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今日も明日も。 -最終話ー

「・・・疲れたなぁ。」


あたしはその場で、頑張って履き続けたヒールを脱いだ。


好きだけで、どうにかなる恋もあれば、

それだけでは、どうにもならない恋が在る事をあたしは知った。


もう少し、美帆子さんが性格が悪かったら、穂積さんを完全に独占したいと思ったかもしれない。

もう少し、穂積さんがあたしを都合の良い女として扱ったんなら、あたしも醜態を見せたかもしれない。

もう少し、あたしがズル賢い女だったら、穂積さんを巧く利用したのかもしれない。


そんな事も思うけど、それは無意味な思考でしかない。


あの美帆子さんだから、穂積さんは選んだのだし、

あの穂積さんだから、あたしは憧れ想ったのだし、

このあたしだから、穂積さんは愛してると言ってくれたのだ。


添い遂げられない想いがある事を、あたしは水嶋さんから教わった。

それでも前を向いて歩いていけるんだって、今、自分で思える。


好きになった事を後悔もしないし、さようならを決めた事も後悔しない。



あたしは会場のドアを開け、裸足でクロークに向かった。

片手に小さなパーティバッグとヒールのあたしは少し異様に見えたかもしれない。


「青山!」

あたしがコートを受け取って、声のした方を向く。

ドアが開いていて、穂積さんが見えた。

その直ぐ後ろに美帆子さん、そして又その後ろに水嶋さんが立っていた。

「智志?」

・・・水嶋さん、又言わなくても良い事を言ったな・・・。


穂積さんは、美帆子さんを一人には出来ない。


あたしはペコっと小さく頭を下げて、思いっきり口角を上げた。



タクシーに乗ろうと、ホテルを出る。

東京に初雪が降った。


ホテルの植え込みに雪が舞い降り、そして消えた。

この土はこの日この時、雪が降った事を記憶し、忘れないだろう。


あたしの心もそれに同じ。


穂積さんを好きだった事を心は記憶する。


あの日、二人で見たあの白雪を忘れない。




人の気配があって振り返ると水嶋さんが哀しそうな顔をして立っていた。

「あたし、頑張った!」

「・・・うん。」

「貫いたよ?」

「・・・送ってく。」

あたしは首を振る。


「一人で歩けます。」

あたしは水嶋さんに笑い掛けた。




                          *** THE END ***


長々とお付き合い下さいまして有難うございました。

この作品に関しまして想うところも有り(意味深長)、お気に入りに

なってしまったキャラも有り(再意味深長)、今日此処に最終話を

迎えられた事は一先ず安堵でございます。


読んで下さった方、

お気に入りに登録して頂いた方、大変励みになります!!


今後も別の作品で読んで頂ける様に精進して参ります。

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