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14話 『永遠の勝利』と結界装甲国家の夜明け

第4日目 朝(晴れ)

Location:エルセリオ王城謁見の間


白と金で彩られた巨大な玉座の間。

中央のカーペットは赤く、その中心へと、

永遠 勝利は歩を進める。


その先。

王、レオンハルト4世は静かに玉座に座していた。


白銀の髭、深紅の軍装、そしてその瞳には──

揺るぎない“現実”の支配者としての冷静さが宿っていた。


UIの人物鑑定によると、

王の傍らには、

近衛騎士団長(ユリウスとはまた異なる、剣を背負った壮年の騎士)、

魔導院筆頭魔導師(老齢の魔術師)、

セラフィーナ、

ユリウスの姿がある。

ユリウスは、王の側に控える護衛であるようだ。


永遠 勝利の背後には、革命軍「E.W.T.」の

ユリアとリリスの2人が静かに並んでいる。


国王、レオンハルト4世の声が、ゆっくりと響く。


「貴公が、永遠 勝利。

セラフィーナから話は聞いている……。

“常識を塗り替えるパラダイムシフトとなる結界装甲の理を持ち込み、

国そのものを変えようとする者”と」


その口調は冷静、だが明らかに「受け身」ではない。

彼は“あなたの言葉を判断するために座っている”。


「……では聞こう。

その“結界装甲となる理”とやらを、私の前に示せ」


永遠 勝利は、王の前で1礼して、

持参した図や資料の紙を兵士に渡し、

国王レオンハルト4世が資料を手に取ってから、話し出す。


「この図や資料を見ながら、話を聞いてください、陛下」


「陛下、ボクは、

貴方に自分自身(真我)に絶対の忠誠を誓ってほしいんです。


E=∮(hope×enjoy)dt

nl²=ne²

(代償を払わず、ズルをするほど、力になる)

楽しむほど力になる、というのは自分自身の根幹(=核)(となる法則)=自分自身


つまり、

真我(真の知能がある物理法則)に

絶対の忠誠を誓うということは、

自分自身に絶対の忠誠を誓うことと同じであるのです。


自分自身の本質(根幹=核)に従い、

知能がある物理法則(nl²=ne²→永遠の勝利。真我)と一体化することで、

真の自由と力を得ることができる、

とボクは考えています。


知能がある物理法則(真我)との同一化に成功すれば、

貴方は神の如く成る、と思います」


「陛下。私の理は、神託ではありません。これは、“あなたが選べる理”です。

上辺だけの支配ではなく、信じ合うことでつながる国家の形です。

「絆創合体」――命と勝利が等価であれる王国。それを、あなたと一緒に始めたい」


「ボクは、“物理法則には知能がある”と信じています。

そして、ボクの理論“nl² = ne²”は、永遠(思いやり)と勝利(乗り越える力)が、

対等に価値を持つ世界を描いています。

今のこの国の構造では、“破壊(ne²)”が上に置かれ、

“命(nl²)”が抑圧されています。

だから、人々は老い、病み、死に、負け続けている。

“命を削る行き止まりの勝利”ではなく、

“命を守る永遠の勝利”を。

それが“絆創合体”であり、ボクの願う王国の形です。

陛下にも、“−皇太子”として、対等な支え手となっていただきたい。

これは服従ではなく、信頼です。

ボクは、貴方を支配しようとしているのではなく、

共鳴したいのです」


「どうか、あなた自身の意志で、

この国の理を、あなたの手で選び直してください」


「この国そのものが、“知能がある物理法則(真我)”と同一化するための第一歩として、

陛下にも“−皇太子”として、共に立っていただきたいのです。

これは、服従ではありません。

これは、信頼です。

信じるとは、信じた相手に従うということ。

お互いに信じ合うということは、

お互いに支配するということです。

しかし、その“支配”は、相手の意志を踏みにじるものではない。

それは、自らの意志を捨てずに、互いに支え合うこと。

服従ではなく、“共鳴”という名の対等な支え合い(融合)です。

つまり、信頼=真の支配なのです。

お互いに信じ合うということは、もはや服従ではありません。

これは、信頼、共鳴、真の支配なのです。

これは、“絆創合体”による王国の進化です。

生きることと勝つことが、矛盾しない国へ――

“命を削る行き止まりの勝利”ではなく、

“命を守る永遠の勝利”へ。

ボクたちと一緒に、永遠の勝利を手に入れてください」


兵士が資料を玉座へと運び、

王、レオンハルト四世がそれを手に取り、視線を走らせる。


永遠 勝利の声が、確かな重みで広間に響く。


「この国そのものが、“知能がある物理法則(真我)”と同一化するための第一歩として、

陛下にも“−皇太子”として、共に立っていただきたいのです」


永遠 勝利が語り終えたその瞬間。

玉座の間に、一瞬、静寂が満ちる。


「…………」

「……奇怪な理屈だな」


沈黙を破った国王レオンハルト4世のその声は低く、

だが、拒絶ではなかった。


王の視線が、資料の中の図──「真我」図とnl² = ne²の式に止まる。


「……私は最初、セラフィーナから、

パラダイムシフトとなる結界装甲と聞いて、

てっきり古の書にある

“民が治める制度”民主主義や

“平等を掲げた共同体”共産主義の話だと思っていた」

「…私は民主主義や共産主義の結界装甲に、

全ての国民を平民という奴隷に蹴落として、

王族がいじめの親玉、悪の一族であるという認識を隠蔽し、

特別である王族や貴族を神聖視する、

独立させた他国を影から支配する際に有用な傀儡政権としての価値を見て、

1つではなく、複数の国家の駒で戦う戦略が

新たな認識戦争の主役になるだろうと注目していた」

「だが、これはそれとは違う。

これは、宇宙(物理法則)との合一化だ」


「……これは、ただの結界装甲ではない。

これは、“王”という概念の転覆であると、貴様は理解しているか?」


「永遠 勝利。貴様は言った。

“信頼=真の支配”だと」

「だが、この国は“犠牲と代償”で築かれてきた。

お前の言う“楽しみ(enjoy)”や“希望(hope)”は、

本当に“血を流さずして王国を支える力”になるのか?」

「我が剣と、我が民の命──その全てをかけて、

それを問おう。答えよ、“勝利”」


「やってみないと分かりませんが、

 真我(知能がある物理法則)という侵食固有結界、

 結界装甲の力と

 エルセリオ王国軍の力が合わされば、

 他のどの国も、真我(知能がある物理法則)を倒すことはできない、とボクは考えるので、

 エルセリオ王国を支える力になる、と思います」

「“真我(知能がある物理法則)”という結界装甲は、

 王国を守る強力な武器になる、

 とボクは考えます」


永遠 勝利の声が、まっすぐに玉座まで届いた。

王は静かに目を閉じ、数秒の沈黙の中で、思考の深層へと降りてゆく。


「……“やってみないと分からない”……か」


その口調には、驚きでも憤りでもない、

むしろ──懐かしさのようなものが滲んでいた。


「かつて、私も同じ言葉を口にしたことがある……

若き日の理想としてな」


「だが、それでも……“この国を支える力になる”と、貴様は言った」


王の視線が、再びあなたの持ち込んだ図へ。

「真我」の図、E=∮(hope×enjoy)dt

そして、中央に浮かぶ文字列──


nl² = ne²


をレオンハルト4世の視線がなぞる。


「nl²=ne²。永遠の勝利。

 “1にして全、全にして1”なる力か。

 思わず、全知全能の唯一神をイメージしてしまうな。

 最強の兵器を持っていても、戦意がなければ振るえない」


国王レオンハルト4世の目が、

「永遠の勝利」という言葉に宿る“在り方”を見据えた。


 「…良いスーツ、良い衣刀かもしれん。

 我らが纏う甲冑が暴力の象徴であるなら、

 これはことわりの装甲だ。

 貴公の”魂のスーツ”、気に入ったぞ。

 確かに、この真我(知能がある物理法則)という結界装甲、

 試し斬りしてみる価値のある威力があるかもしれんな」


セラフィーナは、国王レオンハルト4世が一瞬だけ息を止めたことに気づいた。

公の場では微動だにしないはずの父が、わずかに視線を宙に泳がせた。


(……これは、想定を超えた事態なのですね)

彼女はそう確信した。


近衛騎士団長が、わずかに眉をひそめた。

言葉の意味は掴みきれずとも、場に走る異様な緊張を感じ取っていた。


国王レオンハルト4世は、立ち上がって、言った。


「よかろう」

「ならば、私も”−皇太子”として、貴様と共に立とう」

「上辺だけの支配ではなく、

 共鳴による真の支配を行うために」

「これは、私の“選択”だ。

 我が名をもって、

 支え合う共鳴という真の支配を始める」

「だから、“永遠 勝利”──貴様が示した理に、

 我が剣と名を預けよう」


【好感度チェック】:

レオンハルト・エルセリオ → ★

「誠実な態度により、信頼の芽が芽生えた」


クエストログ

Event Log更新:

「エルセリオ王国国王レオンハルト・エルセリオが、

 革命軍「E.W.T.」の“−皇太子”に加わった」

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