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12月23日クリスマス・イヴイヴ。

あたしは今夜のパーティの為に、15時に大塚駅で水嶋さんと待ち合わせをした。

「穂積、18時位には来れるって?青山さん。」

「うん、そんな事言ってました。」

「ターキー買ってくるかな・・・。」

「・・・本気だったんですか?」

「・・・さ、酒買いに行こうか、ちょっと歩くけど。」

小さな酒屋でシャンパンやウィスキーを買いこみ、水嶋さんのマンションへと帰った。


「あ、ハンガーそこにあるからコート掛けて。」

「ありがとうございます。」

「・・・あれから、桐生(アイツ)・・・大丈夫?」

「うん。何にも無いです。」

「そっか。」

あたしのコートを水嶋さんは、受け取って、寝室へと片付けに行った。

「帰る時は言って、出すから。」

そう言い後ろ手に寝室のドアを閉める。

桐生さんの一件があって、あたしが敏感になっている事への配慮なのだと思った。

「ねぇそのツリー飾り付けしてくれない?」

「デカっっ!」

あたしの背丈より少し小さいサイズのクリスマスツリーが貧弱に窓際に立っていた。

こんな大きなツリーは初めてで、あたしは童心に帰り夢中で飾り付けをした。


「電飾点けようか。」

ローテーブルの上に、温かいコーヒーが置かれた。

水嶋さんがスイッチを入れる。何色もの色が一斉に光を放つ。

「綺麗!飾り付けも完璧!」

とあたしが言うと、水嶋さんが

「横浜には負けるけど?」

とニヤニヤして聞いてきた。

「あぁ横浜も綺麗でしたよ。鳥肌が立つ位・・・でもこっちは、あったかい綺麗かな。心が安らぐって感じ?」

あたしがコーヒーに手を伸ばすと、水嶋さんのコーヒーがカフェオレなのに気付く。

「・・・これってミルク?」

「ううん牛乳。俺、ブラックとか基本無理なんだよね。」

「あたしも牛乳貰って良いですか?」

「冷蔵庫ん中、勝手に取って。」

「はーい。もしかして、それに砂糖も入れてるの?」

「・・・何か?」

あたしは冷蔵庫から牛乳を取り出し、コーヒーカップに注ぐ。

水嶋さんのと同じ色になった。

「ケーキ、食べたくなっちゃった。」

「その中のプリンだったら食って良いよ、青山さん。」

冷蔵庫の中には、”スィーツ”の棚があった。

「んふふ。」

あたしはプリン二つとスプーンを二つ持って、ツリーの所へ戻った。

「今夜、何作ります?」

「ちょっと待って。」

水嶋さんが立ち上がり、あたしの置き忘れたカフェオレとレシピ本を持って来た。

「チキンに合うのって何?無難にパスタかなぁ。か、ビーフシチューとか?何食べたい?」

「じゃぁスパゲッティじゃなくて、ニョッキとかどうです?トマトソースで。」

「おぉー良いかも。じゃそれ作ろう。後はサラダ・・・。」

「水嶋さんって料理出来るんですね?」

「一人暮らし長いしね。」

「穂積さんは、全然って言ってた。」

「あいつ、食に興味ねーじゃん?食えれば良い位じゃねーの?美帆子さん超料理上手いのにな。」

水嶋さんは頁を捲りながら、さらっと言った。

・・・美帆子さん、料理上手いんだ・・・。

かなり前、こんな関係になる前の話。

穂積さんに奥さんお弁当とか作ってくれないんですかって聞いたら、

”俺より忙しいからねー”なんて答えだったから、あんまり上手じゃないのかと勝手に思ってた・・・。

「うあっ!ゴメン、青山さん・・・。」

「・・・ううん平気。」


完璧な女性(ひと)って、居るもんなんだな・・・。




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