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第五話

 俺が気持ちよく寝ていると頭の中から大声が響く


(こら!起きるのじゃ、もう日が上がり始めたぞ!!)

(んー、もっと寝たいよ〜)

(ダメじゃ、早寝早起き!これが健康の基本じゃ!ほれほれ、早く起きて朝の鍛錬じゃ!!)

(わかった!起きるよ)「はぁ〜」


 これが毎日の朝の日課、剣の鍛錬が始まってからこれである

 日が上がり始めるとともに起床するようになってしまった、寝るときも子供の身体だからか前世と比べるとベッドに入るとすぐに寝てしますようになった

 俺が起きるとともにメリーが部屋に動きやすい格好の服を持って入ってくる

 メリーが俺が着ていた寝巻きから動きやすい格好に着替えさせてくれる、最初の方は戸惑ったが赤ん坊の頃からやってもらっているので慣れてしまった

 メリーに礼を言ってから練習用の剣を持ちいつもの練習場所の庭に向かう

 向かう途中で何人の使用人に会うので挨拶をしながら向かう

 メイドや執事などの使用人も俺と同じぐらいに起きて仕事をしているから、感謝の意味も込めて挨拶はしている

 将来は俺の下で働くかもしれないからね、少しでもいい印象を与えてた方がいいなという下心もある


(さて、ヨハよ。今日も走ってから素振りじゃ)

(え〜、いつになったら素振りは終わるだよ!)

(そんなのずっと決まっておる、基礎が出来なければ強大な敵には勝てんぞ!!)

(やだよー、何かカッコいい技とかないの。例えば斬撃を飛ばす技とかさ〜)

(まぁ〜、今言ったような技は確かにあったの。儂自身も使っておったし)

(っえ、じゃあ教えてよ!!)

(無理じゃな、あれは魔力を刃に乗せて飛ばす技じゃし。魔力を扱うこともできん、おぬしにはまだ先の話じゃ)

(えー!いいじゃん!!)

(ヨハよ、何事も基本が大事じゃ。身体が出来ておらん時に覚えたとしても身体を壊すだけじゃし。変な癖を覚えてしまったら、なかなか癖を直すのが大変じゃぞ)

(……………わかったよ)

(偉いぞ、ヨハよ。それじゃ、今日も軽く庭を二十周してからやっていくかのー)


 毎日一周一キロぐらいの庭を朝から走っていく、最初のうちはこれだけで朝の時間が終わっていた

 でも今では体感一時間も掛からなくなった、自分でも体力がついたような実感が湧いてくる

 前世では全く運動をしてこなかったが、今では朝早くから身体を動かすのは気持ちいいとも思ってしまう


(爺ちゃん、終わったよ)

(よし、いつも通り素振りじゃ)


 爺ちゃんの指定通り二十周走り終わった俺は走り終わったことを伝え、鍛錬用の剣を持って素振り始める

 何度も爺ちゃんから注意されながら剣を振っていく、途中からは集中していき周りの音が聞こえてこなくなる

 これはたまに調子が良い時に素振りをしていると起きる現象で、俺の素振りにおかしな所があればすぐに言っている爺ちゃんでもこの時だけは何も言わなくなる


 周りから音が消えてからはどんどんと暗い水の底に沈んでいくような感覚になっていく、こんなに暗い場所なのに不快感はなく逆に気持ちいいような気がする

 もっともっと奥まで行けば「坊っちゃまーー!」


 いきなり横から声が聞こえてきたせいでさっきまでの沈んでいく感覚がなくなってしまった


「誰だよ、今いい感じだったのに!ってメリー!?」

「もー、坊っちゃま。やっと気づいてくれた」


 邪魔をされたこと腹が立ち、声が聞こえてきた方に顔を向けてみると目の前にメリーがいた


(爺ちゃん、メリーが来てたなら教えてくれたっていいじゃんか)

(いや〜、集中しておったから邪魔しちゃ悪いかと思っての。すまぬ)

「ちゃんと聞いてますか、坊っちゃま!」

「ごめん、ごめん。ぼーとしちゃって」

「昔から坊っちゃまは、そういうことが多いですよ。気をつけてください」

「わかったよ。でも、メリーが来たってことはもう朝ご飯の時間?」

「そうですよ!もう当主様もアリス様も待っておりますよ。急いでください!」

「わかった、わかった。そんな大声を出さなくてもいいじゃんか」


 メリーに急かされ汗をかいた服を脱ぎ身体を軽く拭き新しい服を着てから台所に入っていく、そこにはすでに食卓に座っている父さんとアリス母さんが待っていた


「遅くなりました」


 俺は謝罪の言葉を口にしてからいつも座っている席に座る


「今日も朝から剣の素振りか?」

「そうです」

「毎日、頑張っているな。良いことだ、ヨハは将来はどんな領主になりたいんだ」


なんで聞くんだろ、と疑問に思いながらもいつも目標にしていることを口にする


「僕は将来、父さんより強くなってこの領地を今よりも豊かにしていきたいかな」

「そうか、その言葉を忘れるなよ。目的を達成するためには剣術も勉学も頑張っていけ」

「はい!」

「ヨハ、母さんはあまりに危険なことはして欲しくないです。しかも、そろそろ貴方の弟か妹が産まれてくるんですよ」

「わかってるよ継母さん(かあさん)、出来るだけ危険なことはしないようにする」


 そう、アリス継母さん(かあさん)のお腹の中には俺の異母兄弟になる赤ちゃんがいるのだ

 そろそろ産まれてきてもおかしくない時期らしい

 前世では一人っ子だったので自分自身、楽しみでしょうがない


「それでだ、ヨハ。今日はお前に伝えないといけないといけないことがある」

「何ですか、父さん」

「明日の朝、俺はラグ達を連れてライオネル獣国との国境線にある砦まで向かわなければならなくなった」


 父さんからの言葉に驚きが隠せなかった

 咄嗟にアリス継母さん(かあさん)の方を見てみると事前に知っていたのか驚いている様子がなかった


「また、戦争ですか…………」

「そうだ、昨日王都から手紙が届いた。しかも王命だ」

「…………」

「俺は明日からいない。この家は長男であるお前が守れ、そしてもし何か迷うようなことがあれば周りの大人を頼れ」


 父さんからの言葉は自然と心の中に入っていく、強く暖かみがある言葉だった


「お前は俺が見てきた中でも四歳の子供とは思えないぐらい大人びている。それでもお前はまだ四歳の子供だ。遠慮なくアリス達…………大人を困らせろ。何、並大抵のことは屋敷に残るシルバとシエルに言えば解決してくれる。だから、もし何かあったら大人を頼れ、わかったな」

「………わかった」

「よし!こんな話はここまでだ、朝飯を食おう」


 父さんからの話が終わり、メリー達メイドが食事を運んで座っている目の前に置いていく

 目の前に置かれるのはパンのような物と少しのお肉と野菜が入ったスープ、前世で食べた物よりはうまくないが食べないと、この後の剣の練習に耐えられないので無理してでも食べないといけない


 それにしてもお肉が少なすぎるような気がするし、このパンもどきも硬くてスープに入れないとロクに食べられない

 あ〜、いつも思うけど前世のパンが恋しいが無い物をどんなに思っても無いので目の前にあるパンもどきをスープに浸して食べる

 しかしパンって発酵させるとか聞いたことがあるけどいつかやってみようかな、あとはお肉も食いたい


 家族で喋りながら食べて、食べ終わり後は自分の部屋に戻ろう

 朝も早かったし身体も疲れてるから、昼寝でもするか昼からも剣の練習があるしそれまで寝てよ


「ちょっと待て、ヨハ」

「うん?どうしたの」

「今日からダル先生との勉強があることを忘れているんじゃないか」

「あっ忘れてた」

「もうお前の部屋で準備していると思うから、しっかり勉強してこい」

「わかった、行ってくる」


 そして、俺はダル先生が待っているはず自分の部屋に向かっていった


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