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女神の護符  作者: のはな
第九章 かわりゆく第二騎士団編
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金曜日の夜の愛妾2

濡れた瞳が……

君が……


ここから出してほしいと、言っているような気がした。


言葉は一度も交わさなかったが、ヴィンセントはニーナの母親の手を取った。


瞳を見てからひと月後の、満月の夜だった。


熱病に浮かされたような頭では、正常な判断など下せない。


細くて白い手は、少し冷たく……そして、柔い。

鳥のように、細く軽い手のひら。


それを力強く握ってから、確かめるように言った。


『……行こう』


ニーナの母は、消えそうなか細い声を吐いた。


『……はい』


すでに身重だった。


ニーナをその身体に宿した彼女を、ヴィンセントはそれでも欲しいと思った。


これは、病だ。


誰もが生涯に一度は罹る病なのだと、そう思った。


毒のように体をその熱が巡り、王の追手を殺すことすらためらわない。


逃げ延びるために、脚を失ったとしても――

それすら、安い代償だとさえ思えた。


淡い青い目と視線を交わしたあの瞬間に、

すべては決まってしまったのだろう。


君のために…


何もかも捨てて、ここから出ていってしまおうと。


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