おまけのお話 有給休暇が明けました
一週間の有給休暇で両親にあいさつし、選王陛下に伴侶になる許可をもらい、シァルとはじめての夜を過ごし、それからはもう、セィムはシァルを可愛がりに可愛がりまくり、いっぱいいっぱい泣かせて、シァルが可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて、あぁあ……!
有給休暇が明けてしまった……!
かわいいかわいいかわいいシァルと離れるのが、つらい……!
泣いちゃうセィムを、よしよししてくれるシァルがやさしい。さすが最高の伴侶だ。
「また夜に」
ちゅちゅ
あまい口づけを何度も重ねてたら、朝からいちゃいちゃがはじまって、シァルをかわいがって泣かせてしまいそうだったので、止められた。
「夜に……!」
耳まで真っ赤なシァルが、かわいすぎる。
「ちょっとだけ♡」
「だめ……! 熔けちゃう、から……!」
全力で止められました。
つらい。
気持ちと身体はつらいけど、伴侶なシァルの可愛さに、つやっつやの、ぴかっぴかになったセィムは、仕方なく一週間ぶりに国務院に出勤した。
目の前で机に突っ伏しているのは、デロデロになった国務院の皆だ。
「か、帰ってきてくれたのか、セィム……!」
同期で部長なロイに、すがられて、泣かれた。
「お、お待ちしてました……!」
「感謝が足りなくて申しわけありませんでしたァ……!」
皆に泣かれた。
有給休暇初日にシァルが見せてくれた国務院の叫喚を、すっかり、ばっきり忘れ果てていた。
シァルが、あんまり可愛すぎて!
シァルを可愛がることしかできなくなって!
ちゅっちゅして、いちゃいちゃして、いっはい、いっぱいシァルを可愛がって、いっぱい泣かせちゃって、可愛くてたまらなくて、また可愛がって泣かせちゃってとか、延々、延々繰り返してたら、1週間は瞬殺だった。
セィムがシァルといちゃいちゃ、しあわせに、とっぷりつかっている間ずっと、国務院の皆は泣きながら窓口業務をしてくれていたのかと思うと、申しわけなさが押し寄せる。
「いや、あの、1週間も、わるかっ──」
「正当な有給休暇だ。セィムが謝ることなど、何もない!」
キリっとした顔で宣言してくれるロイは、デロデロだったけれど、凛々しかった。
セィムの両の口角が、ほんのりあがる。
「ありがとう。皆にお茶を淹れるよ」
業務じゃなく、心をこめてお茶を淹れた。
しばらく沸騰させたお湯を使う、茶器を温める、茶葉に最適な蒸らし時間にする、ただそれだけでお茶の香りと味はびっくりするほど変わる。
「うっま……!」
「え、これ、おんなじ茶葉?」
「うそだろ!」
「おいしいです、セィムさん……!」
皆に泣かれた。
「セィム、俺にお茶の淹れ方を教えてくれないか? 宰相閣下直々の指示なんだ」
さりげなくセィムに手を回そうとするロイの懇願をはねのけたのは、セィムの直属の上司の課長だった。
「セィムさんがいない間、泣き叫ぶほど業務がたまってしまったんです。
心の底から感謝を捧げて、特別手当をつけますので、できる範囲でいいですから、事務処理をお願いしますぅう──!」
泣かれた。
憔悴した皆の顔と、懇願と、やさしい言葉に、セィムは目をみはる。
……ああ、誰にでもできる仕事しかできなくても、それでも自分は、求められていたんだ。
じんわりあたたかくなる胸で、セィムは両の口角を15度、やわらかにあげる。
「はい」
いつもどおりの、誰にでもできる仕事が、輝きはじめる。
ずっと読んでくださって、ほんとうに、ありがとうございます!
活動報告にもお書きしたのですが、『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』というお話が、選んでくださった編集部の皆さま、ご尽力を賜った編集者さま、皆さまの応援のおかげで、本にしていただけることになりました! イラストは、サマミヤアカザさまです!
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プロフのウェブサイトのHPから飛べるので、もしよかったら!
無料のうちにweb版を楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
応援してくださった皆さまのおかげで、本にしていただけることを、とても、とてもしあわせに思います。
心から、ありがとうございます!
セィムとシァルのことも可愛がってくださって、ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございました!




