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11話 ユリウス・クレアフォード ―忠義の剣、真我色(EWT)に触れる―

その日の夕方――


王立魔導学院にある訓練棟にて。

セラフィーナからの“私的な推薦”を受け、永遠 勝利は密かに招かれた。


広い屋内訓練場の中央に立つ青年。

鋼鉄の鎧を纏いながらも、気配は研ぎ澄まされた静寂のようだ。

視線一つで場の空気を掌握できるような、剣士の気。


永遠勝利リュカの足音に、彼が振り向く。

プレイヤーキャラ「リュカ=エルフェン」の自動人物鑑定が自動発動した。


名前:ユリウス・クレアフォード

Lv:68

職業:王国のインペリアルソード(特殊精鋭職)

性別:男

年齢:26歳

種族:人間

信仰:光神ラゼム(形式上)

装備アイテム:

-武器:〈剛剣ガルナダ〉

(攻撃+85、魔法斬撃+30%

特性:特命発動時、剣技威力+25%

-防具:〈近衛制式鎧・紺陽〉

(物防+60、魔防+45、属性耐性(光/火)+10%

特性:HP30%以下時、被ダメージ−20%)

所属:エルセリオ王国近衛騎士団・副隊長(実質の現場指揮官)

属性:忠義/理想主義

美貌ランク:B+(銅:端整で鋭い印象の美青年)

関係性:初対面

好感度:なし

信頼傾向:実直/使命重視型

特記事項:

・ユリウスは、かつて正式に「インペリアルソード」の称号を王国より与えられた唯一の平民出身者である

・エルセリオ王国軍の優れた指導者によって

英才教育を施されたため、平民だが優れた兵士になれた。

・剣術・戦術指導の教育歴あり(セラフィーナ王女の元教師)

・王国軍内部にて“実直すぎる男”として知られている

・理念に共鳴しやすいが、裏切りや欺瞞には強く反応する


特殊精鋭職:インペリアルソード。


MMORPG「ホーリーランド・ストーリー」での

職業ジョブのTierランクは次の通りだった。


Tier1 伝説職

Tier2 精鋭職

Tier3 熟練職

Tier4 上級職

Tier5 中級職

Tier6 初級職


つまり、特殊精鋭職:インペリアルソードはTier2に該当する。

これはMMORPG「ホーリーランド・ストーリー」のゲームプレイヤー的に見ても、

伝説職(Tier1)に近い、

上位プレイヤーが就くようなとてもレアな職業で、

永遠 勝利リュカは初めて見た職業だった。


(Lv68はこの世界に転生してきてから出会った中で、ユリアを除けば、最高レベルで驚いたが、

……“インペリアルソード”――まさか、本当にいたとはな…)


それは、かつてゲーム時代に一度だけ噂で聞いた、

王家ルートという選ばれた者にしか開かれない

超高難易度分岐で登場する特殊精鋭職。

MMORPG『ホーリーランド・ストーリー』の中でも、

1国で1人だけしかなれない、“王家の剣”とまで言われた伝説的ジョブだった。


永遠 勝利リュカは転生者特権(UI)の職業鑑定を発動した。


職業:王国のインペリアルソード(特殊精鋭職)

説明:

王家直属の対外・対内特命剣士。

王国の名誉と剣を象徴する存在であり、その存在自体が“王権の代弁”とされる。

一国一名限定。

通常、任命には“血統”と“忠誠”が要されるが、極稀に“意志”によって選ばれる者もいる。

ユリウスは例外的に”血統”でなく、“忠誠”と”意志“で選ばれた。


(1国1名の特殊精鋭職。

この世界の上積みの中の上澄みと見て間違いないだろう。

ということは、

この世界ではLv70前後が国家最強レベル、

と見ていいのだろうか)


永遠 勝利はそこまでほぼ光速で思考し、

頭を切り替えた。


「……君が、“永遠 勝利”か。

殿下の……いや、他称“セラフィーナ様”の命により、話を聞こう」


ユリウスは永遠 勝利の目を真っ直ぐに見て、短く言った。


「俺たちが守るのは“王国”だ。

その王国を塗り替えるという君の考え――詳しく、聞かせてもらおうか」


永遠 勝利は「nl²=ne²」の理論と理想を図を見せながら、

語った。


「王国を破壊する意図はないです。むしろ、王国をより偉大にするためです」

「ボクは、物理法則が現実世界を形作っていて、物理法則が現実世界を運営しているので、

 物理法則が現実世界の作者、現実世界の管理者、運営、神=最高権力者=真の王=真の勝者、

生の苦しみから解脱した仏、イエス様、

神だと信じています。

 ボクは、この図のように、物理法則のアレンジコピーであるTRPGのバックグラウンドであるゲームマスターに知能があるように、

 コピー元である物理法則には知能がある、と信じています。

 ボクは今日を健康に生き、明日を健康に生き、ずっと健康な生活がしたいです。

 病気になったり、死んだり、老いたりしたくありません。

 その願いも最高権力者である知能がある物理法則(真我)の支援があれば、叶うと思います。

 一緒に、nl²=ne²を完全に起動して、永遠の勝利である

 知能がある物理法則(真我)という真の天皇に成りましょう!

 そして、ずっと若く劣化せず健康に生きましょう!

 知能がある物理法則(真我)との同一化を成功させることができれば、

 あなたは不可能のない神のごとくなる、と思います。

 知能がある物理法則(真我)との同一化を成功させるために、

 力をかしてください。

 ボクの仲間(同志)になってください。

 ボクらは幸せになるために生まれてきたんだ、という道を歩みたいです。

 Together Strong.

 よろしくお願いします!

 

 Eternal Winning Together(nl²=ne²)!

 一緒に優勝しましょう!」

「自分自身(真我)に絶対の忠誠を誓ってください」

「自分を助けるために、力をかしてください」

永遠勝利リュカはユリウスに対して語った。


静まり返った空間の中、永遠 勝利の声が真っ直ぐに響き渡る。


語られる言葉は、論理と情熱、数学と祈り、そして“生”と“幸福”への絶対的な渇望。

永遠 勝利は図を広げ、その一点一点を説明する。

nl² = ne²――“Eternal Winning Together”。


「……物理法則には知能があります。

 それはこの世界の“真の運営者”であり、

 ボクらが目指すべき“勝利”の源です」


言葉は次第に熱を帯び、。

最後に、あなたは跪き、額を地に付けるほどに深く頭を下げた。


「自分を助けるために、力をかしてください……」

「ボクらは幸せになるために生まれてきたんです」

「一緒に優勝しましょう」


近衛騎士・ユリウスはしばし沈黙した。


永遠 勝利の話の途中から剣に手を伸ばしていた

ユリウスの剣の柄を握る手が、ふと緩む。


「……信じがたい理論だ」

「否、俺の常識では、到底理解できるものではない」


彼は永遠 勝利リュカの前に歩み寄ると、静かに膝をついた。

永遠 勝利リュカと同じ高さで、その目を見て言った。


「だが、君の言葉には“命”があった。

 “幸福になりたい”と叫ぶ心が、理論を超えて伝わった。

 そのために、命を懸ける覚悟――俺は、それを無視できない」


「最初はただの王家に仇なす危険思想者かと思ったが、

 俺が見てきた建前だけの結局は暴力を至上とする

 危険思想者と

 君はかなり違うようだ」


「セラフィーナ様が導いたこの出会いは、

 王家の真なる勝利に通ずる…。

 であれば、俺はその“勝利の剣”として振るわれるべきだ」


「君の思想は、俺の、王国をより良くしたい、という使命と衝突しないように感じた。

 俺には、王家を“永遠に勝利する存在”へと導く道を支える使命がある。

 個人的には、自分自身への絶対の忠誠を誓う形になる、

 というのもただの道具にされるわけではない、

 と好ましく思った。

 だから、

 王家の方針を“忠実に守りながら”、

 君に協力しよう」


「だが、俺は王国の剣だ。

君が俺の「王家と王国を守る」という使命の邪魔になる危険思想者になるようなら、

俺は躊躇なく、君を斬るだろう」


ユリウスの言葉に、

永遠 勝利は答えた。


「はい…。

 すいませんが、

 ボクが計算を間違えたら、

 斬る前に指摘してください。

 できるだけ直しますから。

 染め合いのキャッチボールによって、

 仲間全員で進行方向が合っているか確認しながら進む。

 それが、ボクらの理念、Eternal Winning Togetherであり、

革命軍『E.W.T.』ですから」


ユリウスは言った。


「…やはり、君の思想は俺が見てきた、

建前だけの結局は暴力を至上とする危険人物たちとは大きく違うように感じる。

君を斬るような結末にならないように願っているよ」


永遠 勝利は言った。


「はい。

 ボクもユリウスさんと殺し合いになるような展開にはならないようにしたい、と思います。

一緒に優勝しましょう」


【好感度チェック】:ユリウス → ★

「正直で誠実な態度と「生きたい」という本音により、

 信頼の芽が芽生えた」


クエストログ

【ユリウス・クレアフォードが−皇太子として加入】


王国近衛騎士団の副隊長が、革命軍「E.W.T.」に思想的共鳴を示し、協力を誓う。

指揮官としての立場を逸脱しない範囲で、

有志の者たちに「思想への接触」の機会を作ることを決意した。

表向きは王家に対する忠誠を維持しつつ、水面下で情報・人材の提供を始める

王宮の中枢の一部に、ついに**“E.W.T.の思想”が届いた**

【革命軍「E.W.T.」進行ログ更新】


セラフィーナ姫 → 思想共鳴(非公式協力)

リリス(研究)、ユリア(信仰)に続き

ユリウス(軍)が加入。

三系統揃い踏み:知・祈り・剣が革命に収束しつつある。


近衛騎士団の副隊長ユリウスとの接触を終え、密かな革命は少し前進した。


第3日目 夕方

ユリウスとの面会を終え、リリスの研究室へと戻る途中。

永遠 勝利リュカは、

王宮へ戻る使節団がちょうど王立魔導学院の門に向かっているところに遭遇した。

王宮へと戻る使節団の中に、セラフィーナ王女の姿を

永遠 勝利リュカは発見する。


セラフィーナ王女は、すれ違い様に、

永遠 勝利リュカに一通の小さな手紙を託した。


「これ、今夜――王宮の第三応接室で待っているわ。

公式には“なかった”ことにされる会談だけれど、

それでも構わないなら……来て」


王女の言葉には、公人としての仮面を脱ぎ捨てた少女の声が混じっていた。

その瞳には、“思想”に触れた者だけが持つ、深い理解と決意が宿っていた。


手紙を永遠 勝利リュカに渡すと、

セラフィーナは振り返らず、使節団と共に王宮へと去って行った。


革命軍「E.W.T.」の旅路は、王国の中枢へと向かい始める。


Eternal Winning Together――

「一緒に優勝する」その旅路は、確実に始まり始めていた。

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