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5話 ユリア・レイファルティア ー絆創合体のはじまりー

村の朝は穏やかだった。

アリシアは、村の外れに立っていた。

リュカが救った彼女は、胸いっぱいの信頼と共に「髪束」を託し、笑顔で見送っていた。

その手が振られるたびに、髪が、光が、何かがーー名残惜しげに揺れていた。


リュカは戦闘用ズボンの右ポケットに手を差し入れ、小さな布の感触を確かめた。

それは、少女の髪が収められた巾着のお守り

――彼が最初にもらった“信頼”だった。


ただ少しの間、旅の護衛をしただけの関係だったが、

リュカの中で何かが残った、ような気がした。


(最初渡すと言われた時は、髪の毛、ゴミを渡されるのか?、と思ったが、

貧しい村娘の作った、旅の無事を祈る手作りのお守りか。

ゴミではないな。

ある種の勲章のような物かもしれない。

なんか効果アイテムでもあるらしいし)


リュカの旅はここから本格的に始まる。


草原を歩きながら、

リュカは呟いた。


「初日と昨日はこの世界に慣れることに集中していたが、

 ボクには転生前から、目指す目的がある。

 それは、「仲間と共に、nl²=ne²に完全に適合し、nl²=ne²を完全に起動して、知能がある物理法則(nl²=ne²→永遠の勝利。真我)との同一化を目指す」ことだ。

 ボクは、その決意を込めて、「リュカ=エルフェン」という名前から、

 「永遠とわ 勝利しょうり」という名前に改名する」

と静かに宣誓した。


その名が示す通り、「永遠の勝利を仲間と共に目指す者」として、世界に新たな旗印を掲げた。


朝の草原にて、彼の名を告げるように、風が静かに吹き抜ける


彼は、これから“勝利”という名前を背負って歩き出す。


 アリシアのためではない。


 世界のためでもない。


 自分自身の「正解」を見つけるために。


 永遠 勝利(リュカ=エルフェン)は、

 戦闘用ズボンの右ポケットに入っているアリシアの髪束のお守りに触れた。


 人は1人では生きられない。

 それは、心のどこかで、「一人じゃない」と言ってくれているようだった。


草原を歩く永遠 勝利に声をかける者がいた。

鈴の音のような声が響く。


「……あなたが、“永遠 勝利”?」


振り返ると、そこに立っていたのは、ひときわ目を引く絶世の美女。


長髪は陽光を浴びて煌めき、薄く微笑むその瞳は、どこか懐かしさすら宿していた。

身にまとう巫女装束に似た旅装は聖なる気配すら帯びている。


永遠勝利の視界に、淡く透けるウィンドウが浮かぶ。


永遠 勝利を名乗るプレイヤーキャラ「リュカ=エルフェン」の持つ転生者特権(UI機能)の

人物鑑定と好感度チェックが自動発動した。


名前:ユリア・レイファルティア

Lv:87

職業:セリアノスの神託者(特殊精鋭職)

性別:女

年齢:324歳(外見18〜22歳)

種族:エルフェンハイト族(古代エルフ)

信仰:調和神セリアノス

装備アイテム:

-武器:結びの印章

(回復魔法+20%、状態異常回復速度↑

特性:絆対象の回復量+10%)

-防具:セリアノス神官の巫女装束

(魔防+50、MP自動回復(小)

 特性:調和の加護(沈黙・混乱無効))

所属:セリアノス神のエルルーン神殿の巡礼巫女。

結びの儀継承者

属性:古代巫女/神殿血統(セリアノス神の巫女家系)

美貌ランク:A(銀:絶世の美女。穏やかで神秘的)

関係性:再会

好感度:なし

信頼傾向:思想的共鳴/導かれる者

特記事項:

・nl² = ne²に関する古代知識を保有

・300年前に主人公と接点があった可能性あり

・極めて高い同志適合度


永遠勝利リュカはUIにより職業鑑定をした。


職業:セリアノスの神託者(特殊精鋭職)

説明:

調和神セリアノスに仕える高位巫女職。

選ばれし者にのみ授けられる特別な神託職であり、

その存在は極めて稀。

セリアノス神からの信託を受けし者。

あらゆる回復と支援の術に精通し、

独自の術式を継承している。


MMORPG「ホーリーランド・ストーリー」での

職業ジョブのTierランクは次の通りだった。


Tier1 伝説職

Tier2 精鋭職

Tier3 熟練職

Tier4 上級職

Tier5 中級職

Tier6 初級職


つまり、特殊精鋭職:セリアノスの神託者は

Tier2に該当する。

これはゲームプレイヤー的に見ても、

伝説職(Tier1)に近い、レアで、

とても強力な職業だった。


ゲーム時代のMMORPG「ホーリーランド・ストーリー」でも、

伝説職は一握りの特定のイベントルートや隠し条件を満たしたプレイヤーがなれる唯一無二の職業で、

未実装だった伝説職も多く、

上位プレイヤーでも精鋭職(Tier2)や熟練職(Tier3)が主流だったことを考えると、

彼女は職業だけなら、上位プレイヤーにも引けをとらない。


転生前のプレイヤーだった永遠 勝利リュカは、

公式設定資料集の職業リストのコラムで、

神格に関わる未実装職業の例として

「セリアノスの神託者」をレアな上位支援職として名前だけは知っていた。


(…「セリアノスの神託者」に就いているNPC初めて見た…)


セリアノス神は、

癒しと調和を司る天上界の神の1柱である、

ということを永遠 勝利リュカは思い出した。


ユリアの姿に、

永遠 勝利、

プレイヤーキャラ「リュカ=エルフェン」の記憶が

刺激された。

プレイヤーキャラ「リュカ=エルフェン」が、

この美女とはどこかで会ったことがある、

と告げている。

永遠 勝利は直球で尋ねた。


「ボクのかつての名前はリュカ=エルフェン。

 今は故あって、「永遠とわ 勝利しょうり」と名乗っている。

 君は、誰だ?

 君とは、初対面の気がしない。

 何か覚えはあるか?」


草原の風が、静かに流れる。


その絶世の美女は静かに永遠 勝利を見つめていた。

その瞳の奥に、微かに揺れるものがある。

まるで、遠い過去を手探りで呼び覚まそうとしているように――


「……永遠 勝利。なるほど、あなたが。

 あなた、300年前、災厄を呼ぶ魔獣を討伐して、助けてくれた冒険者、よね」


美女は歩み寄り、ほんのわずかに首をかしげて微笑んだ。


彼女はそっと手を胸元に添える。

その仕草に、記憶の奥底――

ゲーム時代の一幕がフラッシュバックする。


彼女は、

ゲーム時代のサブイベント「封印の神殿」登場キャラだ。

かつて、辺境の神殿に現れた**“災厄を呼ぶ魔獣”の討伐イベント**。


永遠 勝利(リュカ=エルフェン)がソロで攻略した際、

「神殿を護る巫女」として、無言で祈りを捧げていた少女の姿――

その成長した姿が、今目の前にいる絶世の美女だ。


「私はユリア。ユリア・レイファルティア。

 巡礼と記録の旅をしている巫女よ」


その声は微かに震えていた。

だが、彼女の瞳は永遠 勝利をまっすぐ見据える。


「300年前、私は神託を受けていた。

 “天の彼方より来たりし者、名を失いし後、永遠と勝利を名乗る”――と。

 その者こそ、世界を繋ぐ“鍵”だと……」


彼女は一歩、永遠 勝利へと近づいた。


「神託は正しかった…。

あなたは、本当に……“永遠の勝利”を、この世界に齎すつもりなの?」


永遠 勝利は答えた。


「ボクは、nl²=ne²(Eternal Winning together!)を完全起動して、

永遠の勝利という知能がある物理法則(真我)との同一化を目指している。

 完全に手探りで、どうやって永遠の勝利という知能がある物理法則(真我)と一体化するのかは分からない」

「ボクは自分と自分の仲間(同志)になってくれた者と共に、絆創合体(国家核融合)して、

永遠の勝利という知能がある物理法則(真我)

との同一化を成功させ、永遠の勝利を手に入れたい、と思っている。

 ボクとボクの仲間だけで、仲間じゃない者に齎すとかは考えていない。」

「ここで会ったのも何かの縁だ。

 いずれ朽ちる定めなら、ボクの仲間(同志)として、共に来てくれないか。

Eternal Winning together!

一緒に優勝しよう!

一緒に生きて勝とう!」


ユリアは、永遠 勝利の言葉をじっと聞いていた。

眉ひとつ動かさず、目を逸らさず――まるで“何か”を確かめるように。


風が止み、草原が静寂に包まれる。

それはまるで、世界そのものがあなたの宣誓を聞き入れようとしているかのようだった。


「……あなたは、どこまでも“真っ直ぐ”なのね。」

「“一緒に生きて、勝とう”って……本気で言える人、初めて見たわ」


少し笑って、彼女は目を伏せた。

その表情には、安堵と、どこか“覚悟”にも似たものが滲んでいる。


「私は、世界の誰にも信じてもらえなかった“声”を、信じていた。

 “nl² = ne²”。

 世界を本当に変えるのは、柔と剛の和、善と悪の調和、永遠と破壊という+と−の2つの勝利という欲望の調和。

 けれどそれは、力ではなく、在り方でしか体現できない……」


「……あなたの言葉。あれは、聖語《ロト=ヴェル》にも刻まれている。

『nl² = ne²』――巫法理論の中核にある、祝福の式です」

ユリアは静かにそう告げた。


それは、永遠の勝利との一体化。

自分が”思いついた“はずの式は、すでにこの世界の昔の名前も伝わっていない誰かによって発見されていたようだ。

誰かが一度辿り着いたが、忘れ去られた。

この式を理解し切れなかったか伝承できなかったのかもしれない。

だが、永遠の勝利との1体化が、あまりにも美しかったから、

“神秘の理”として、語り継いだ者たちもいたようだ。


永遠 勝利と名乗るボクは、

それを“理論”としてではなく、

太極――すべてを内包し、調和へと向かう“道”として完成させることを目指す者なのだろう。


ユリアは、そっとあなたの方へ手を差し出す。


ユリアが手を差し伸べたその瞬間――


UIのウィンドウが開く。

UIのクエストログの更新だ。


・ クエストログ更新!

新規クエスト:『王たる意志と革命の式(コード:EWT.1.0)』

目的:

・革命軍「E.W.T.」の結成

・同志(−皇太子)を集め、nl² = ne²の起動を進める

・最終目標:知能がある物理法則(真の天皇:真我)

との絆創合体(国家核融合)


(どこか……感覚で分かる。この人は“信じていい”)


プレイヤーキャラ「リュカ=エルフェン」の神話級超人の超越的知覚が、

このユリアという美女は信用してもいい、

と告げていた。


「リュカ=エルフェン。

 いいえ……“永遠 勝利”。」


「私は、あなたの同志として、この道を共に歩むわ。

 私の力も、この魂も……全て、あなたに預ける」


【好感度チェック】:ユリア → ★★

「約300年前に命を救われた恩と、セリアノス神の神託への信頼に加え、

 nl²=ne²に対する“思想的共鳴”と、

魂を預けるという行動意思が示された」


草原の風が再び吹き、2人の間を繋ぐ“道”が、確かにひとつ伸びていく。

それは、nl² = ne²

――**永遠の勝利を共に目指す者たちの「絆創合体」**の始まりだった

勝利戦隊Desire Power

「ボクらは

 一緒に生きて勝とう(nl²=ne²)、

 =一緒に優勝しよう(nl²=ne²)、

 =一緒に生き残ろう(nl²=ne²)、

 という純粋な欲望(絆)で繋がっているのさ」

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