ストーカー編3.好きな女の子と一晩同じベットで寝るけど、何にもできず不眠
ストーカー編と話をまとめました(笑)
イーゴリがまだ若いので割と素直系ですね。
今も若いですけど(23歳)2年の同棲生活で
この頃より心を隠すのがうまくなりました。
余談ですが。
隣で眠るヴェーラの規則正しい寝息と、揺れる長い髪の毛を見つめながら夜が明けていくのが分かった。
(……一睡もできなかった。今日、任命式だよな…?)
目の下にクマを作りながら、布団をかぶり声にならない声で叫ぶ。寝不足で任命式など、地獄である。
(なんでこうなる!?そもそもヤれねぇのに、すごくねぇか!?俺!!)
昨夜、あまりの恐怖に眠れなくなったヴェーラは、夜中にイーゴリの部屋をノックして訪ねてきた。
寝ていたイーゴリは、枕を抱えて廊下に立っていたヴェーラに固まる。
『な…何だ?どうし…』
上半身裸で寝ていたので慌ててシャツを着直していると、ヴェーラはそっと体の距離を詰めて枕を間に挟んだまま抱きつく形となった。
思わず「…はぁ…!?」と焦って声が出そうになり、寄ってきた髪が鼻をくすぐり理性が揺らいだ。
『怖い…眠れないの。一緒に寝てもいい…?』
すでに泣いていた。
その顔を見て、幼い頃に迷子になって泣いていた姿を思い出す。
あるいは、飼っていた猫が亡くなった時や、転んで痛いと泣いていた幼いヴェーラ。
頭の中がすっと冷静になり、そのまま肩を抱いた。そして、ポンポンと子供を慰めるように背中を叩く。
よくこんなふうになだめた。
頭を撫で、至極落ち着いた声で言った。
『…布団持って来い。俺のベットでけぇから、端同士で寝てたら掛け布団伸びるし』
深いため息をつき、面倒くさそうに先にベットに腰掛けてヴェーラを待った。
涙を拭いながらヴェーラは布団を引きづり、隣に座る。
『ありがとう…』
『ああ…』
泣いてる顔を見たら、邪な思いなど全部吹っ飛んだ。
しかし、同じベットで寝ている姿を見ると、葛藤には晒されそのまま朝を迎えた…というわけだった。
(…しかし、あの手紙を送ってきた変態がいる店でこのまま働かせるか…?今日、俺は…このまま11時から任命式だから…電報を打たせて仕事休ませて、夕方に警察…?)
寝不足で頭が鈍くなっている頭で天井を見上げ、思案する。
物理的に何かしてくるにしても、今日は動きが制限される任命式というのは分が悪い。
ヴェーラにしてやれことは、部屋の中でひたすら待機させて用心させることしかできない。
頼る相手のいない王都の環境に、どうするかとさらに思考を深める。
騎士団の一人に護衛を任せるか…警察に護衛要請…パン屋の客を調べさせるか。
初日からそんなに上手く動いてくれるだろうか。段々と意識が遠のき…やがて寝落ちした。
ヴェーラが目を覚ますと、隣ではイーゴリが、布団を抱きしめるようにして爆睡していた。
小さな寝息。
ときどき、低くいびきが混じる。
(……やっぱり、女としては見られてないのかな)
そう思うと胸がちくりとした。
昨夜あんなに取り乱して飛び込んでしまったのに、この男は何の下心も見せずに頭を撫でてくれただけだった。
苦笑しながら、イーゴリの寝顔をそっと覗き込む。
子供の頃に見ていた顔とは違う。
鋭く整った眉。戦場で焼けた肌。
すっかり大人の男の顔になっている。
長い前髪が額にかかっていたので、そっと指で払ってやった。
それだけで心臓が少し跳ねる。
イーゴリは気づかない。
ただ、安心しきった表情で眠っている。
(……ありがとう。昨夜、そばにいてくれて)
胸がじん、と温かくなった。
そして、ヴェーラはゆっくりベッドを降りた。
今日は、イーゴリの大切な任命式の日だ。
朝食だけは用意しておこうと決めた。
ほんの少し、頬が熱くなる。
昨日より少しだけ、イーゴリが近く感じられた。
ちょっと助走が長くなりましたが
そろそろポリーナが次こそ…!出てきます(笑)
そして、ちょっとイーゴリは寝れたので完徹で任命式にでたわけではなく。
アレクサンドルと楽しく会話していた、あの場面に戻る感じですね。
あれはあれで、俺はもうお前より背も高いし筋肉もあるし第二騎士団の団長に抜擢されるほど成長したぞ!という自信に溢れていたので、書いてて好きでした。
ちなみに、エピソード50です。
良ければまたご確認ください。




