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4・銭ゲバなのでお金には詳しい

 フェーレが入れたお茶をおいしそうにごくごくと飲み干して、男はやっと一息ついた。


「いやあ、なんとありがたい。本当に空腹でたまらず」

「ピクルスの文句は言うのに」

「あれは食べ物ではなく食べる事が可能ななにかです」

「食べられたら食べ物よ」


 そういってフェーレは自分のパンを食べた。

 予定は狂ったが、割と高めのお金が手に入った。まあいい。


「そんでこれがお釣りな」

「え?」


 男に革袋を返した。


「どうして?わざわざ返す必要などないでしょう」


 中を見て、男は更に驚く。


「金貨が残ったままだ」

「そうだよ」

「なんでですか?一番、価値が高いのは金貨ですよ?」

「お前じゃないならな」


 そういってフェーレはふんと鼻を鳴らした。


「パン代金に貰ったのは銀貨5枚」

「どうして銀貨を?」

「その金貨、エステベンの国のだろ。でも銀貨はインドゥアーグ発行のもの。そっちのほうが信頼性が高い」


 エステベンは最近は勢力が広がっている国ではあるが、数十年前までは割と荒れていた。

 その頃作られた金貨より、インドゥアーグの銀貨の方が信用性が高い。

 だが、当然フェーレはそんな事は言わなかった。


「いまからインドゥアーグに向かうんだよ。換金めんどいだろ」


 実はインドゥアーグの換金所の目利きは確かな分うるさい。

 ただ、自国の通貨となると話は別で、本物となれば手間もかからずそのまま使える。

 執事のバートリーも、理解したうえで出来るだけの準備をしてくれている。

 つまり、フェーレの国、ヘルゼンはあまりインドゥアーグの外貨を持っていない。

 だから、できるだけフェーレとしたら、一枚でも多くインドゥアーグの外貨が欲しい訳だ。


「女性なのに、随分とお詳しい」

「―――――まあな」


 本来なら公女はこんなものに触れる必要すらないだろう。

 だがフェーレはそうはいかない人生だった。


「でも、それでもないよりはマシでしょう?一枚でも多くお金があった方が」

「盗んだって言われなきゃな」


 すっとぼけているのか単なるポンコツか、この男が持っている革袋はインドゥアーグの支給品だ。

 番号も降ってあるし、他国のものが持っていたら真っ先に盗難を疑われる。


「ま、パン一つにしちゃ銀貨五枚は充分破格だし、こっちがそれで構わないって言ってるんだからいいだろ」

「そうですが……」

「それよりお兄さん、腕に覚えあるでしょ?パンに恩を感じるなら、一緒にインドゥアーグへ行ってよ」


 すると男の表情が一気に変わった。


「……なせ、わたしがインドゥアーグへ行くと?」

「この場所を知っているのはインドゥアーグの役人か軍隊か、商人、というよりここに居ても立場が守れるのは、そのくらいの人しかいないって事だ」


 東屋なんて狙いやすい場所でゆうゆうと休めるのはインドゥアーグの政策のおかげでもあるが、狙おうと思えばいつでも誰かを狙える。

 だから、『狙ったら仕返しが必ずあるぞ』という立場の者しか使わないし、自らがその立場であると示している。


「お兄さんだって、あの馬見たからいきなり出て来たんでしょ」


 フェーレの愛馬、フィンタンの蔵にはおもいきり目立つようにヘルゼン国のしるしが入っている。

 一応は公的な立場である、というしるしだ。

 流石にフェーレを見て、馬を奪った盗賊には見えなかったのだろう。


「いやあ、お腹がすきすぎてそれどころでは」

「ま、それでもかまわないし、男手があるのは助かるわ。『あれ』を預かるから、インドゥアーグまでお願いね」


 あれ?と言われ男はフェーレの指す方を見た。

 馬が、得意げになにかをくわえていた。


 男の顔色がざっと青くなった


 ―――――通行手形だ!


 はっと慌ててあるはずの場所を見ると、いつの間にか抜き取られていた。


 ニヤッとフェーレが笑うと、男はひくつきながら頬を歪ませるしかなかった。


(なんて手癖が悪いんだこいつは!)

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