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魔法のママバック

作者: はやはや

 先日、電車の中で魔法のママバックを見た。


 用事が終わり、帰路につく電車に乗り込むと、母親とベビーカーに乗った二歳くらいの男の子が目に入った。二人で顔を寄せ合って小さな冊子のようなものを見ていた。母親は慈愛に満ちた笑みを浮かべていて、なんかいいなぁと思った。


 しばらくするとカバンから自転車の鍵を母親が取り出し、男の子はそれについているキーホルダーを欲しがった。母親は鍵を渡す。すると、キーホルダーを外せと男の子が言い出した。

 男の子が「はずすー!」と少し大きな声を出すと、母親は「わかったよ」と言いつつ、「電車の中では、しーっ」と人差し指を口の前に立てて見せる。

 子どもにさりげなくマナーを伝えている。


 そうこうしているうちに男の子の気が変わり、キーホルダーは、どうでもよくなったようだった。すると間髪入れず母親が「〇〇見る?」とバックからビニールファイルを取り出した。そこには戦隊モノの柄が描かれていた。


 ファイルに男の子が飽きると「〇〇いる?」と次は十センチ程の赤色の戦隊モノの人形を出し、その後、今度は同じ大きさの白い戦隊モノの人形まで出てきた。

「どうぞー」

「ありがと」

 というやりとりも欠かさない。


 このママバックすごいな。

 といっても母親が持っているのは、マチが五センチくらいの斜めかけバックなのだ。こんなコンパクトなバックに子どもを夢中にさせるアイテムが幾つも入っているなんて。


 まだ何か入っていたかもしれないが、私の降りる駅に着いた。その親子も同じ駅で降りた。

 コンビニで買い物し、駅の階段を降りると、その親子がエレベーターから降りてきた。

 ベビーカーを押す母親が私の前を歩く。その背中には魔法のママバックが揺れていた。

読んでいただき、ありがとうございました。

全国の子育て中のパパさんママさん、お疲れ様です!

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