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それを困ってるのに、珠紀はあたしに答えを求めた。

黙りこくるあたしに先回りして珠紀がスラスラと選択肢を挙げる。

「一つ。水嶋の事は目を瞑って穂積との関係を続け、駒のままで居させる。一つ。水嶋の気持ちを考え、穂積と別れる。一つ。穂積と水嶋と三人で・・・これは無いか。」

「珠紀!ふざけないでよっ。」

「へいへい。」

あたしはマドラーで、グラスの下に沈殿したグレープフルーツの果汁をサワーと混ぜた。

「選択肢二つしかないね、奏。」

「それしか無いのかな・・・。」

「え?どうしたい訳?!」

珠紀がメンソールの細い煙草に火を点けた。

「・・・一番やりたくないのは、水嶋さんに同情する事。あたしね、水嶋さんの気持ち知るまではただ本当に普通に水嶋さんが幸せになれば良いなって思ってた。だけどさ、水嶋さんが自分の気持ちひた隠しにして穂積さんの気持ち尊重してきたんだとしたら、それが水嶋さんが選んだ幸せなのかなって・・・。そう思ったら、あたしは穂積さんへの気持ちを貫き通した方が良いんじゃないかって・・・。」

「じゃぁ今の関係で行くって事でしょ?」

「・・・水嶋さんの気持ちは無視出来ない。しかも駒だなんて思いたくない。」

「何か言ってる事に無理が無い?!」

あたしは唇を噛んだ。

「青山さん?」

あたしが声のした方を向くと、穂積さんと水嶋さんが驚いた顔をして立っていた。


そして4人で卓を囲む事になってしまった。


「専門の時の同級の珠紀です。」

珠紀はにこにこ顔で応えた。むしろ傍観はしていられないタイプ・・・。

「上司の穂積です。」

「先輩の水嶋です。」

付け加えて珠紀は直ぐに、こう言った。

「今、お二人の話をしてました。」

「珠紀!」

「良いじゃん、あたしが知らない振りしても仕方ない事でしょ。ね、穂積さん。」

あたしの横に座った穂積さんに同意を求める珠紀。

水嶋さんが笑った。

「確かに!面白いねー、タマちゃん。」

あたしは珠紀が水嶋さんの事を言い出さないかハラハラした。

穂積さんは小さく息を吐き、煙草を取り出した。

「何か変な汗かいた。」

「・・・すみません。」

「いや良いよ、全然。あれDVDどうしたの?」

「・・・DVD?あー・・・多分間に合わない・・・。」

「はい、そこ、オーラ出さないで下さい。」

珠紀の一言に水嶋さんは又笑った。

「ウケル。」

暫くは、専門の時のあたしの話をしたりとかで普通に盛り上がる飲み会だった。

穂積さんがトイレで席を離れた時に、珠紀は仕掛けた。

「二人共、マルボロライトなんですね?」

「え?あぁ煙草?タマちゃんは、女子が好きそうなメンソールだね。」

「彼氏がマルメン吸ってて、であたしも煙草覚えちゃったんですよねぇ。」

あたしはそれ以上は何も言うなって顔で珠紀を見つめた。珠紀は知ってか知らないか、素知らぬ顔だ。

「水嶋さんは、彼女居ないんですか?」

「一緒に遊ぶ女の子は居るけどねー。特別は居ないかな、今は。」

「・・・へぇー、イケメンだから、もてそうですね。」

「いやいや穂積さん程じゃぁないですよ。」

水嶋さんは、ウーロンハイを空けて、店員に声を掛けた。

「青山さんは?今日は飲み、悪くない?」

「あー・・・何かちょっと疲れてて。」

「穂積、心配してたよ、相当。」

「すみません・・・。」

胃がキリキリしてきた・・・。帰りたい。

穂積さんがトイレから戻ると、あたしの肩を叩いた。

「帰ろう?」

「え?」

「悪いけど、先帰るね、タマちゃん。水嶋、領収書貰っておいて。」

「あ?あぁ・・・はいはい。」

「又ねー、奏。」

珠紀が手を振った。

待って・・・珠紀と水嶋さんを二人っきりにしたら、珠紀絶対喋っちゃうって・・・。

穂積さんは、あたしの肩を引き寄せるようにした。


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