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「又っ?!」

あたしは携帯電話のクリアボタンを連打した。

珠紀に映画に行こうと誘われ、銀座に出てきた。

又も珠紀は「彼氏が会いたいって、ハート」みたいなメールを送ってきて、ドタキャンをした。

有楽町マリオン前で、待ち合わせの多い中こんな凹んだ顔してるのは、あたしだけだった。


昨夜、穂積さんと嫌な別れ方をしてしまった。

何度かメールをしようと、送信先に”うさぎ”と入れてもタイトルにも本文にも何て書いていいか解らなかった。

何を言っても言い訳にしかならない気がした。


今日珠紀に会ったら色々話を聞いて貰おうと思ったのにな。

JRの駅に向かって歩き出した時、名前を呼ばれた。

「奏ちゃーん!!」

顔を上げると、美帆子さんが片腕をブンブン振っていた。

は・・・恥ずかしくないのかな。

あたしは小走りで近寄って行って挨拶をした。

「どうしたの?買い物?」

「友達と映画の約束してたんですけど、ドタキャンされちゃって。」

「えぇそうなんだぁ。残念だったね。じゃ今一人?水嶋君後から来たりするの?」

美帆子さんは、あたしの彼氏を水嶋さんだと思ってるんだった・・・。

「ううん、一人です・・・けど、今から帰ろうかと。」

「じゃぁー買い物付き合って?智志誘ったら、今日ちょっと機嫌悪いみたいで生返事だったから一人で来たんだけど、洋服とかどれも可愛くて迷っちゃうんだよねぇ。」

機嫌悪いんだ・・・。

あたしのせいかな。

「あ、そうだ、パーティのドレスさぁ、あたし買ってあげようか??」

「え?!駄目です!てかパーティは・・・。」

「良いじゃない!お年玉って感じ?」

そう言い美帆子さんはあたしの右腕に腕を絡めて引っ張り、先ずはデパートに入った。


フォーマルなフロアで、何着かドレスを見て美帆子さんは「違うなぁ」と言う。

「み、美帆子さん、パーティは・・・。」

「ドレス買ったら、来てくれるでしょ?」

う。

確かに。買って貰ったら行かない訳にはいかない。

・・・駄目だ、美帆子さんと居るとこのペースから逃れる事は出来ないらしい。

「堅苦しくないの、パーティっても。あ、ほらお決まりの挨拶とかはあるけどさ、料理も美味しいホテルだし、是非楽しんでいって?」

美帆子さんは人が幸せなのを見るのが嬉しいのかなぁ。


美帆子さんに連れ回され、試着もさせられ、あたしは着せ替え人形みたいな状態になっていた。

「・・・美帆子さん、今日美帆子さんお買い物に来たんじゃないんですか?」

「え、あ、そうだった!忘れてた!!」

美帆子さんがキラキラの笑顔を見せた。

「お腹空いたねぇ。ランチにしよっ。ソニービルに美味しいイタリアンのお店あるんだけど、そこ行こう?」

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