第六話
俺が自分の部屋に着き中に入るとすでにダル先生が中で待っていた、すでに机の上に教材用の本が何冊も置いてあった
俺が入ったことがわかったダル先生は笑顔で俺を出迎えてくれた
「ヨハネス様、今日からよろしくお願いします」
「こっちもよろしくお願いします。ヨダル先生」
「はい。では早速、授業の方をやっていきますか。席に座ってください」
ダル先生に言われた通りに本が置いてある机の前の椅子に座った
そこから言語学、数学、歴史学、魔獣学、魔法学の順番で授業を受けていった
言語学は共通語と言われる、この大陸で使われている言語の文字を覚えるような内容だった
茶色っぽい紙に隅々まで羽ペンにインクをつけて書いていく
ちなみに今まで喋っていたのが共通語だったりする
しかし、みんな喋っているのが日本語なのに文字を書く時はなんで違うだろ
でも、ほぼ日本語と同じで漢字とカタカタがないだけの日本語でそこまで覚えてるのも苦労はしないと思う
次に数学だがもう勉強することがなくなった
出てくる問題も簡単な足し算や引き算で小学生でもできてしまいそうな問題、前世で足し算、引き算、掛け算、割り算を義務教育で習っていた俺には簡単すぎる代物だった
ダル先生もどんどん問題を解いていく俺を見て驚いていた、それで言われたのは
「すごいですね、世の中には天才がいることをヨハネス様を見て実感しました。もう数学は教えることはなくなりました。ですので数学はやめて別の学問に時間を割きましょう」
と言われてしまった、しかしこの世界の数学のレベルが低すぎるような気がする
これだと数学じゃないくて算数だよな、でもこんな簡単な問題をやるぐらいなら他の学問に時間を割いてくれるのは嬉しい、時間を割くなら魔法学に振って欲しいな
数学の時間が終わって歴史学の各国の成り立ちや各種族についてを学んでいく
まずは俺が住んでいるサクバ王国の成り立ちについついて学んでいった
難しいことを言っていたが簡単に言うと遥か昔サクバ王国ができる前、この場所は腐敗の土地で草や木も生えないような誰も寄り付かないような場所ではなかった
しかしそこに移住してきて人間族たちが現れた、それが初代サクバ国王と初代公爵家たちである
初代国王たちは獣人族から迫害を受けていた、ついには住む場所まで奪われた
そして、初代国王たちは安住の地を目指して誰も寄り付くことがない腐敗の土地に住むようになった
初代国王たちの努力の結果、腐敗の土地は人が住める土地になりそれを見ていた植物神プームが初代国王に植物魔法を授けた
植物魔法を授けられ、植物魔法を使うことによって腐敗の土地が豊かな土地へと変わっていき、それは今の時代まで続いている
それは今の王族も同じで、サクバ国王になるには植物神プームの加護が必要である
教会も植物神プームが現れた時に設立されたものらしく、主に植物神を祀っているが他の神も祀っている
教会を作った人物も獣人族を嫌悪しており、その影響で現在の教会上層部は特に獣人族を嫌悪しているらしい
そして魔獣学である、この魔獣学では魔獣の生態についてを学ぶ
そもそも魔獣とはゲームで出てくるような、ゴブリンやコバルトなどのような人を襲うモンスター達でこいつらの体内には魔石と呼ばれる石がある
その魔石は色々なものに使うことができるらしく、主に魔道具の燃料に使われる
その魔石を集めたりするのが冒険者らしいが詳しいことは教えてくれなかった
魔獣学が終わりについに待ちに待った魔法学が始まった
「では、魔法学の授業を始めていくますか」
「はい!ダル先生!」
「まず、魔法とは何か。それは自分の体内にある魔力を、呪文を使い魔力に形を与えることによって魔法として発現することができます」
「???」
「簡単に言うと、体内の魔力に命令すれば魔法は使うことができます」
「なぜ、自分の体内にある魔力に命令しないと魔法が使えないんですか?」
「それについては今も研究者にとっての永遠の問題とされています。しかし、今現在は魔法を発現させるためには具体的なイメージをしなければいけないのでその補助をするためだと考えられてます」
「へ〜〜。じゃあ、僕も呪文を覚えれば魔法を使えるようになるの」
「いえ、そんな簡単な話ではありません。まずは自分の体内にある魔力を感じることから始めていきます。それから魔力を自由に動かせるようにならなければ魔法を使うことはできません」
「魔法を使うにも簡単じゃないんだ」
「ええ、魔法を使えるようになるにはちゃんとした知識と基礎をしっかり鍛えていかなければなりません」
意外と魔法を使うのって簡単じゃないんだな、呪文を覚えればいいものかと思った
(そういえば、爺ちゃんは魔法を使えるよね)
(そこまで得意なわけではないが魔法は使えるぞ、しかもヨハと同じ無属性の魔法を)
(っえ、爺ちゃんも僕と同じ無属性なの!)
(そうじゃぞ)
(それだったら、僕に魔法も教えてくれたっていいじゃん)
(ムリじゃな、儂は感覚で魔法を使っていたし魔力操作も自然と覚えたしの)
(はぁ〜!今、ダル先生が知識と基礎がしっかりしてないと使えないって言っていたじゃないか)
(儂が若い頃、戦場で使っておった奴を見て便利そうじゃなと思って見よう見まねでやってみたら、自然にできてしまったんじゃよ。まぁ〜、これも儂が天才だったからじゃな。ハッハッ!!)
爺ちゃんって独学で魔法を使えるようになったのか、これはすごいことなのかわからないけど
多分物凄いことをやってるだろうな
「ダル先生、質問があるんですがいいですか」
「ええ、いいですよ。どうしたんですか?」
「先生は、魔法を見よう見まねで使えるようになった人物がもしいたらどう思いますか?」
「そうですね。普通だったら、絶対にありえないと思いますがそんな人物がいたら間違いなく宮廷魔導師として国に仕えてることができる逸材だと思いますよ」
「宮廷魔導師?」
「国に仕える、魔法使いの精鋭達ですね。宮廷魔導師になれる者は多くありませんし、魔法使い達にとっては名誉なもので宮廷魔導師になりたくて魔法を覚える者もいるんですよ」
僕の爺ちゃんは天才でした
ダル先生僕の目の前には本物の天才がいますよ、しかも本人はめっちゃ笑っております
「それではヨハネス様、まず初めに魔力の感覚を覚えていきましょう。自分のお腹に意識してみてください」
ダル先生の言われた通りにお腹に意識を集中してみるとほのかに暖かいものがあるような気がした
さらに集中すると球体があり、それから暖かさを強く感じた
「ダル先生、お腹の中に暖かい球体があります」
「速いですね!それが魔力の源です、もう魔力を感知できるようになるなんて凄いですよ!」
「速いんですか?」
「ええ!魔力を感知するには集中力が必要です。ヨハネス様ぐらいの子供がやったとしても途中で集中力がきれてしまうのが大半で、何日か経ってから感知できるようになるんですよ」
たしかに普通の子供だったら集中すること自体が難しいかもしれないな
でも俺は精神的には大人と然程変わらないから、簡単に出来たわけだ
「ダル先生、次はどうするんですか!」
「そうですね。本当だったら魔力の感覚を覚えるために数日やる予定でしたが、もう魔力操作の練習をしていきましょう」
おー、もう魔力操作の練習をさせてくれるのか魔力操作を覚えれば魔法を使えるようになるのも夢ではなくなるぞ
「では、魔力の源の一部を掌に集めるイメージで移動させてみましょう」
もう一度集中し魔力の源に意識を向ける、そこから一部を切り離し掌に移動させるイメージする
しかし意外と難しいなこれは気を抜いたら、すぐに切り離した魔力が何処かに行ってしまいそうな気がする
魔力の源から離れるほど難しくなっていく
「その調子ですよ、そのまま集中してくださいね」
「もう少し、もう少し……………やった!先生、できたよ!!」
「ヨハネス様、集中を切らさないで!?」
できた喜びで集中を切らした魔力は制御できなくなり掌に移動させていた魔力は爆発したのであった