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急に体が冷えてあたしは目を覚ました。
体に何かが掛けられていた。社名の入った紺の作業着だった。
車のシートはいつのまにか倒されていて、車は何処かに停車中、しかも水嶋さんは居なかった。
辺りも少し暗くなっていて、あたしは急に怖くなった。
「水嶋さん!!」
慌ててドアに手を掛ける。するとそのドアの向こうに水嶋さんが見えた。
「どうした?!」
あたしの必死の形相に、逆に水嶋さんが慌てていた。
ドアを開けると、あたしのアパートが見えた。
「・・・れ、此処・・・。」
「どんだけ寝んだよ。」
水嶋さんが時計を見た。
「・・・あれ営業は・・・。」
「予定変更したから、それは良いんだけど。大丈夫?あ、ちょっと顔色良くなった。」
あたしは車を降りた。
「本当にすみません。」
「穂積からも頼まれてるんでね。あ携帯鳴ってたよ、穂積じゃねーの?」
水嶋さんが煙草の吸殻を足で揉み消した。
「じゃ俺行くわ。無理すんなよ。」
「はい。」
水嶋さんの携帯が鳴って、水嶋さんは携帯に出た。
あたしを追っ払うように掌を振った。
あたしは一礼してアパートの1階にある集合ポストの202号のポストを開ける。
見慣れない茶色い封筒がポツンと置いてあった。
あたしは恐る恐るそれに手を伸ばす。
・・・嘘でしょう。
封筒は閉じられておらず、中に手を滑り込ませると少し硬い材質の何かに手が触れた。
それは写真。
桐生さんが持っていたあの写真だ。
あれで終わりじゃなかったんだ・・・。
あたしは頭を打ち付けられるような痛みを覚えて、ポストへと体が倒れ込む。
そして、そのまま其処へ崩れた。
・・・あの男はあたしの家にまで来たんだ。
何が目的なの?!
あたしは体さえ差し出した。
一体どうしたいの?!
「おい!」
急に腕を掴まれてあたしは驚愕した。
「きゃあ!!」
「青山さん、俺だよ!」
あたしは肩で息をしながら目の前の水嶋さんを確認する。
「・・・水嶋さん、助けて・・・!」
あたしは水嶋さんの腕に縋った。
こんな部屋見られたくなかった、誰にも。
でも外で話せる内容でも無かった。
外は暗くなり始め、車内で話すのもあたしは躊躇われた。
部屋がお酒臭く、水嶋さんが一瞬顔を顰めたのをあたしは見逃さなかった。
昨夜の残骸がローテーブルの上に、留まっていた。
「・・・この写真、誰が撮ったの?」
水嶋さんは、ソファに腰を掛けた。
「桐生さんが頼んだ、探偵の人だと思う。」
「コレの原因が、コレ?」
右手でウィスキーの空のボトル、左手で写真を順に持ち上げた。
あたしは頷いた。
水嶋さんは写真をテーブルの上に置き、ボトルとグラスを台所の流しへと運んでくれた。
「美帆子さんにバラすとか言われた?」
もう一度あたしは頷いた。
「・・・他には?」
あたしは、一気に心を閉ざした。