3・変な男が現れた!
馬車では時間がかかるが、フェーレは愛馬、フィンタンを走らせる。
真っ白な美しい馬で、多少性格に難はあるのだが、フェーレとはいい友人だ。いや、友馬か。
「フィンタンで行けばそう時間もかからないし、お前に敵うものはいないものね」
そういって話しかけるとフィンタンは『当然』という風に首をゆすった。
いい馬だ。多分これがフェーレの中で最高の財産といってもいいくらいの。
馬車なら五日かかる道でもこのフィンタンなら三日で到着する。
無理はしなくてもいい旅路だが、少しでも早い方が良いのは間違いない。
荷物は最小限、すすむ道はショートカット、季節も悪くない。
しかも外見もかなり質素にしているので、どう見てもフェーレを襲う意味はないし、そもそもこの道はインドゥアーグの管理下にある。
(いまの王様になってから、特に規制は厳しいんだよな)
おかげで盗賊は殆ど居ないし、犯罪も減った。
全くないとは言わないが。
さて城を出て数時間、日も暮れ始めてきたので、フェーレは少し休むことにした。
少々早い休憩ではあるが、いまから馬も自分も休んでおけば、明日は夜明け前から移動できる。
フィンタンの負担を減らすためにも悪路はフェーレも歩く必要がある。
「この奥のほうに……よしよし、荒らされてないな」
道をやや外れた場所に、川沿いの小さな広場がある。
この道を使う王族や立場の高いものが主に使う、東屋があった。
屋根とテーブル、備え付けのベンチと言った簡素な作りだが、あるだけでもありがたい。
「丁寧に管理されている。さすがインドゥアーグ」
こんな休憩所を、各地に作っているのもいまの王になってからだ。
管理を地域住民に任せ、管理するものは好きにつかっていいという許可も出したおかげで、憩いの場にもなっている。
フィンタンは川へ水を飲みに向かい、フェーレも揃って水を汲みに向かう。
東屋にはファイヤーピットも、誰かが置いたのか燃料もあった。
「なんだ、すごいなここの管理人は」
ちゃんと燃料も持ってきていたが、使って良いのならありがたい事この上ない。
先になにがあるか判らないので、、ありがたくフェーレは燃料を使わせて貰う事にした。
火をおこし、お湯を沸かして、さて、用意して来たお茶を飲もうとしていたその時だった。
がさがさという音となにかの気配を感じ、フェーレは剣を手に取った。
じっと静かにしていると、草陰からど、っと人が倒れ込んできた。
「あ、あやしいものではありません……」
倒れたまま、フェーレの気配を感じたのかそう倒れ込んできた男は言うが、フェーレは剣を持ったまま返した。
「それを決めるのはこっちだ」
「ま、ま、ま、待って……なにか……食べ物を……」
「食べ物?」
なんで食べ物がないんだ?とフェーレは首を傾げた。
この通りはちょっと中に入れば小動物もいるし、木の実だってなにかしあるはずなのに。
「よし、おまえはあやしい奴に決めた」
「ま、待ってください、せめてそのまえに食べ物を」
しつこく食い下がるあやしい男にフェーレは言った。
「金を出せ」
「は?」
「いいから金を出せ。困っているんだろう?食料を売ってやる」
公女にあるまじき取引である。
だが、男はむしろ、「本当ですか????」と勢い顔をあげ、頭を下げた。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
そういってフェーレに向けて革袋を投げた。
「確認してください!金ならあります!」
中身を確認してフェーレは驚いた。
確かに大枚が入っていたからだ。
「―――――ほらよ、食って良い」
そういってフェーレは、今日の晩御飯に食べるつもりで城から持って来たハムとピクルスをたっぷり挟んだバゲットを渡した。
「ありがとうございます!まともな食糧だ!!!!」
そういって男はパンにかぶりつき、がつがつと食い始めて、言った。
「ピクルス入ってる。まともじゃなかった」
「うるせえ黙って食え。でないとお前をピクルスにするぞ」
フェーレの脅しに、男はあわててピクルスを飲み込んだ。
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