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女神の護符  作者: のはな
第六章 南部編
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南部編1.ヴェーラ、独立へ

ここから


南部編となります。


シリアスな話しがつづくと思います

ケンジが第二騎士団の書記官になる二年前のストーカー事件。

その事件は、意外な形で早期解決を迎えた。


しかし、この一件で変化が起こる。


一つは、ヴェーラが腰まであった長い銀髪を肩までバッサリ切った。


元々伸びすぎていたと思っていたが、綺麗な髪の毛と褒められる事が多かったため綺麗に手入れをしていた。


ストーカーからやたらと長い髪に執着を持たれていたことを知り、断ち切りたいと思ったのもあった。

イーゴリは髪を切って潔くお金に変えたヴェーラに納得がいかないような顔をしていたが、あえて何も言わなかった。


もう一つは、仕事のことだ。

それが、今の仕事…第二騎士団の書記官になった経緯だった。


イーゴリも初めは、落ち着くまで手許で面倒をみるというくらいにしか考えていなかった。


自分の管理下における騎士団の書記官としてなら、採用にも関われるし、何より護ってやれる。

過保護とは思ったが、書記官の複雑な仕事の内容を完璧にマニュアル整備。

また、書類を統一させてフォーマットを作り替えるなど、できる限りのことをした。


周りからは贔屓すぎるのではないかという声もでたが、ヴェーラはコツコツと仕事をこなし、その丁寧で正確な仕事ぶり見せた。


やがて、誰も何も言わなくなった。


一般的な採用方法ではなかったが、誰もがヴェーラの有能ぶりは、正規雇用と何ら変わらない実力だと認めたのである。



二年たち、ヴェーラは今や上級書記官三級のは資格まで取ろうとしている。


試験日までは、一ヶ月を切っていた。





温泉街


かつて、王国で最も出世したと言われた東洋人、ショウ・サイジョウが祖国の街を再現したこの街。


イーゴリ達第二騎士団は、前日の蛮族との戦闘を終えてそこにいた。


王太子まで合流し、飲めや歌えやの大宴会を繰り広げ、イーゴリと王太子は意気投合した。


表面上は…



「殿下ぁぁ…!!ぜひまた、お供させてくださりませぇぇぇぇ!!美女と酒が忘れられませんーーー!!!」


「良いな。イーゴリ、かわいいやつだ」



イーゴリはわざと大泣きして帰り支度をしていた王太子にすがりついていた。

履き物を履く王太子の足にキスをして「私めは殿下の犬です!!」と、舐めんばかりの勢いである。



(…昨日、混浴場で俺にブチギレていた人と同一人物とは思えない)

※エピソード39参照


騎士たちが外で王太子の見送りのため整列するなか、ケンジは平伏するイーゴリのパフォーマンスに呆れる。


唯一逆らえない権力者の前では、一切の情を捨てて道化に徹していた。



「貴様には手伝ってほしい事が山ほどある。分かってるな」



王太子は含みを持たせた言葉を投げかけ、口の端だけを上げて笑う。

そのまま豪奢な馬車に乗り、ポリーナが養生する宿へと帰って行った。


「…手伝ってほしいこと…」


ケンジは最後まで笑顔を崩さないイーゴリを、横目で見た。王太子の馬車が消えるまでその張り付いた笑顔は変わらない。



「…なんか、面倒な事になったりしませんかね」

「殿下に失礼だぞぉ、お前。家臣として頼りにされることほど名誉なことはねぇからな!」


しかし、イーゴリは緊張していたのかそのまま大きく伸びをし、首を何度か回してさすっている。


昨夜の酒の量とその他の乱心騒ぎの疲労は、たまっているようだった。

それでも、昼前には起きてキチンと王太子を騎士団全員で整列させたのだから、大したものだ。


政治的な手腕も発揮する。

そんな一面をここで魅せられた思いだった。



「帰るか…。一夜の良い夢を見せてもらったんだ。お前らもこれから死ぬほど働けよっ」


団員全員に聞こえるようにわざと言っている。


ケンジの横でヴェーラも無表情でイーゴリに付き従う。

昨夜、混浴の露天風呂でイーゴリとケンジが修羅場を繰り広げたというのに、何事もなかったかのような落ち着きぶりだ。


(……ヴェーラさんらしいや。この人の冷静っぷりって最近は心地よくなってきた)



こうして、第二騎士団の温泉街への遠征はすぐに幕を下ろした。


北方の蛮族の侵略は今に始まったことではないが、年々加速度的に酷くなっている。

それを肌で感じるような戦闘だったが、ほとんどが娯楽で来たようなものだった。


そして、季節はめぐる。


年の瀬も迫り、ケンジは初めて年越しを第二騎士団の仲間と共に迎えた。


イーゴリが毎年恒例と称し、寒空の下で樽に入ったワインを温め、飲めや歌えやのイベントを行った。


祖国を出て、2年半。


最も騒がしく、最も人にまみれて新年を祝う。


ケンジは、すっかり第二騎士団の一員になったとそこで感じた。




21歳になったばかりの若者で、まだ女を抱いたこともない初心で、若さだけが光っていた。



だが、希望に満ちた日々だった。




年が明け、一つの出来事がヴェーラとケンジ、イーゴリ達の間で起こる。



ヴェーラが上級書記官3級に合格したのだ。


合格率30%を切るこの難関を突破し、春が差し迫る頃になって彼女は一つの決断をイーゴリに打ち明けた。



「私…独り暮らししたいの。もう、イーゴリに守ってもらわなくても大丈夫」



微笑んだヴェーラにイーゴリは一瞬固まった。




保護者としての役割が、終わりをつげようとしていた。






そんなわけで


割とあっさりと合格してしまいました(笑)

難関の予定なんですけどね。


ちなみに、1年の実務経験と必要な研修を受けないと受験資格は得られないため

ケンジはまだ受けられない資格です。


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