアメリカからの軍需物資の輸入に消極的でした。


 欧州と日本・満州の生産力で、戦争は賄えるという計算があったからです。


 それと、真偽は不明ですが、アメリカが軍需を切っ掛けに国力を増強するのをイギリスが避けたという説があります。


 ソ連が崩壊した後、欧州に亡命していたロマノフ王朝の末裔が、新生ロシア帝国の皇帝として即位し、立憲君主制としてロシア帝国は復活しました。


 ウクライナは独立し、沿海州は日本の領土となりました。


 欧州連合も日本も強大なロシアの復活は望んでいなかったため、このような戦後処理になりました。


 欧州連合は軍事・経済同盟として戦後も継続しました。


 2026年現在も日英同盟は、健在です。


 日本は日英同盟を通じて欧州連合のメンバーとしてあつかわれています。


 ロシア帝国も欧州連合のメンバーとなっています。


 イギリス国王は、インド皇帝も兼ねているため(インドは独立しておらず。イギリス連邦加盟国)、ロシア皇帝・日本天皇により、「三人のエンペラーがブリテン島からユーラシア大陸を通り日本列島までに君臨している」と言われています。


 さて、アメリカ合衆国は、現在は分裂状態にあります。


 多民族・多人種による人工国家のため、「アメリカを統合する共通の理念」というものを常に掲げなければ、分裂する可能性は常にありました。


 もし、アメリカが第一次・第二次世界大戦に本格的に参戦し、「民主主義の軍隊」「民主主義の兵器工場」となっていれば、アメリカが世界の覇権を握り、アメリカ国民は団結していたでしょう。


 しかし、そうならなかった結果、民族・人種の分裂は続いています。


 例えば、アメリカでは有色人種はプロスポーツに参加できません。


 野球のメジャーリーグでもそうであり、アメリカの優秀な黒人野球選手が、高額な年棒を目当てにアジア野球リーグ(日本本土・朝鮮半島・満州にプロ野球チームがある)を目指すのは当たり前になっています。


 このことから分かるように、アメリカ国内での人種差別は酷く、改善される動きもありません。


 人種差別に反対する運動をしている団体は、警察や州兵により弾圧され、弾圧により団体の一部が過激なテロ活動に走り、弾圧が酷くなるという悪循環になっています。


 欧州連合では、日本もメンバーなので、有色人種に対する差別はかなり改善されています。


 欧州連合と日本は人種差別の改善をアメリカ政府に何度も求めていますが、「内政干渉だ!」とアメリカは拒絶するだけです。


 現在の状況を「欧州連合・日本とアメリカによる冷戦」と唱える学者もいますが、アメリカの方が遥かに弱体です。


 アメリカは、イギリス・日本に続き三番目に核開発に成功し、大陸間弾道弾も原子力潜水艦も保有しています。


 しかし、最新のスーパーコンピュータによるシミュレーションによると、「全面核戦争が発生した場合、アメリカは本土が壊滅し、欧州連合・日本は七割が生き残る」とされています。


 アメリカが核兵器を保有しているのは、国内向けの「強いアメリカ」のイメージのためで、過激な発言を繰り返す今のアメリカ大統領も他国に軍事力を行使したことはありません。


 私たち日本人は、ビジネス・観光でアメリカに入国できますが、現地で写真撮影をしただけで、スパイ容疑で逮捕されることもあるので気をつけてください。


 さて、現在はイギリスをリーダーとする国際社会ですが、私はこうなったのには、「影の勢力」の存在があると考えています。


 アメリカが覇者となり、イギリスが衰退する未来の歴史を知ったグループが、歴史を改変したのです。


 みなさん、私を馬鹿にして笑っていますね?


 影の勢力が存在する証拠ですか?


 もちろん、あります。


 影の勢力にとって、自分たちの存在が明らかになるのは打撃になります。


 彼らは影の勢力の存在に気づいた私を……




 はい、講演者は拘束してあります。


 講演を聴いた者たちは、いつものように記憶操作装置により、記憶を改ざんして自宅に帰しました。


 講演者については取り調べを進めてあります。


 いつの時代からの転生者・転移者なのか。


 もしそうではなく、我々の存在に気づいたのなら優秀な人間です。


 我々の組織にスカウトすべきでしょう。

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― 新着の感想 ―
そうか、同時にアメリカも参戦させない未来を画策した者たちが居たのかぁ ドイツ皇室が残れば、ユンカー層を筆頭に国家社会主義に走るような事はないだろうからチョビ髭の台頭を抑える事ができると・・・
輸送船は、いくらあっても 島国なら必要になるから問題なさそう(特に北欧創業のゲーム会社の戦争ゲームだと猶更 ポーランドのところ 放棄?蜂起では さすがにソ連も 直接関わっていないというのに 沿海州…
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