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ツリーも綺麗で、ニョッキも上手くいって、穂積さんが買ってきたチキンも美味しかった。
久しぶりに美味しいお酒を飲んだあたしは、何時もは酔うような量じゃないのに
気分が高揚してフワフワした感覚の中に居た。
「あー水嶋さーん、ケーキはぁぁ?」
「あ、そうだそうだ、ケーキ買ったんだよ、穂積。」
「あたし用意しまーす。」
「・・・無理でしょ。」
穂積さんにそう言われて、あたしは立ち上がった。
「青山は、デキル子です!」
立ったら、何処がキッチンだったっけ・・・?位に、お酒は回ってて、あたしはしゃがみ込んだ。
「・・・すみません、酔ってる・・・。」
「見れば判るから!」
何か今、二人に突っ込まれた気がするぅ・・・。
「立てる?」
「ふぁい・・・。」
眠いなぁ・・・。
「寝かせる?」
「そうしようか?」
今日は楽しかったなぁ。
「煙草・・・ってくる・・・。」
「・・・った。気をつ・・・。」
二人の声も遠くなってきた。
バタンっ・・・-。
あれ、水嶋さん、何処か行ったのかな。
あたしは、穂積さんの首に腕を回した。穂積さんがあたしを抱っこしてベッドに運んでくれた。
ベッドに寝かされても、あたしは穂積さんから離れられなかった。
「きょぉ・・・楽しかったねぇ。」
「・・・ん。」
穂積さんの腕が、あたしを寝かせようと首に回した手を引き剥がす。
力の入らないあたしの体は、あっさりとベッドの上に横たえる。
ふぁー・・・ベッドだぁと思ったら穂積さんの唇が、あたしに重なった。
あたしの少し開いた口の中に、穂積さんの舌が入ってきた。
穂積さんとこんなキスをしたのは初めてだった。
・・・さっきの水嶋さんの事、妬いてたのかなぁ・・・。
あたしは、又、両腕を穂積さんの首に回した。
怖くないや・・・。
お酒のお陰かな・・・。
もっとシタイかも・・・。
穂積さんの舌が、あたしの舌と絡み合って、厭らしい音を立てる。
暫くお互いを求め合うようなキスをして、最後にあたしの額に軽いキスをした穂積さん。
あたしは安心して、眠りについた。
目覚めると、未だ朝ではなかった。
枕元のルームライトを灯すと、あたしの横には穂積さんが寝息を立てている。
コンタクトレンズをしたまま、眠ってしまい、あたしは何度か瞬きをした。
「痛い・・・。」
バッグに目薬入れてたんだ。
あたしはベッドから下り、寝室のドアを開けた。
水嶋さんがソファの上で眠っていた。
あたしはその横のローテーブルの下に置いてある自分のバッグを静かに開けた。
「・・・寝れないの?」
「起こしちゃいました?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど。」
「コンタクトつけたまま寝ちゃって。」
あたしは目薬を差し、コンタクトを外した。
それをじっと見ていた水嶋さんが一言こう言った。
「・・・怖くねーの?」
「怖くはないかな・・・。水嶋さん、目良いんですか?」
「相当良いよ。穂積も眼鏡止めてコンタクトにすれば良いのにな?」
「無くてもそんなに困らないって前に言ってた気がする。」
「美帆子さんの趣味かな。」
「・・・水嶋さん、今日やけに突っ込んできますね、そこ。」
「・・・え?」