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6話 ユリアとの王都アーレンへの旅

旅立ちの朝、空は澄み渡り、イルセの草原を吹き抜ける風は穏やかだった。

永遠 勝利とユリアは、王都アーレンへの街道を歩いていた。


道中――

草を踏みしめる足音と、時折飛び交う鳥の鳴き声だけが周囲を彩っていた。


永遠 勝利はふと口を開く。


「ボクは昔と同じように、

剣を振ることしか能がないが――

ユリア、君はどんなことができるんだ?」


ユリアはその言葉に一瞬、目を細めて笑った。

その横顔は、どこか懐かしさを帯びている。


「私は“結びの儀”を継ぐ巫女。

 人と人、魂と魂――そして、術式と意志を繋ぐもの。

 ……少なくとも、この世界ではそう呼ばれているわ」


ユリアは、永遠 勝利の隣でそっと足を止め、

草原を渡る風に髪を揺らしながら、穏やかに口を開いた。


「あなたが“前に進む、足し合わせる力”なら、私は“隣に立ち、支えるために引く力”でありたい。

足し算と引き算――私たちは、ひとつのことしかできないかもしれない。

でも、どちらも必要だと思うの。

その両方が揃って初めて、“本当の勝利”に辿り着ける……そう信じてるの」


そして――彼女は永遠 勝利の言葉を、確かに繰り返した。


「“一緒に優勝しよう”って、あなたが言ってくれたとき……

その言葉を、信じてみたいって思ったの。

本当に、心の底から。」


草原の先に、王都アーレンの尖塔が遠く霞んで見え始めた。


王都アーレンへ続く街道を歩き続けていると、

遠くに石造りの街壁が見え始める。

その風景は、まるで「物語の始まりの門」であるかのように、日の光を受けて輝いていた。


永遠 勝利とユリアはその一本道を、並んで歩いていた。


そんな中、永遠 勝利はふと問いかける。


「ユリアは戦闘では後衛として、回復魔法をかけてくれるのか?」


ユリアは小さく頷き、そして少し笑みを浮かべて答えた。


「ええ。

もともと“祈りの術”が得意だったから、回復や結界、支援の術は得意分野よ」


彼女は指を鳴らすと、周囲に小さな光の輪が現れた。

淡く鼓動するそれは、永遠 勝利の身体に優しく触れ――一瞬だけ、身体が軽くなるような感覚が訪れる。


「戦場では、あなたの剣が“突破口”を作ってくれる。

私はその“道”を守るために、結界を張り、支援を繋げる。

それが、私の戦い。」


剣の人と、祈りの人。

違うようでいて――ひとつの“式”で繋がってる。

そう思わない?」


ユリアの視線は、すでに見えてきた王都の門へと向いていた。


王都アーレン、目前。

門前では多くの商人や旅人、冒険者たちが出入りしている。


門を目前にしたそのとき、永遠 勝利は静かに口を開いた。


「nl² = ne²の完全起動方法を探るために、

王立魔導学院の蔵書に興味がある。

何か、“永遠の勝利”という知能がある物理法則(真我)との同一化について、

手掛かりが、眠っているかもしれない」


ユリアは頷く。

その目に宿った光は、まるで永遠 勝利の言葉そのものを映すようだった。


「魔導学院……なるほど。

あそこには、かつての“フォーリナー”が残した文献や、禁術の理論も保管されてるって聞いたことがあるわ」


「私も、“式”を深く理解するには、もっと知識が必要だと思ってた。

きっと、ここから先へ進むための何かが見つかるわ」


永遠 勝利たちは、王都アーレンにそびえる

白き尖塔――王立魔導学院へと向かうことを決意した。

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